キューピー、100歳のチャリティ魂

東京に広まるクリスマスチャリティの輪

キューピー、100歳のチャリティ魂

「クリスマスポストカード1914 USA ツリーを囲んで」 © Rose O'neill Kewpie International

“背中に小さな羽根が生えている、裸ん坊の赤ちゃん”と言えば、多くの人に愛されているキャラクター『キューピー』を、思い浮かべる人も少なくない。玉ねぎのようなとんがりヘアに、真っ赤なほっぺ、ぽっちゃりとした、愛くるしいボディライン。かつてアメリカで『キューピークレイズ(キューピー狂時代)』と呼ばれるほどの大ブームを巻き起こしたキャラクターだ。そのキューピーが、2009年12月に100歳の誕生日を迎えた。これを記念して、東京・銀座にあるデパート『松屋銀座』では、『生誕100年 ローズオニール キューピー展』を開催している。

12月10日、展覧会初日。朝10時にデパートの扉が開くと、8階の会場へと直行する女性客の姿が目立ち、今なおファンが多いことに驚かされる。しかし、この驚きは、キューピー展の会場内で受ける驚きの序奏にすぎない。今回の展覧会では、原画や人形、クリスマスカードなどから、現在、日本でブームとなっているコラボレーション商品『キュージョン』まで、初公開を含む400点以上のキューピーが展示されている。その1点1点を丁寧に鑑賞していくと、一般的にはあまり知られていない、キューピーの背景やプロフィールを知ることになり、驚きの連続となるのだ。ひとつ紹介すると、“キューピーには物語がある”という驚きだ。1909年12月、アメリカの婦人雑誌に初めてキューピーが登場したページには、イラストだけでなく、物語も掲載されている。ストーリー、レイアウトともに、キューピーの生みの親である『ローズオニール』自身によるもので、クリスマスに貧しい少女の部屋を訪ねたキューピーたちが、少女が寝ている間に、そっとプレゼントをするという内容だ。ローズオニールは、この掲載から約30年にわたり、雑誌や新聞に新作を発表し物語を綴っていたのだ。日本ではキューピー人形のイメージが強く“キューピーに物語がある”事実を知っている者は、決して多くない。

こうして、キューピーのイラストと物語に目を凝らしていくと、自ずとキューピーの愛の精神にも気づくことになる。キューピーには、頭のてっぺんに“K”の旗を括りつけている『チーフ』を筆頭に、料理上手な『クック』、大工仕事が得意な『カーペンター』など、たくさんの仲間がいる。日頃は、みんなで空を飛んだり、遊んだりしているが、問題が起こると、それぞれ得意の分野で力を発揮し、楽しみながら、力を合わせて問題を解決していく。どの物語でも、いいことを、楽しんでしているのだ。この展覧会では、ローズオニールが伝えたかった、この愛の精神、『自分が楽しんでできることで、困っている人の手助けをする』ということが、ごく自然に感じられ、改めて、自分が人の役に立てることはなんだろうと、考えるきっかけを与えてくれる。奇しくもチャリティ企画が多いクリスマスシーズンだ。是非、キューピー展に足を運んで、キューピーの愛の精神を感じてほしい。

『生誕100年 ローズオニール キューピー展』
会場:松屋銀座8階大催場
住所:東京都中央区銀座3-6-1
電話:03-3567-1211
期間:2009年12月24日まで
時間:10時00分から20時00分まで(12月17日まで)
   10時00分から21時00分まで(12月18日から23日まで)
   最終日は17時00分まで
   入場は閉場の30分前まで
料金:一般700円、高大生500円、中学生以下無料
ウェブ:www.matsuya.com/ginza/topics/091224e_kewpie/

ピンバッジを買ってチャリティ『松屋銀座』

松屋銀座では2005年から、クリスマスシーズンにチャリティピンバッジの販売を行っている。2009年は、キューピーがサンタクロースにふんし、プレゼントがたくさん入った袋を下げているデザイン。袋の中央にはスワロフスキーのクリスタライズがあしらわれている。クリスタライズの色は5色あったが、ゴールドはすでに完売。収益は、世界の子供たちに教育の場を提供するNGO『ルーム・トゥ・リード』に寄付される。

住所:東京都中央区銀座3-6-1
電話:03-3567-1211
料金:1個300円、限定1万個
期間:2009年12月25日まで(なくなり次第終了)
販売場所:入口、エスカレーター前など、店内16ヶ所
ウェブ:www.matsuya.com/ginza/topics/christmas/badge.html#01

