東京レインボープライド2013 レポート

約12,000人が参加し、多様性の大切さをアピール

東京レインボープライド2013 レポート

2013年4月28日(日)、代々木公園にてレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)をはじめとするセクシュアルマイノリティーの存在をアピールし、LGBTカルチャーを祝うフェスティバル『東京レインボープライド2013』が開催された。「ハッピープライド」をテーマに、パレード、ステージでのパフォーマンス、協賛企業や関連団体のブースなど、様々な企画が展開され、会場と沿道全体での参加人数は約12,000人(主催者発表)にも上った。美しい新緑の中、文字通り「ハッピー」な雰囲気で盛況だったフェスをリポートする。


派手なコスチュームの参加者で賑わうエントランスを通り、中央のステージへ。ここでは終日、野宮真貴、中村中、Jay & Gospel Friendsなどのアーティストを迎えたライブが行われた。オープニングを飾ったのはゲイアイドルサークル、虹組ファイツ。イベント出演やCDの発売を行っており、全国で70名以上のメンバーがいるという同グループが、“正統派”アイドルのパフォーマンスを見せた。彼らはこの日、同イベントの後に『ageHa』で行われたゲイパーティにも出演。今後ますます活躍の幅を広げそうなグループとして注目していいだろう。

虹組ファイツ


昼前には、元ピチカート・ファイヴの野宮真貴がBIBAを率いて登場。渋谷系文化のアイコンとして人気を集めた90年代と変わらない歌声を披露した。当時、ピチカート・ファイヴでアメリカやヨーロッパを巡り、トレンドをいち早くキャッチするゲイコミュニティから熱い支持を受けたことを実感している野宮は、「世界中どこに行ってもゲイの皆さんに支えられて応援され、ここまで来ました。ありがとう」とコメントした。

野宮真貴


ステージの反対側にあるイベント広場には、フードベンダーや企業、NPO団体、海外の大使館・政府観光局などのブースが並び、賑わいを見せていた。もともとこのイベントは、LGBTの存在を広く社会に知ってもらい、多様な個性や生き方を讃えるために始まったとあり、多くのブースでLGBTの理解が深められるような情報を発信していたのが興味深い。

皆の多様性を自慢しよう、と呼びかけていたのはGoogleのブース。サイトに写真をアップした参加者にステッカー等のオリジナルグッズをプレゼントするという企画で『Google+』をアピールしていた。スタッフが着ていたTシャツにプリントされていた、レインボー・フラッグ付のGoogleロゴが印象的だった。

googleブース


キース・へリングのグッズ販売を行っていたのは『NPO法人グッド・エイジング・エールズ』と『小淵沢アートヴィレッジ』のコラボレーションブース。同NPO法人はLGBTの人々が“すてきに歳を重ねていける”社会を応援している団体。ダイバーシティをキーワードに『AIDS WALK 小淵沢』などを開催してきた『中村キース・へリング美術館』と、これまでも様々な合同企画を実現している。この日は6月に開催されるという山梨県の小淵沢を舞台したランニングイベントをPRしていた。

NPO法人グッド・エイジング・エールズと小淵沢アートヴィレッジ


テントの周りに列ができていたのは『TENGA』ブース。「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」をテーマにアダルトグッズを展開する同ブランドは、オープンに性と向き合うこのイベントと好相性。話題の『iroha』等が当たる抽選会や、パレードにぴったりな、カラフルな6色の『LOVE ME TENGA Tシャツ』の配布などを行い、アダルトグッズにまつわる後ろめたいイメージを覆すことに成功していた。青空の下に堂々とアダルトグッズが並ぶのも、このイベントならではだろう。

LOVE ME TENGA Tシャツを来たイベント参加者が集まって記念撮影


水色のTシャツを着た大勢のスタッフがいたのが『東京LGBTインターバンクフォーラム』のブース。同団体は、 バ−クレイズ、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、ゴールドマンサックス、UBSなど金融業界の有志が、セクシャルマイノリティの“awareness”(意識)の向上を目指し、会社の枠を超えて活動している。この日は、イギリス発の金融ブランド、バ−クレイズから主旨に賛同したスタッフが集まり、ブースを盛り上げていた。

バ−クレイズの水色Tシャツ


企業やNPO団体以外で目立ったのは、海外の大使館・政府観光局のブースだ。アメリカ、イスラエル、イギリス、スウェーデンなど、10のエリアが出展し、各エリアでのプライドイベント、同性婚などLGBTに対する取り組みを紹介していた。LGBTの権利において中東、アジア圏では最も進歩的といわれているイスラエルのブースでは、“中東におけるゲイの首都”との別名を持つLGBTフレンドリーな街、テルアビブの観光情報を発信。テルアビブでは、ゲイカップルが町中で手を繋ぎキスをするのは当たり前。温暖な気候で、ほぼ1年中ビーチを楽しめ、ナイトライフも充実していて、LGBTの人々にとってはハッピーな街だ。そういった情報がなかなか無いためか、ブースを訪れた多くの人の興味をひいていた。

イスラエル大使館ブース


12時半からは、メインイベントであるパレードがスタートし、代々木公園を出発。パレードには誰でも参加することができたが、できるだけ沢山のレインボーアイテムを身につけることが推奨されていたため、沿道は虹色と刺激的なコスチュームにあふれ、道行く人々の注目を集めていた。約2,100人(主催者発表)が参加した行進は、和やかな雰囲気で、代々木公園から公園通りを進み、宮下公園の下をくぐって、明治通りから原宿駅横を通って、公園に戻った。


夕方、ステージから会場に語りかけ、場を盛り上げたのはシンガーソングライターの中村中(なかむらあたる)。中村は自らも性同一性障害であることをカミングアウトしており、このイベントに相応しいトリを飾った。そして最後は東京レインボープライド代表の山縣真矢が「我々があっけらかんと当たり前に生きていける世の中をつくっていきたい」と語り、イベントを閉めくくった。

ニューヨークやサンフランシスコ、ロンドンなどの大都市では、数十万人規模の人を動員しているというゲイパレード。東京レインボープライドによるゲイパレードは今年で2回目となり、2016年にはアジアで最大規模のプライドパレードとなることを目標にしているという。多様性の理解とオープンであることを支援するこのイベントの意義は、今後ますます拡大してくだろう。

テキスト タイムアウト東京編集部
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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