東京フリーダイビング事情

空気無しで80メートル潜るって!?ミミにとっては“普通のこと”です

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東京フリーダイビング事情

昔からスキューバダイビングは日本でも大人気だけど、フリーダイビングはそこまでハマったという話は聞かない。鍛え上げたフリーダイバーは酸素ボンベも使わないし、規格外に大きいフィンだけを使って耳が痛くなるほどの深さ、数十メートルの深さまで潜ってしまう。そんじょそこらの根性ではヘコタレてしまう孤高のアイアンマンはどんな人かと思ったら、そこにいたのは、とても魅力的な女性。日本の女性のフリーダイビングチャンピオンである平井美鈴(ファンからはミミと呼ばれている)さんとのインタビューを通して、どうやったらそんな深さまで潜れるのか、52メートルの深海に肺に残された空気だけで漂っているとどんな気持ちになるのか、聞きたいことを全部聞いてみました。

まず、フリーダイビングとの出会いは?
ミミ:1999年に、小笠原諸島に行きました。そのときはまだ泳げなかったの…。だから野生のイルカを見に行ったときにも、ライフジャケットを付けてないとダメだったし。他の女の子達は自由に泳げているのを見て、いつかこの仲間に入りたいって思っていました。家に戻る飛行機の中で、偶然隣りの席に座ったのが、日本フリーダイビング協会の男性でした。いつもは飛行機の中で誰かと話したりすることはないんだけど、ちょうど飛行機が一時間遅れたので、自然とおしゃべりが始まって。今考えると、あれは運命だったような…。それから間もなく、東京でも会うようになって、フリーダイビングサークルと呼ばれるチームに入れてもらったり。パーフェクトなタイミングで全てが進んでいました。


フリーダイビングは誰でも始められるんですか?イメージ的には…

ミミ:基本的な装備は必要です。ウェットスーツとフィンですね。だけど、年齢制限もないし、だれでも参加できるスポーツだということは本当です。プールでもフリーダイビングを体験する会もあるので、子供たちでも自由に参加できますよ。

今まで最も深く潜った記録はどれぐらいですか?

ミミ:個人的には80メートルが最深です。

どれぐらい長く息を止めていられますか?

ミミ:行って帰ってくるのなら160メートルぐらいまでは可能ですので、約3分ぐらいですかね。

え!?160メートルってそんなに速く潜れるんですか?

ミミ:はい。だけど、水の中にいると、3分は永遠に感じられますよ!

不安や怖いと感じることは?

ミミ:穏やかな気持ちで潜れるか、という意味ではもちろん恐れはないです。ただ、競技会の前にはかなり緊張しますし、時にはイライラと気持ちがすり減ることもありますよ。だけど、そういった気持ちをちゃんとコントロールしなくてはいけない。それもできるようになります。ダイブすることだけに集中して、穏やかな気持ちで、心臓の鼓動も整えれば、自然と酸素の消費も抑えられます。

水の中だと、時間や距離感が狂いませんか?

ミミ:競技会だと、まずどれぐらい潜る予定か、前もって知らせておく必要があります。そうしたら、フリスビーみたいな形をしたマーカーをロープに付けて垂らし、その目的の深さが分かるようにしてくれます。ですので、この最初に決めた深さより深くは、基本的には潜ることはありません。もちろん、潜航中に何かおかしいことがあったら、いつでも折り返して戻ってかまいません。

フリーダイブ中に、危険な状況に置かれたことは?

ミミ:一度だけ、機材のトラブルを経験しました。無事にすり抜けることができたんですが、深いところでひっかかってしまって。52メートルぐらいの深さだったと思います。セーフティケーブルを持ってダイブするのが基本なんですが、このケーブルが腕に巻き付いてしまって。

それは怖いですね…それでやめようとは思わなかったんですか?

ミミ:いいえ。わたしは大丈夫でしたよ。それから少しダイビングから離れていたのですが、そうすればそうするほどどんどん怖くなってしまって…。だったらもう一回潜ることで恐怖を克服しようって思いました。

競技会に出るためにはどんなトレーニングが必要ですか?

ミミ:競技には2種類あります。プールを使ったものと、海を使ったものです。スタティック・アプネア(静的無呼吸状態:じっと息を止めること)とダイナミック・アプネア(動的無呼吸状態:フィンと装備で動きながら息を止めること)という二つのやり方で、プールを使ってトレーニングします。フィンの使い方を覚えることは、とても重要なことなんです。フィンに慣れれば、抵抗を感じることなく泳げるようになりますし、その結果酸素の消費量も安定します。海でトレーニングすることも、もちろん重要です。

初めての人にはどのように教えますか?どこから始めれば?

ミミ:初心者のほとんdのは、水の中で息を止めることを怖がりますが、まずはリラックスをして自分を強くすることが肝心なんです。水の中を漂い、それがどんなに気持ちいいことなのか経験することが必要です。それが出来れば、自然と潜れるようにもなります。個人差は大きいですよ。「次のレッスンが待ち遠しいです!」って言う人もいれば、「ま、また機会があれば…」と気持ちが離れる人もいる。もちろんフリーダイビングの楽しさや面白さを味わえば、先入観は飛んできますよ。

関東地方や東京でフリーダイビングが楽しめるお勧めのスポットは?

ミミ:スポーツとして楽しむなら、神奈川県の真鶴ですね。スキンダイビングやシュノーケリングなら、千葉県の館山はいいですよ。

次に参加される競技会はいつですか?タイムアウト東京で何かお手伝いすることがあれば…

ミミ:Deepwatercup 2011 OKINAWA』という大会が、7月16日(土)、17日(日)に沖縄で開催されます。テレビでは紹介されませんが、オフィシャルサイトがありますよ。ぜひ見てください!


ぜひ平井美鈴のオフィシャルサイトへ遊びにきてください。ミミさんと一緒に3時間フリーダイビングを体験できるレッスン(1万5000円)はおすすめです。ウェブサイトから要予約

Translated by タイムアウト東京編集部
Interview by ウィルクス 恵美
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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