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変わりゆく渋谷の街角で、40年にわたり営業を続ける老舗珈琲専門店 論が、2013年8月30日をもって閉店する。
東急プラザ渋谷の裏手、246号線を脇に入った場所に位置する同店は、今から40年ほど前にその地に木造2階建ての店を構え、25年前からはオフィスビルの地下1階に併設される形で営業してきたと言う。開店の朝8時半から夜8時の閉店まで、いつ訪れても客足は途絶えることなく、特に近所で働くサラリーマン達にとっては、昭和の名残が色濃くある雰囲気の中で気兼ねなく一服できる、憩いの場所となっていることが見てとれる。
閉店前にもう一度その味を賞味したいと注文したのが、具沢山の『スパゲティ ナポリタン』(650円)。太めのスパゲティ麺に、甘いケチャップソースがよく絡んだ食欲をそそる一皿。オーソドックスだがよく煮込まれたカレー(650円)も美味い。モーニング営業時には、ドリンクにプラス100円でトースト、卵、サラダ又はヨーグルトが付くメニューを提供。『ブレンドコーヒー』は、ストロング、ソフト、アメリカン、炭焼きから選ぶことができるのも嬉しい。店の良心が伝わるサービス価格も、世代を超えてこの店が愛され続ける理由のひとつだろう。
移転、再開店などの予定はなく、店はこの夏を期に完全閉店となり、その後は全く異なる店舗の入店が予定されていると言う。ディスプレイされている装飾品やポスター、入り口脇にある年季の入った食品サンプルを横目に、コーヒーの味とその歴史の幕引きを見届けるべく、訪れてみてはいかがだろうか。
1人でも気兼ねなく利用できるカウンター席
具沢山のナポリタン。ランチ時には、店にいる客の半分以上が注文していた
具がほとんど溶けきるまでよく煮込まれたカレー
カップの下には酸味のあるヨーグルトがたっぷり。オリジナルデザート、その名も『ヨーグルト』(530円)
苦いゼリーには好みでシロップを。『コーヒーゼリー』(480円)
モーニングはこのボリュームで100円(ドリンク別途注文)
お得なコーヒー回数券は11枚4,000円
レジカウンターには昔懐かしい『CABIN』の販売ケースが
伝票の裏には、木造2階建て時代の論のイラスト
いろいろな「かぅひい」の異名
種類分けされたケースにも年季を感じる
入り口脇に飾られる食品サンプル
レトロなランプスタンドが置かれる客席
いつの時代も変わらずに客で賑わう店内
2013年8月30日(金)をもって閉店する
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