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世界で唯一、インスタントカメラ『チェキ』をメイン機材とする写真家、米原康正。1995年から原宿に事務所を構え、それ以前も、住民やお客として、定点的に原宿と関わってきたが、竹下通りに外国人観光客向けの土産屋『MOSHI MOSHI KAWAII HARAJUKU』をオープンさせた。
店を訪ねると、お寿司のサンプルがついた携帯ストラップや、「MOGU MOGU」とおにぎりのイラストが描かれたTシャツ、オリジナルキャラクターのもしもし君とかわいいちゃんが描かれたクッキーやチョコレートが並んでいる。観光地にはつきものの、顔をはめ込んで撮れる写真ボードも置かれている。確かに、かわいい。もともと日本にあったさまざまなものが、かわいくアレンジされているのだ。
写真家である米原が、一体なぜ、日本のカワイイを集めた土産屋を作ったのだろうか。
米原:キャラクターデザインは、裏原の系譜をずっと続けているイラストレーター、シャシャミンにやってもらったんですが、それをメインに、他にもいろんなアーティストと組んでいく予定です。HARAJUKU KAWAII!!!!とか、原宿となんらかの関わりがある人たちと組んでいきたいし、東京とか、日本がテーマの人たちが集まってくれば良いかな、って思っています。
米原さん自身もずっと原宿に関わっていらっしゃいますが、この時代の原宿が好き、というのはありますか?
米原:それはどの時代に戻してもしょうがないので、今だからできることは何かを考えたいですね。今、“原宿的”なことを集めて発信したい。
今、原宿が発信すべきことは?
米原:それは、“日本”っていうことだったりもするんだけど、日本人は本来、外国の文化を上手に自分たちサイズに編集しなおして、プレゼンしていくのが上手なんですよ。
裏原だって、ストリートカルチャーや黒人のブラックカルチャーが始まりだったとしても、日本人サイズに編集して、“裏原”っていう純然たるカルチャーになった。最初は模倣かもしれないけど、元を超えるようなものが作れるのが日本人の能力だと思うの。そこの部分をこの10年はたたきつぶされてきた。
それに、日本人って、日本を嫌いという風に子どもの頃から育てられているから、外国の方がかっこ良いと思っているでしょ?
自分が住んでいるところが最高に面白いって考え方にしたいし、もし面白いところがないんだったら、自分たちでそれを作るっていう考え方をしていかないと、何も始まらない。やっぱり、大人がそういうのを示していかないとね。大人過ぎるんですけど(笑)
それが、MOSHI MOSHI KAWAII HARAJUKU?
米原:お寿司をアクセサリーにしたりして、日本なんだけど、もともとの日本人の人が見たら怒るようなものもあって良いのかな、って(笑)
竹下通りは面白いけど、マーケティングに基づいた、消費するだけの街になっていっている。そうすると、安い所が1番になってしまうんですよね。そしてそれは、逆に言えば、原宿じゃなくて、自分たちの家の近所にあるモールでも買えるものだったりする。今後、観光地と言われる街は、どこもハイブランドとファストファッションが並んで、すべて同じようなつくりになっていってしまいますよね。
やっぱり、原宿の面白さって、店のひとつひとつが、それぞれ自分たちが面白いと思うことを発信していたからなんですよ。ここをきっかけに、原宿にまた、それぞれが発信する小さな店が増えると良いと思っています。
米原は、2012年5月10日(木)に開催される『タイムアウトカフェ&ダイナー3周年パーティ』にゲストとして登場し、『ONE SNAP FOR LOVE』を開催する。『ONE SNAP FOR LOVE』は、東北地方太平洋沖地震を受けて展開しているチャリティーイベントで、500円以上募金したイベント来場者を、主旨に賛同するゲストと一緒に撮影し、その2ショットスナップ写真をプレゼントするものだ。米原の発信するメッセージは、自身の信念や経験に基づいた非常に強いものだが、届けられるときは、かわいく、セクシーな表現をまとい、とても受け止めやすい。ぜひ、米原ワールドを体験して欲しい。
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