2010年05月17日 (月) 掲載
ごく限られた人々、特に男性ファンが多い鉄道趣味界は実にディープだ。そのせいもあってか、「鉄道が趣味」ということを堂々と言えるようになったのは、ここ数年のこと。以前は切符、模型、ヘッドマークなどのボード類、制服といったマニアックなものが主流だったが、趣味にする層が厚くなってきたため、最近では、携帯ストラップや駅の発車メロディの鳴る目覚まし時計など、さまざまなものが増えている。ここではそんな鉄道趣味グッズを扱う店を紹介したい。
市ヶ谷にある模型や和書、洋書などを扱う専門店。名前にあるとおり、鉄道だけでなく、クルマ、飛行機、船と、幅広い乗り物を扱っている。それぞれの乗り物に関する雑誌や書籍を発行しているイカロス出版が運営しているため、マニア度がかなり高い。同好の士の委託販売もおこなっている。
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新橋にある鉄道グッズの老舗。“コレクター”といわれる人たちが多く集う店である。いまはもう廃止されてしまった駅の入場券や、列車の切符、珍しいオレンジカードなどがそろう。鉄道趣味界の中では骨董的価値を持っていても、一見地味、かつ“集める”ということ以外には価値のないものが多いため、最近興味を持つようになったというファンにはかなりディープな世界かもしれない。車両の横に掲示していた行き先案内板(『サボ』という)や、いまや何に使うかわからない世代も多いだろう切符切り用の鋏、乗務員の制服などはノスタルジックそのもの。
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日本は世界でいちばん鉄道ファンが多い国といわれている。鉄道発祥の国、イギリスには世界の鉄道ファンが聖地と呼ぶ『国立ヨーク鉄道博物館』があるが、それに匹敵するボリュームを楽しめるのが、さいたま市にある鉄道博物館だ。いま乗っている鉄道はどのように発展してきたのか、どういう仕組みで走っているのか。ミュージアムショップをのぞくのは最後の楽しみにして、まずは館内を探検したい。
館内は大きく分けると、ヒストリーゾーンとラーニングゾーンに分けられる。SuicaやPASMOを使用できるエントランスを過ぎ、右手側に広がるのがヒストリーゾーンだ。高い天井の館内には、鉄道開通初期のものからつい最近まで現役だったものまで、30両近い車両が並んでいる。中央のターンテーブルには、その整った容姿から“貴婦人”と呼ばれるC57型蒸気機関車が乗っている。このターンテーブルは一日数回まわり、汽笛を鳴らすパフォーマンスも行われる。昭和初期の豪華な展望車や、全国を駆け抜けた電車特急、寝台特急、普段はなかなかお目にかかれない皇族専用車両も揃う。時代を追ってみるもよし、見かけで選ぶもよし、“本物”の息遣いを感じられる空間だ。また2009年からは、日本の鉄道を世界に知らしめた『東海道新幹線0系』の展示もおこなわれている。丸い鼻の車体はいまや「愛らしい」のひとこと。エスカレーターで吹き抜けの2階に上がれば、車両たちを見下ろすかたちとなる。また回廊状に鉄道の歴史がわかる年表が、それぞれの時代の制服や切符、ポスターなどとともに掲げられている。
ラーニングといっても体験を基本にした子供から大人まで楽しめるもので、堅苦しいものではない。エントランスを左手に進めばそこにはシミュレータが何台も置かれている。通勤電車から新幹線、SLまで、10分程度の運転を体験できる。SLの運転体験は500円、そのほかは無料だ。人気コーナーなので、エントランスにある予約機で予約することをお忘れなく。
2階に上がると、レールの延長およそ1400メートルという、日本最大のHOゲージのジオラマがある。鉄道が24時間365日、休むまもなく走り続ける姿を模型で表現している。手の込んだ模型の美しさは、夜景になるとよりいっそう引き立つ。2階にはこのほか、土日祝日にオープンするライブラリーや、運転士体験教室もある。シミュレータや後述のミニ運転列車は、休日には予約でいっぱいになってしまうことも多いが、運転士体験教室は比較的余裕がある。体験費用は500円だが、現役運転士を講師にした40分ほどのコースは満足のいくものだ。
エントランスの予約機で受け付けるものに、ミニ運転列車体験(200円)がある。屋外にあるミニサイズの鉄道運転を楽しめるものだが、信号に従って運転することはなかなか難しい。いつの間にか真剣にハンドルを握っているはずだ。また館内には数ヶ所のカフェ、そして長年、食堂車を運営してきた日本食堂がある。昔懐かしい味のカレーやスパゲティ、期間限定メニューだが乗務員用裏メニューといわれる『ハチクマライス』が人気だ。旅の楽しみのひとつである駅弁も販売している。ランチトレインといわれるつい先日まで現役だった特急用車両が屋外にあるので、そこで食べることが可能だ。すぐ外には列車が行き交う本物の線路があるので、ちょっとした旅気分も味わえる。
1階と2階、それぞれにあるショップには、キーホルダーや文房具、絵ハガキ、写真集といったオーソドックスなものから、貨物用時刻表など、普段はなかなか手に入れられない書籍もそろっている。国内だけではなく、パリのメトロや、スウェーデン国鉄のオフィシャルグッズなど国際色も豊かだ。最近の人気は、首都圏の駅名をストラップにしたものや、まるで新幹線が走ってくるかのように見える箸『ハシ鉄』(写真)など。石炭をイメージして竹炭を使った真っ黒なあられ『石炭あられ』も定番。
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