2010年08月11日 (水) 掲載
アメリカ大陸で初めて同性婚を合法にし、最もゲイフレンドリーだと言われている国、カナダ。オンタリオ州に位置するカナダ最大の街、トロントでは、100万人以上の観客を集める北米最大のゲイプライドが開催されている。あまり知られてはいないのだが、実はこのトロントのゲイプライド、大規模と定評のあるニューヨークやサンフランシスコのイベント動員数を越えているのだ。タイムアウト東京では、2010年の今年、30周年を迎えるこのゲイプライドに参加し、イベントとその周辺を徹底取材した。
LGBT専門のテレビ局といえば、MTVなどを傘下に持つアメリカのメディア・グループ、バイアコムが、5年前にスタートさせた『LOGO』 が世界的に有名だが、実はカナダでは9年前に『OutTV』という同様のテレビ局が開局されている。さらに、世界初の(スポンサーを獲得している)LGBTラジオ局『PROUD』も、カナダ発で、その事務所はトロントのゲイエリアの中心に構えられている。PROUDの創始者、ジョン・ケニョンは次のように話した。「通常は、黒字になるまでは5年ほどかかると言われていますが、私たちは目標を3年で達成できました。それだけ、トロントにはゲイフレンドリーな企業が存在する証しだとも言えます」。それもそのはず、ゲイやレズビアンのカップルの多くは、“ダブル・インカム&ノー・キッズ”の高い可処分所得を持つ世帯であり、その事実を認識している企業にとっては絶対に取り込みたいVIPな客層なのだ。他にも、『Jeeves Travel』というLGBT専門の旅行会社が30年前に設立されるなど、とにかくトロントはこの分野において先進的な街だと言える。
そもそも、何故トロントはそこまでゲイフレンドリーなのだろうか。トロント観光局のヨーロッパ&ラテンアメリカ・セクションの部長で、ゲイとしてカミングアウトしているブライアン・グラツィアーノに聞いた。「トロントの住人の半分は、外国で生まれた方々なのです。そのため、様々な人種や 文化、宗教が入り混じっているので、自然に多様性に触れて、同性愛者もそのひとつとして歓迎されています。私の記憶では、この街はずっとゲイフレンドリーでした」。アメリカやヨーロッパで多発するヘイトクライム(人種・同性愛・宗教などを理由に、暴行、脅迫、殺人などの危害を加える暴力犯罪)も、トロントにはほとんどないのだそうだ。ゲイバッシングが起こることはあるが、新聞のヘッドラインで取り上げられるほどの事件にまで至っていないという。また、前述のケニョンは、「カナダは143年の歴史しかないので、長い伝統にとらわれることなく、世論を新しい考え方へと切り替えていくのが比較的安易なのです」と興味深い理由を語ってくれた。
トロントとその周辺の人口はおよそ510万人。LGBTはその約10パーセントの50万人を占めているといわれている。この統計数値からみても、大きなLGBTコミュニティが存在していることがわかる。2014年には、世界中から何万人も駆けつけるという、LGBTにとってのオリンピックや万国博覧会クラスの世界規模の祭典、ゲイプライド 『ワールドプライド』が開催される予定だ。
プライドトロントウェブ:www.pridetoronto.com/
取材協力:
トロント観光局(www.seetorontonow.com/ja.aspx)
カナダ・オンタリオ州観光局(www.ontariostyle.com )
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