アートと紅葉を一緒に楽しむ

この秋、行きたいおすすめの美術館

アートと紅葉を一緒に楽しむ

根津美術館

今秋、山種美術館と根津美術館がリニューアルオープンした。歴史と信頼のある美術館のフルリニューアルに、美術愛好家の注目度は高い。オープンの記念展示は、両館の主要コレクションが披露され、それぞれに見応えがある。山種美術館の新美術館開館記念特別展は、『速水御舟—日本画への挑戦—』。速水御舟の代表作で、国の重要文化財となっている『炎舞』や『名樹散椿』に加え、本邦初公開となる未完の大作『婦女群像』(個人蔵)、『渡欧日記』(個人蔵)など、合わせて140点が出展されている。40歳という若さで亡くなるまで試行錯誤を重ねた、御舟の壮絶な生き様が伝わる、素晴らしい展示だ。根津美術館では、開館から1年をかけて、8編の『新創記念特別展』が開催される。第一部は『新・根津美術館展 国宝那智瀧図と自然の造形』。この展示では、日本美術における自然表現の幅広さと奥深さを味わうことができる。5年ぶりに公開される『国宝那智瀧図』や、鮮やかな花鳥画、和歌に込めた情景を蒔絵(まきえ)で表したすずり箱などをこの機会に鑑賞したい。

東京には、美術品だけでなく、豊かな紅葉を楽しめる美術館がある。根津美術館に隣接する根津の森は、紅葉の盛りには、国宝に負けずとも劣らない美しさと風格を見せてくれる。東京都庭園美術館は、紅葉も見事だが、建物自体も美術作品として評価が高い。原美術館も、紅葉で有名だが、訪れるなら、館内にあるカフェで出される展示と連動したメニューがおすすめだ。世田谷美術館は、もみじの紅葉が美しい砧公園の一角にある。美術鑑賞の後は、広い園内をゆっくりと散策したい。春の桜同様、秋の紅葉を堪能できる期間は短い。この秋、美術館を訪れるなら、日本の秋の美を合わせて楽しみたい。

根津美術館

東京・南青山にある、茶道具や仏教美術等の日本・東洋古美術専門の美術館。1941 年、 初代根津嘉一郎のコレクションを公開するために、根津家敷地内に開館した。今回のリニューアルは、建築家の隈研吾が手がけた。本館外観は、瓦屋根や縦格子の外壁など伝統的な『和』のテイストと、現代的なスタイリッシュさが融合され、館内はシンプルだが、空調や照明などに最先端の設備を採用し、所有する多くの国宝や重要文化財の鑑賞と保管に最適の空間となった。明治神宮と並んで青山の豊かな森をたたえる庭園は、歩きやすく整備され、庭園内にはNEZUCAFEが新設された。店内ではBGMを一切流していないため、鳥のさえずりや葉々の揺れる音が心地よく響き、ゆったりとくつろぎの時間を過ごすことができる。

新・根津美術館展—国宝那智瀧図と自然の造形
会 期:10月7日(水)~11月8日(日)
休館日:月曜 10/12(月・祝)、11/2(月・祝)は開館、10/13(火)は休館
時 間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
入館料:一般1,200円、学生1,000円
根津美術館(詳細はこちら
住所:東京都港区南青山6−5−1
電話:03-3400-2536
ウェブ:www.nezu-muse.or.jp/

山種美術館

1966 年に日本初の日本画専門の美術館として、日本橋兜町に設立された。近代・現代の日本画を中心に、1,800点以上の日本画を所蔵している。リニューアルによって、旧館のおよそ2倍のスペースを持つ企画展示室と常設展示室が地下1階に設置された。企画展示室には、総長92.5メートルの可動式展示壁面があり、大型作品の展示が可能になった。1階には、ミュージアムカフェ『Cafe 椿』がオープンした。青山の老舗菓子店『菊屋』によるオリジナル和菓子と抹茶のセットが楽しめる。また、気鋭のパテシィエ本間淳が手がけた米を使ったオリジナルスイーツとオーガニックコーヒーのセットもおすすめだ。

