美肌ランニングのススメ

多くのランナーが集う皇居・半蔵門のほど近くに、2010年4月、ランニングビューティーラボ『アクティングランナーズ』がオープンした。走ることで、美しい肌を作るプログラムを受けることができる、ランナーには嬉しい施設だ。所長を務めるのは、20年以上にわたり、ランニング関連雑誌への執筆や、書籍の企画制作、イベントなどをプロデュースする本仮屋雅美。本仮屋はたくさんのランナーを取材する中で、走る女性には“肌が輝きを増して美しくなっていく人”と、“ぎすぎすとやせて老けてしまう人”の2種類いるのはどうしてか、その差は何なのかという疑問を持ち、それを解決するため、早稲田大学大学院スポーツ科学部に進学。女性の運動習慣と肌の関連について研究し、走ってきれいになることを科学的に解明した。せっかく走るのだから美しくなりたい、それは多くの女性ランナーが望むことだ。本仮屋によれば、それはちょっとしたコツだという。詳しく話を聞いた。

どのような研究を行ったのですか？

本仮屋：実際に、運動継続年数を10年以上持っている35歳から45歳の女性ランナーを対象に、52人のお肌を測定しました。私の仮説では、ゆっくり楽しく走っている方が美しい、と思っていたのですが、思いきり裏切られました。研究の結果、上手に自分の体に負荷をかけて運動している人の方が、お肌の状態が明らかに美しく若々しいということがわかりました。

お肌の美しさで女性が気にするのはしみやしわの増加です。原因は紫外線なので、太陽にあたらないようにすれば良い。そしてもうひとつ気になるのが、艶やハリ。艶やハリが失われると、リフトダウン、肌がたるんでしまうのですが、その原因のひとつが、新陳代謝の衰えです。ということは、新陳代謝の衰えをとめることで、リフトアップすることができるわけです。内臓レベルで衰えていると、どんな高価な化粧品を使っても肌は回復しません。体を活性化させることが大切なのです。その時、基礎体力をつけるようなウォーキングだけでは足りない。やはり、重力に打ち勝てる、適度な負荷をかけないといけないのです。

その、適度な負荷、というのが大切なのですね。具体的にどのように走るのが良いのでしょうか。

本仮屋：長く走り続けていくと、走ることが義務になっていたり、オーバーワークに気づかない人が多いのですが、その境界線を見極めることがとても大切です。今後、女性が美しく走るためには、その指標を数字で明確に示す必要があると思います。楽しいからついついやってしまうと、美容面ではちょっと残念な結果が出てしまう。 せっかく走っているのに、きれいになることを実感できていない人は、3つのことに気をつけると良いでしょう。

まず、UVケアをしっかりすること。2時間間隔で塗り直すのが理想的です。フルマラソンを6時間かけて走る人は、3回塗らなくちゃいけないわけです。だから手鏡は持って走りたいですね。
もうひとつ、体組成のアンバランスをなくすこと。体脂肪、筋肉、水分の量のバランスを整える必要があります。体脂肪の量と筋量の割合が特にお肌に影響します。例えば、女性の場合は、体脂肪が20パーセントきってしまうと、お肌はリフトダウンしやすいです。美しいボディラインをキープしつつ美肌を保つには、21パーセントくらいの体脂肪率がベストです。
さらに、新陳代謝を高める。具体的にどうすれば良いかというと、ビューティーペースをキープしながら走ること。ビューティーペースというのは、ちょっとキツい、と感じるくらいのスピードです。アクティングランナーズでは、ペースを心拍数ではかります。心身の状態によって、ややキツいペースが甘くなってしまうこともあります。だから、感覚に頼るのではなく、きちんとした数値を知ることが大切です。もう無理、というところまで追い込んで走った時のマックスの心拍数から、70から80をひいたくらいがビューティーペースです。

週にどれくらいビューティーペースで走るのが良いのですか？

本仮屋：週に3回は走りたいですね。30分ほど、皇居1周くらいで良いでしょう。

やはり週に1回のランニングだと足りないですか？

本仮屋：週に1回だと、体が元に戻ってしまうので、走るたびに辛くなってしまうと思いますよ。1日おきに走ると、確実に体がレベルアップしていきます。人間の体は、疲れると活性酸素が出ます。運動すると一時的にダメージが出るので、やはり活性酸素が出ます。1回だけの運動だとダメージを受けるだけなので、継続させていくことが大切なのです。活性酸素に打ち勝っていく練習をするのが大切です。キツすぎると、活性酸素が出過ぎてしまうので、ちょっとキツいビューティーペースを守りましょう。

現在、アクティングランナーズでは、5000円（税込み）で体験ラボを行っている。ラク過ぎず、でもやり過ぎない、自分のビューティーペースをチェックし、美肌を作るランニングをしよう。

（アクティングランナーズの詳細はこちら）