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谷中の風景遺産、ノコギリ屋根の解体がはじまる

谷中、よみせ通りに近くにある元工場・通称「ノコギリ屋根」の解体が、2013年9月10日より開始された。旭プロセス製版の本社として使用されてきた同建物は、千代田リボン製鐵の工場として、1910年(明治43年)に建設されたもの。群馬県桐生市の工場群に代表される典型的な近代織物工場で、北側の天窓からの自然採光を活かした三角屋根がノコギリ状に並んでいるのが特徴だ。そのノスタルジックな姿は下町のシンボルとして愛され、人気の撮影スポットともなっている。

また、同工場は、かつて染色と織物がさかんであった当時の谷中を忍ばせる風景遺産でもある。「ノコギリ屋根」のある通りは、もとは藍染川(谷田川)が流れていた場所。藍染川は、現在よみせ通りとなっている道を流れ、さんさき坂を横切り、現在のへび道を抜けて不忍池へと流れ込んでいた。暗渠工事が始まる1920年代頃まで、川沿いには織物や染め物の工場が多く並んでいたという。

下町の歴史を物語る「ノコギリ屋根」の見納めに、早めに足を運んでおいて欲しい。

ノスタルジックなディテールも愛らしい。

10日朝から、足場を組む作業が始まっていた。

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