タイムアウト東京ブログ

東京で食べる、今いちばん気になる味「まめぶ」

現在放送中のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』を見ている人にはお馴染み、そうでなくても、高視聴率を記録し続けているというあまちゃん人気の最中、この「まめぶ」という不思議な響きを耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。

ドラマの劇中で度々登場し、
「甘いんだかしょっぱいんだか、おやつなんだかおかずなんだかわからない」
「ピンと来ない味」
「決して美味くはない」が、「うまくもねぇのに食いたくなる」
などと、視聴者の興味を駆り立てまくっているまめぶ。元来、岩手県の旧山形村に伝わる郷土料理であり、あまちゃんのロケ地である岩手県久慈市の郷土料理ではないそうだ。(2006年に山形村は久慈市に合併した)その地域ではお正月に食べられた祝いの料理で、昔は貴重だった黒砂糖と胡桃を小麦粉でといた生地に入れて丸い団子にし、ごぼうやにんじんなど根菜、干し椎茸やかんぴょうといった乾物と一緒に、昆布で出汁を取った醤油仕立てのつゆで煮たものが「まめぶ汁」。まめぶとは、汁に浮いている団子のことを意味する。

見た目はけんちん汁のようだが、果たして一体どんな味がするのか……。調べてみたところ、岩手まで足を運ばなくとも、東京でまめぶが味わえる場所がいくつか存在した。



スタジオカフェの『あまちゃんセット』(900円)

タイムアウト東京編集部がまず向かった先は、何を隠そう渋谷にあるNHKスタジオパーク。施設内にあるカフェレストラン、スタジオカフェでは、現在、ドラマにちなんだ『あまちゃんセット』(900円)を、毎日数量限定で提供している。岩手県の最北端に位置する洋野町の名物である江戸ヶ浜丼とまめぶ汁がセットになったメニューだ。初めて口にしたまめぶ汁は驚くほど「甘いんだかしょっぱいんだかわからない」味で、ある意味期待通り。現地より直送されているという、白玉のような食感のまめぶ団子は、確かに後引くものがある。他に、盛岡じゃじゃ麺とまめぶのセット『じゃじゃ麺セット』(900円)も提供。訪れた日は、11時30分の開店と同時に店内はほぼ満席。見渡す限り6~7割方の人がまめぶ汁のセットメニューを注文していた。



山藤の『まめぶ汁』(1050円)

次に訪れたのは広尾駅そばにある和食レストラン、山藤 広尾店。短角牛など岩手県の素材にこだわった料理も提供される同店の『まめぶ汁』(1050円)は、店構えの通りに上品な一品。澄んだ色のすまし汁に色鮮やかな根菜とともに浮かぶのは、岩手県久慈市で手作りされたまめぶ。ほっくりと優しい食感で、汁に馴染むごく控えめな砂糖の味が口に広がった。現在はディナーのみ、数量を限定して出されている。



タイムアウト東京作のまめぶ。色は濃いのだが、非常に薄味な仕上がりに……

東銀座にあるいわて銀河プラザでは、自宅で作れる冷凍まめぶ(1パック530円・15ヶ入り)が販売されている。最近は、人気でなかなか入荷が定まらないという中、幸運なことに購入することができたので、さっそくまめぶ汁を作ってみた。が、団子を煮込みすぎないよう気を付けすぎたのか、出来上がったまめぶ汁はかなり薄く、なんとも張り合いのない味に。付属されているレシピを見ると、昆布と煮干のダブルで出汁を取るよう書かれており、まめぶ汁の決めては出汁の旨味に掛かっているのではないかと、3杯目のまめぶ体験で思い行き当たった。しかしながら、500円ちょっとで、本場のまめぶが心行くまで楽しめるこの冷凍まめぶはおすすめできる。


『まめぶ汁』(1パック530円・15ヶ入り)


店内には『あまちゃんコーナー』も設置されていた


その他、日本橋にある全国うまいもの交流サロン なみへいでは、7月中の期間限定で、岩手県久慈市の郷土料理をおまかせコースにて3500円で提供。短角牛やうにと共に、久慈まめぶ部屋直伝のまめぶを店で手作りして出している。

是非一度食べてみて欲しい。と、声を大にしては言わないが、確かにまめぶには、不思議な魅力があるかもしれない。ぼんやりとしたその味を、一度確かめてみる価値はあるだろう。

Copyright © 2014 Time Out Tokyo