『速水御舟—日本画への挑戦—』
会 期:10月1日(木)~11月29日(日)
休館日:月曜 10/12(月・祝)、11/23(月・祝)は開館、翌火曜は休館
時 間:10:00~19:00(本展は特別展のため19:00まで時間を延長して開館。通常の開館時間は10:00〜17:00)
※入館は閉館の30分前まで
入館料:一般1,200円、大高生900円
山種美術館(詳細はこちら
住所:東京都渋谷区広尾3−12−36
電話:03-5777-8600
ウェブ:www.yamatane-museum.or.jp/

東京都庭園美術館

朝香宮邸として、1933年に建てられ、戦後の一時期は、外務大臣・首相官邸、国の迎賓館などとして使われてきた。1983年に美術館として公開。アール・デコ様式に日本独特の感性が加えられた建物は、それ自体も美術品としての価値が認められている。名の由来にもなった広大な庭園は、芝生広場、日本庭園、西洋庭園の3エリアに分けて公開されていて、9月から11月にかけては、キンモクセイや、シュウメイギク、バラなどを楽しむことができる。

『日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華』
会期:10月10日(土)〜12月23日(水)
休館日:毎月第2・第4水曜日。ただし、12月23日(水)は開館。
時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
入館料: 一般1,000円、大学生800円、小中高および65歳以上500円
東京都庭園美術館(詳細はこちら
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話: 03-3443-0201
ウェブ: www.teien-art-museum.ne.jp/

原美術館

1979 年に、現代美術専門の美術館として東京・品川に開館した。もとは、東京ガス会長、日本航空会長などを歴任した実業家・原邦造の私邸だった建物で、旧日劇や上野の東京国立博物館本館などを設計した渡辺仁の代表的な作品のひとつとしても知られている。1930年代のヨーロッパのモダニズム建築を取り入れた洋館は、昭和初期の建築を語る上でも大変貴重な存在である。美術館では、年間5〜6回の展覧会に加え、講演会、ライブ、パフォーマンスなど、各種イベントを開催している。国内外の現代美術を紹介するとともに、有望な新人発掘にも力を注いでいる。

『原美術館コレクション』展
会期:10月24日(土)〜12月上旬
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、翌日休館、展示替え期間、年末年始
時間:11:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
入館料: 一般1,000円、大高生700円、小中生500円
原美術館メンバーは無料
原美術館(詳細はこちら
住所:東京都品川区北品川4−7−25
電話:03-3445-0651
ウェブ: www.haramuseum.or.jp/generalTop.html

世田谷美術館

自然豊かな、砧公園の一角にある美術館。1986年に開館し、これまで国内外の美術品およそ10,000点の美術品を収集してきたが、その大多数をしめているのが、世田谷区ゆかりの作家たちの作品だ。書家であり、美食家としても名高い、北大路魯山人の書画や器も見応えのあるコレクションとなっている。ライブラリーやレストラン、ミュ-ジアムショップなどの施設も充実している。

企画展『オルセー美術館展 パリのアール・ヌーヴォー』
会期:2009年9月12日(土)~11月29日(日)
休館日:月曜日
時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで時(入場は閉館の30分前まで)
入館料:一般1,300円(1,100円/1,000円)、大高生/65歳以上1,100円(900円/800円)、中小生600円(500円/400円) 
収蔵品展『和のいろ・かたちー日本画と工芸作品を中心に 第2期収蔵品展』
会期:9月19日(土)-12月17日(木)
休館日:月曜日
入館料:一般/200円(160円)、大・高生/150円(120円)、中・小生、65歳以上/100円(80円)、小中学生は土・日・休日は無料
世田谷美術館(詳細はこちら
住所:世田谷区砧公園1-2
電話: 03-3415-6011
ウェブ: www.setagayaartmuseum.or.jp/
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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