ケーキを食べてチャリティ『ラブケーキ プロジェクト』

1人分欠けているホールケーキ。“誰かが食べたのか”と思ってしまいがちだが、これがチャリティ用のクリスマスケーキ『ラブケーキ』だ。このラブケーキを1ホール買うごとに、ケーキ1人分、つまり1ピース分のお金が、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパンの『食糧援助プロジェクト』を通じて、世界の子どもたちのために役立てられる。このプロジェクトに参加している店は2009年12月10日現在7店舗。各店舗、パティシエの思いがこもったオリジナルのラブケーキを提供している。12月20日まで予約できるものもあるので、まずは『ラブケーキ プロジェクト』のウェブサイトでケーキの写真を見て、それぞれの店に足を運んでほしい。

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 『ラブケーキ プロジェクト』
ウェブ:www.worldvision.jp/involve/lovecake.html

参加している店

オーボンヴュータン
パティシエ:河田勝彦
住所:東京都世田谷区等々力2-1-14
電話:03-3703-8428
時間:9時00分から18時30分まで
休日:水曜
ラブケーキ:3000円(うち寄付375円)
予約期間:2009年12月18日(金)まで

シェ・松尾・三宿パティスリー
パティシエ:三嵜栄治
住所:東京都世田谷区三宿1-7-1
電話:03-5787-3400
時間:10時00分から20時00分まで(L.O.19時30分)
休日:無休
ラブケーキ:3150円(うち寄付350円)
予約期間:2009年12月15(火)まで
ウェブ:www.chez-matsuo.co.jp/

パティスリー アレグレス広尾
パティシエ:塩谷茂樹
住所:東京都渋谷区広尾5-1-43 1階
電話:03-5448-9591
時間:9時00分から19時30分まで
休日:水曜日
ラブケーキ:2000円(うち寄付250円)
予約期間:2009年12月20日(日)まで
ウェブ:www.allegresse.co.jp/

ロワゾー・ド・リヨン
パティシエ:加登学
住所:東京都文京区湯島3-42-12
電話:03-3831-9901
時間:10時00分から21時00分まで(平日)
   10時00分から19時00分まで(日、祝)
休日:不定休
ラブケーキ:3500円(うち寄付500円)
予約期間:2009年12月20日(日)まで
ウェブ:www.lo-lyon.com/

cafe ano(カフェ ano)
パティシエ:ユーリ・プラッツィニ
住所:東京都渋谷区神宮前5-12-7 ワイスワイスビル1階
電話:03-5467-0861
時間:12時00分から22時00分まで
休日:年中無休
ラブケーキ:800円(うち寄付100円)
期間限定:2009年12月25日(金)まで
ウェブ:www.checkczech.jp/cafeano/

クール・オン・フルール
パティシエ:奥田勝
住所:神奈川県横浜市港北区大倉山2-7-7-103
電話:045-544-9770
休日:毎週火曜日
ラブケーキ:3500円(うち寄付350円)
予約期間:2009年12月20日(日)まで

パティスリー デ・フェール
パティシエ:髙橋勝彌
住所:横浜市青葉区美しが丘1-5-3
電話:045-901-3911
休日:毎週火曜日
ラブケーキ:2500円(うち寄付300円)
予約期間:2009年12月17日(木)まで

気に入ったモノを買ってチャリティ『バーンロムサイ・ハートマーケット』

『バーンロムサイ』は両親をエイズで亡くし、自分たちもHIVに母子感染した孤児たちの生活施設。タイ北部のチェンマイ市郊外にある。寄付に頼るだけでなく、自立した施設運営を目指して、布製品などのホームプロダクツを生産、販売している。このバーンロムサイも今年で開園10周年。そこで8回目を迎える展示販売会『アンダーザツリー展』は『バーンロムサイ ハートマーケット』と名付けられ、バーンロムサイで作られた品々や、子供たちも製作を手伝ったキャンドル、子供たちの絵をモチーフにしたグリーティングカードセット、タイのカワイイ雑貨品などが販売される。会場はタイの市場に見立てる予定。その収益の10%は、バーンロムサイの運営費にあてられるだけでなく、今年は『ベトナム枯れ葉剤被害者の会』にも寄付が予定されている。

会場:アクシスギャラリー
住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル4階
期間:2009年12月18日から12月26日まで
時間:11時00分から19時00分まで(最終日は16時00分まで)
ウェブ:www.banromsai.jp/

積み木を作ってチャリティ『リトルステップスのクリスマスイベント』

『リトルステップス』は、子供たちに独自の英語教育プログラムを提供している子供専門の英語学校。2009年のクリスマスイベントのテーマは“世界を考える”で、世界の飢餓、貧困、災害、紛争に苦しむ子供たちを支援する国際NGO『ワールド・ビジョン・ジャパン』に賛同し、チャリティワークショップを開催。子供たちが自分へのプレゼントとして、白木の廃材を磨き、オリジナルの積み木を、英語指導を受けながら作る。自分で作った積み木で遊ぶことで、ものを大切にする心が育まれると同時に、世界には遊ぶおもちゃひとつない子供がいることなどに、思いをはせていく。対象となるのは4歳から12歳。英語経験のない子供でも参加できる。収益の一部はワールド・ビジョンに寄付される。クリスマスをきっかけに子供の学びの幅を広げてはどうか。

