左)ヤヤさん 右)ミキさん
2010年12月23日 (木) 掲載
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シリーズで紹介しているLGBTトロント、今回は、近年世界各地で合法化されている同性婚を、実際にトロントで行った日本人レズビアンの方へのインタビューをお届けする。
日本人のミキさんは、過去にトロントへ旅行したときの印象が良かったことや、移民の子どもたちへの政策、そしてレズビアン・マザーの子どもに関する研究が充実している大学への留学を決意して、3年ほど前にトロントへと移住した。その後、中国系カナダ人のヤヤさんと出会い、交際した後、家族、友人たちから祝福されるなか、2年前に晴れて結婚したという。
カナダで同性婚を行う動機は何でしたか?
元々、家族というものへの憧れが強かったのですが、日本ではまだ同性婚が合法ではないので、当時はどこか諦めていたんです。そんななか、(同性婚が合法の)カナダに来てヤヤと出会って、今後、彼女と生きていきたいなと感じたとき、結婚という制度がしっくりきたんですね。
また、2年前にヤヤのお父さんがガンで亡くなったのですが、それも決め手のひとつになりました。彼の余命が6ヶ月と宣告された頃、私たちはすでに結婚を考えて真剣に付き合っていましたので、ヤヤのお母さんから、「お父さんが亡くなる前にお話をしたら」と勧められたんです。それで2人で会いに行ったら、彼は涙を流してとても喜んでくれました。その結果、家族との絆もより深まって、結婚に結びついたと思うんです。
結婚して良かったことは?
お互いの家族と(家族の一員として)交流できることですかね。 ヤヤの家族にとても良くしてもらっていて、うちの家族も彼女のことをとても気に入っています。それはやっぱり結婚しているからこそ、真剣に捉えられていると思うんです。結婚という制度を利用したからこそ、祖父母へのカミングアウトもスムーズでした。
カナダでの同性婚の具体的な手続きについて教えて頂けますか?また、異性愛者の結婚と比較して、与えられる権利はいかがでしょうか。
申請などはとても簡単でした。トロントの市役所で2人がサインした書類を提出し受理され、後日その書類が戻ってきて、結婚式当日にもう一度サインをする、という段取りでした。異性愛者の結婚とまったく同等の権利が与えられています。
子どもも育てられるということですね。その予定はありますか?
子どもは絶対に欲しいです!人工授精をする予定ですので、現在クリニックで血液検査による排卵の時期を確認するというサイクルモニタリングの最中です。
今トロントに住んでいるレズビアンの間で、子どもを授かる方法の主流は人工授精なのでしょうか?
そうですね。その次に、養子縁組みかな。レズビアンで子どもを産むとなると、ある程度、生活状態が安定してからのこととなるので、30代以上の方が多いですね。
ミキさんの周りでは、結婚しているレズビアンやゲイの方はどのぐらいいますか?
そんなにはいないですね。カナダでは、何年間か同棲すると、パートナーとして認められることもあって、結婚という形をあえて選択しなくてもいいと感じる方も多いようです。でも、認められているのだからこそ、同性婚の制度を利用すればいいのにとも思いますね。みんなで楽しくお祝いして友達や家族に祝福されるなんて、こんな幸せなイベントないじゃないですか!今年、カナダ人の友達が同性婚を行ったんですが、そのときもやっぱり感動しました。
日本ではまだ同性婚は合法ではありませんが、今後、日本に住む可能性はありますか?
はい。子どものアイデンティティを考えたときに、人生の一時期を日本で生活するという経験も大事だと考えています。
日本に住んでいたとき、閉塞感を感じたこともありました。それはセクシュアリティのことだけではなくて、仕事を含めた様々な要因で息苦しいと感じていました。でも、だからといって、「欧米の価値観や生き方が自分に合っていて、日本は生きにくい」とも思わないんですよ。もちろん、トロントはセクシュアル・マイノリティにとって住みやすい街ですが、それだけがすべてではありません。私が今の生活を幸せだと思えるのは、ヤヤとの生活があって、そこに、私個人の日本で育った価値観が加わって、そこから幸せを見いだしているからだと思います。それは、どこで生活しても変わらないと思います。
取材協力:
トロント観光局(www.seetorontonow.com/ja.aspx)
カナダ・オンタリオ州観光局(www.ontariostyle.com )
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