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巨匠フランク・ロイド・ライトによる帝国ホテルのライト館がケーキに


『ダーク&“ライト”』840円(税込)

近代建築の巨匠である、フランク・ロイド・ライトの設計による帝国ホテル旧本館「ライト館」が竣工したのは1923年9月1日のこと。それからちょうど90年にあたる2013年9月1日、帝国ホテルでフランク・ロイド・ライトのデザインにちなんだ、チョコレートケーキが販売される。

帝国ホテルは、1890 年(明治23年)の開業から現在に至るまでに2度、その姿を変えている。2代目にあたる本館は、アメリカの世界的建築家フランク・ロイド・ライトの設計によるもので、通称「ライト館」と呼ばれる。 世界の賓客を迎える迎賓館の役割を担うホテルとして誕生したが、急激な近代化の中、33年後には新たな本館が竣工。設計は当時の総支配人と旧知の仲だった建築家フランク・ロイド・ライトに依頼された。ライトは91歳で亡くなるまでに400を超える住宅やビル、美術館を設計した名実ともに建築家の巨匠。ライトの創作は建築のみならず、ホテル内のインテリアやカーテン、食器のデザインにまで及んだ。


帝国ホテル旧本館「ライト館」

ライトはハニカム(HONEYCOMB=蜂の巣)、つまり六角形を帝国ホテルに一環して使用、数多くのアイテムを作った。90周年を記念して販売されるチョコレートケーキ『ダーク&“ライト”』は、ライトがホテルの宴会場用にデザインした椅子の六角形と菱形のモチーフを表現している。


ライトがホテルの孔雀の間用にデザインした椅子(現在は使用されていない)

つややかな六角形のチョコレートケーキには、菱形のチョコレートがあしらわれている。また、ケーキを囲む2色のチョコレートはライトが多用した市松模様のイメージ。口にした途端に広がるオレンジとキャラメルのやさしい香りがミルクチョコレートとベストマッチ。オレンジの皮をすりおろしてつけたナチュラルな爽やかさに、キャラメルのほろ苦さが重なり、極薄のチョコレートとケーキの中心に入っているフランボワーズの酸味がアクセント。素晴らしい構成だ。

帝国ホテル「ライト館」は1967年に惜しまれながら取り壊されたが、正面玄関部分は愛知県の明治村に移築され、現在も見学できる。また、 現在もホテル内では多くのライトの面影が見つかる。帝国ホテル 東京には、ライトのあらゆる意匠を再現した「フランク・ロイド・ライトスイート」があり、オールドインペリアルバー内にはライト館から移築した壁画やテラコッタが使われている。


帝国ホテル 東京 オールドインペリアルバー

チョコレートケーキの他にも、帝国ホテル 東京では2013年9月1日から「ライト館」開業90年記念企画として、ロビーでの展示や、オールドインペリアルバーでの特別メニューなどを企画している。この機会に、フランク・ロイド・ライトの世界に会いに、帝国ホテルを訪れてみてはいかがだろう。六角形や菱形、市松模様をホテル内で見つけるたびに、歴史と共に巨匠の面影を今も感じることができるはずだ。

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text by 市川歩美

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