チャリティ クリスマスイベント –オリジナル積み木作り-
会場:スタジアムプレイス青山
住所:東京都港区北青山2-9-5
日程:2009年12月20日(日)
時間:13時00分から16時00分まで(積み木作りワークショップ)
   16時00分から17時00分まで(ワールド・ビジョン・スタッフの話)
   ※保護者は16時に戻ること。
料金:ビジター 8400円、メンバー7350円(おやつ込み)
問い合わせ:リトルステップス
電話:03-5774-6958(10時00分から18時00分まで、日休)
ウェブ:www.little-steps.jp/index.php?id=1

宿泊してチャリティ『帝国ホテル』

2009年で開業120周年を迎えた帝国ホテルの宿泊プランや、クリスマスカクテルを利用すると、料金から120円が『アイメイト協会』『日本ユニセフ協会』『社会福祉法人トット基金』『国境なき医師団日本』『日本赤十字社』に寄付される。この時期の帝国ホテルは、チャリティプランが多く、メインロビーに飾られているクリスマスツリーのオーナメントは入札によって高値をつけた10名に、展示終了後、譲られる。またツリーの横には募金箱も設置されている。

住所:東京都千代田区内幸町1-1-1
電話:03-3504-1111(代表)
   03-3504-1251(宿泊予約専用)

クリスマス・オーナメント チャリティ・オークション
受付期間:2009年12月25日まで
入札方法:官製はがきに、氏名、住所、電話番号、入札価格を記入して25日必着で郵送
     またはウェブサイトから必要事項を記入して入札
宛先:〒100-8558
   千代田区内幸町1-1-1
   帝国ホテル東京 営業企画課
   クリスマス・オーナメント・チャリティ・オークション係
ウェブ:www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo

サンタクロースと写真を撮ってチャリティ『ANAインターコンチネンタル東京』

メインロビーの特設スペースでサンタクロースと写真を撮ると、その代金が、ガンの治療を受けている子供たちを支援する『タイラー基金』へ寄付される。

会場:ANAインターコンチネンタル東京 2階アトリウムロビー特設スペース
住所:東京都港区赤坂1-12-33
電話:03-3505-1111
日程:2009年12月12日(土)、13日(日)
時間:10時30分から11時30分まで
   16時30分から17時30分まで
料金:1口500円
   ※13日(日)については、プロのカメラマンによる写真撮影も予定されている。
    こちらは、1口1000円。そのうち500円が募金となる。
ウェブ:www.anaintercontinental-tokyo.jp/

ボールペン&ブックマークを買ってチャリティ『ミキモト インターナショナル』

ミキモト恒例のクリスマスチャリティ。2009年は、地球温暖化の影響で絶滅の恐れのあるシロクマがモチーフになっている『ボールペン&ブックマーク』と、ブルーベリーの実をモチーフにした『ピンブローチ』を販売。どのアイテムにも、定評のある真珠があしらわれている。チャリティ商品の売り上げの一部は、国土緑化推進機構を通じて、熱帯林における地球温暖化防止のための植林活動に役立てられる。2008年は、680万2000円を寄付している。

ミキモト ブティック
住所:東京都中央区銀座2-4-12 MIKIMOTO Ginza 2
電話:03-3562-3130
ボールペン&ブックマーク2009:5250円
販売期間:2009年12月31日まで(但し、品切れ次第終了)

ミキモト 本店
住所:東京都中央区銀座4-5-5
電話:03-3535-4611
時間:11時00分から19時00分まで
休日:不定休
ピンブローチ2009:5万2500円
販売期間:2009年12月31日まで(但し、品切れ次第終了)
ウェブ:www.mikimoto.com/jp/

カフェメニューを飲んでチャリティ『スターバックス・コーヒー』

クリスマス限定ドリンク『ダーク・チェリー・モカ』『クレーム・ブリュレ・ラテ』『ジンジャー・ブレッド・ラテ』のいずれかを注文すると、料金の1部がNPO法人『チャリティ・プラットフォーム』を通じて、支援を必要とする子供たちのサポート活動に寄付される。また各店舗には『シェアリングカップ』と名付けられた募金箱も設置されている。

期間:2009年12月25日まで
ウェブ:www.starbucks.co.jp/

テキスト 基太村京子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo