東京でバーを探訪する

言葉が通じなくてもお酒好きなら楽しめる街

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東京でバーを探訪する

ビールやウィスキー、酒が好きなら、東京には特別な楽しみがある。この3つの品質がよくて種類が豊富なだけでなく、とてつもない数の場所が舌を喜ばせてくれるのだ。映画館やボウリング場、寺の境内や温泉で飲酒を楽しんでいても、場違いには見えない。

東京人はアルコールを愛しており、ウィークデイの非常に早い時間に飲んでいるお仲間を見つけるのは簡単だ。一緒に乾杯するトップクラスの酒を見つけるのも、やはり簡単である。最高のウィスキーやラム、テキーラやワインを探していても、この巨大都市でなら見つけることができる。ただし、法外な代金を払わなければならない。

値段を気にして飲むなら、日本では「第3のビール」といわれる発泡酒が、おもしろい選択肢だ。ビールへの課税を避けるために、発泡酒は麦芽の割合を下げて作られている。ビールを定義する麦芽の割合を下げることで政府も追いつこうとしているが、ビール会社はさらに割合の低い麦芽飲料を開発して応戦している。現在、この安い発泡酒の麦芽含有量は0~25パーセントだ。発泡酒ファンもいるのだが、よっぽど味覚の鈍い人でなければ本物のビールと間違えることはないだろう。

飲める場所がとんでもなく多いにもかかわらず、「バー」を定義するのは至難のわざだ。東京人にとって飲み食いは分かちがたく、最高の飲酒スポットの中にも〈ティー・ワイ・ハーバー ブルワリー〉のようにレストランに分類されるものがあり、以下にあげた場所の多くには感動的な料理メニューがある。バーであることを固く確信しているところでも、「お通し」という強制的な軽食を出す。これはピーナツだったり、ポテトサラダやもっと正体不明のものだったりする。バーのある場所やスタイルによって違うが、500~1500円は覚悟すること。どの客にも同じ料理が出され、これは、入場料を要求するより洗練されたサービスだと考えられている。このシステムのせいで、はしご酒は高くつく。ただし、たいていの無料バーの外に出ている、(英語で)「無料」と書かれた看板がある場合は別だ。

典型的な飲み食いを楽しみたければ居酒屋がいい。騒々しい場所からデザイナーによる空間まで、これらのバーは巨大なビールジョッキと品数豊富で手ごろな価格の日本料理を出してくれる。ほかに人気なのは、増えつづけているアイリッシュパブや英国風パブで、いつでもギネスが出てくるし、お通し代も要らない(最高の店は〈What the Dickens!〉や〈The Meguro Tavern〉など)。

東京人は小さな崩れかけた飲み屋も大好きだ。そのトップには〈ゴールデン街〉のバーが並ぶが、渋谷駅ハチ公口のちょうど反対側の高架下に小さなバーが並ぶ〈のんべい横丁〉や(〈しょんべん横丁〉のくだけた呼び名で知られる)新宿〈思い出横丁〉の〈ALBATROSS〉もまた訪れる価値がある。

バーには東京の地区ごとにはっきりとした特徴がある。原宿、青山、西麻布はおしゃれなラウンジとデザイナーが手がけた内装を誇る。一方、六本木は正反対。うるさい安酒場が集まっていて、ドリンクの値段も店の中でささやかれる口説き文句と同じくらいチープだ。渋谷とその向こうの下北沢にはユニークで手ごろな価格のバーがあるが、銀座はクレジットカードの限界が試される場所である。

日本の小さなバーの外に「パブ」や「スナック」と書かれていたらご用心。アルコールを求める外国人にとって、このふたつの言葉はまぎらわしい。そうした場所はホステスのいるバーのおとなしいところだと分かる場合が多く、従業員が客の払いで嬉しそうに飲みつづける。値段が表示されていることは稀で、常連の連れとしていくのでない限り、夜の終わりには、よく分からない、とんでもない金額を払わされかねない。

とはいえ、これは例外だ。一般に、東京のバーは、言葉が話せなくても歓迎してくれる。酒類販売許可法が厳しくないため、多くのバーが閉まるのは電車が走りはじめる午前5時である。それゆえ、1日の最初の電車には、眠い目をして仕事に向かうサラリーマンと(出勤する必要があるのかないのか)はれぼったいまぶたをした酔っぱらいが混じっている。幸いなことに、日本では、公共の場で酔っていても大目に見てもらえる。

Tokyo City Guide (Edition 5)から翻訳、編集

※掲載されている情報は公開当時のものです。

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