インタビュー:鈴木おさむ

力士と芸人さんが集うちゃんこ屋を中目黒にオープンした、人気放送作家に聞く

インタビュー:鈴木おさむ

「SMAP&SMAP」や「お試しかっ!」など、数々の人気テレビ番組やドラマ、舞台を手がける放送作家の鈴木おさむが、2012年9月に『ちゃんこ屋鈴木ちゃん』をオープンした。場所は中目黒。秋場所が終了し、新たに日馬富士の横綱昇進が決まった今、久々に横綱2人が君臨することになった角界は盛り上がりを見せている。だがなぜ、今ちゃんこなのか。その経緯について聞いた。


―飲食店のプロデュースに初参戦されたわけですが、なぜちゃんこというジャンルを選ばれたのでしょう。

鈴木:そもそものきっかけは、今田耕司さん宅で開かれた飲み会で、モーレツにおいしいちゃんこ鍋に出会ったことなんです。横綱の白鵬関、琴奨菊関、豊ノ島関を囲み、数人の芸人さんといっしょにちゃんこ鍋をつつくという集まりだったのですが、そこでちゃんこ鍋を作ってくれたのが、白鵬関が所属する宮城野部屋で長年ちゃんこ番をつとめていた鈴木昌平君。腰を怪我して現役を引退した後、何か新しいことをはじめるきっかけを探しているとのことだったので、「是非この味をたくさんの人に食べてもらえるように、店をやるべきです! いっしょにやりましょう!」と、ソッコー口説いたという形でスタートしたんです(笑)。

―なるほど。元力士が腕をふるう店というわけなんですね。

鈴木:力士に限らず、スポーツ選手が現役を引退するって、どこかちょっと悲しいイメージがついてくるじゃないですか。そんなイメージを払拭する手助けとなりたいというのも、今回ちゃんこ屋をはじめるきっかけの1つです。スポーツ選手のなかには、30代ですでに第2の人生に向き合わないといけない人もいるわけです。芸人なら、30代に入ってからようやく売れてきて、ポツポツと仕事が入りはじめるなんていうのがザラですよね。芸人は、売れるまで見守りたいんですが、スポーツ選手の場合はその逆というか。選手たちの引退後のシビアな人生を、僕なりのやり方で応援する方法をずっと考えてたんです。

―引退後の新たな“ステージ”としてのちゃんこ屋というわけですね。

鈴木:そうなんです。そんな僕の考えに現役力士をはじめ、角界関係者からの賛同を得られたことが、この店を支えてくれています。白鵬関もその1人。店の外に、すごく目を引く大きな白鵬関の錦絵がかかっているのですが、これは大相撲の錦絵では第一人者の木下大門さんの作品なんです。店の看板にある題字は、第34代木村庄之助さんに書いていただり。その他にも、店内には角界にまつわるさまざまなアイテムがずらーっと。ある意味、プチ相撲ミュージアム状態ですよ(笑)。でも、そんな店づくりができたのも、皆さんからの力添えがあってのこと。本当に感謝してます。


―「鈴木ちゃん」の人気メニューについて教えてください。

鈴木:ちゃんこ鍋は、塩味ベースで鶏の肉団子がたっぷり入る「横綱ちゃんこ鍋」と、味噌味ベースに隠し味のキムチとたっぷりの海鮮が入る「横綱海鮮ちゃんこ鍋」の2種。どっちも甲乙つけられない味で、本当においしいですよ! 他にもうちならではのメニューとしては、白鵬関が田植えに参加した北海道の“白鵬米”を鍋の〆の雑炊に使ったり、実家が豆腐屋を営んでいる豊ノ島関にお願いして「豊ノ島実家直伝!勝越したまご豆腐」としてメニューに出させてもらったり。大相撲つながりで、さまざまな食材を使ってるんです。

―店内はかなりゆったりしていて席数も多めですよね。店づくりの中で意識されたポイントなどありますか?

鈴木:やっぱり力士と芸人さんが遊びにくる店にしたかったんで(笑)、ゆったりした掘りごたつも完備してます。あとは、人目にふれずに個室に進める仕掛けですね。入口はいってすぐのところに階段を設けてあるので、タクシーを降りて店に入ったらすぐに個室に行けちゃうという(笑)。あとはやっぱりサービススタッフですね。俳優志望のイケメンスタッフを揃えてます!

―奥さまは、ちゃんこ屋をはじめることについてはどう思っていたんですか?

鈴木:実はね、ちゃんこ屋をはじめるにあたって会社を設立したんですけど、いっしょにやることになったスタッフ2人が、人生応援してやりたい! って冗談抜きで思えるような心底いいヤツらなんです。で、妻に紹介してみたら、「あの人たちにだったら、最悪の場合に騙されちゃってもいいね」って太鼓判をもらって。この人にだったら裏切られたとしても許せちゃうというか、そう思わせる人ってごくごくたまにいるじゃないですか。だって、いっしょに商売やるわけですから、もしかしたらもしかすることもあるわけですよ(笑)。本当に何が起きるか分からないですから。だけど、裏切られても許せると思えるような奴らを仲間に迎えたっていう感じなんですよね、今回のチームは。このスタッフ達だったら、自分に何かあったとしても、妻を支えてくれるんじゃないかなというようなね。いい仲間に恵まれたということを、妻もすごく喜んでくれてます。会社のみんなに「女将さん」って呼んでもらいたいですね。似合うでしょう?(笑)


インタビュー/テキスト 山田友理子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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