2013年05月06日 (月) 掲載
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前回のレポートでは、LGBTQ層が消費行動の際に、店やブランドがLGBTQフレンドリーかどうかを考慮するという意見が見られた。LGBTQフレンドリーとは、一般的にLGBTQ層が「LGBTQへの配慮があり、好感を感じる」対象に対して使う言葉。店やブランドの運営を行なっている企業の場合は、以下のような取り組みを行なっていると、「LGBTQフレンドリー企業」と呼ばれる場合が多いようだ。
・LGBTQ向けのサービスを提供している
・『東京レインボープライド』のようなLGBTQ関連のイベントをサポートしている
・社内に多様性を尊重する制度を導入している
企業にとって、LGBTQ層との接点を持つことは、多様性の推進という企業の社会的責任(CSR)を果たす側面があるほか、可処分所得が多いとされる同層へのマーケティング機会としても捉えることができるだろう。企業にとって、LGBTQ層とどう関わればいいかのヒントを探るべく、東京LGBTQサーベイ第4回では、「LGBTQフレンドリー企業」をテーマに、LGBTQ層が企業に感じる思いや意識を見ていく。
LGBTQ層は、どんな企業を「LGBTQフレンドリー」だと感じているのだろうか。調査対象者に、LGBTQフレンドリーだと思う企業名を尋ねた結果が以下のランキングである。トップのソフトバンク以外は、外資系や海外ブランド企業が多くを占めており、日本企業は、多くない。ソフトバンクがトップに上がった理由としては、2007年に住所が同じあれば同性同士でも利用できる家族割をスタートしたことやLGBTQ関連イベントへ積極的に協賛をしていることが考えられる。LGBTQ層が実際に利用できるサービスを提供し、同層に対して積極的にマーケティングしている戦略が効いていると言えるだろう。2位のGoogleに対しては、「社内外でとてもオープンにLGBTQに関する話ができる」「セクシュアリティに関係なく人材を採用している」などのコメントが見られた。LGBTQに限らず、多様性を尊重している企業風土が反映された結果となった。
・ソフトバンクについて: 同姓パートナーへの家族割など、かっこいい姿勢だと思います。
・googleについて:社内外でとてもオープンにLGBTQに関する話ができる。
・ボディショップについて:店員がゲイフレンドリーに感じる。
・タワーレコードについて:タワーレコードは新宿にLGBTコーナーがあったし、雑誌の取り扱いも多かった。
・IBMについて:ゲイフレンドリーな雇用をしていると読んだことがある。
次に、LGBTQ層は企業のどんな領域を重視しているのかを尋ねた結果をヘテロセクシャル層の回答も併せて見ていきたい。ヘテロセクシャルを含めた全層で、「顧客を大切にする姿勢」「社員の対応・態度」「アフターサービス」といった企業の顧客に対する商品・サービス・接客の質に関する項目に加え、「企業の個性やセンス」「企業の理念や考え方」といったその企業のベースとなる部分にも評価が集まっていることがわかる。企業の商品・サービス・接客を重視する傾向は、前回のレポートでも見られた「店員・従業員の対応を、厳しく評価する」というゲイ層、レズビアン層の消費行動に現れているといえるだろう。ボディショップや伊勢丹などへは、「好感をもてる接客してくれた」とのコメントが多く集まり、店頭での対応がその企業がLGBTQフレンドリーかどうかの評価にダイレクトに繋がる可能性があることを表している。
最後に、LGBTQフレンドリー企業への支持を見てみよう。LGBTQ層とヘテロセクシャル層にどんな企業と、支援、購入、利用などの接点を持ちたいかを尋ねた。LGBTQ層では、「LGBTQを差別することなく積極的に採用している」「多様な文化・芸術を支援している」「マイノリティーの権利向上を支援している」企業への支持が集まった。注目すべきは、ヘテロセクシャル層の反応。LGBTQ層と同様、LGBTQフレンドリー企業の活動に高い支持を示した。ヘテロセクシャル層がLGBTQフレンドリー企業を気にしているという結果が見られたのは、企業におけるLGBTQ関連の取り組みが、周辺の共感層まで広がっていることを表している。このようにヘテロセクシャル層へも影響があるLGBTQ層は、企業にとって、いままで以上に無視できない存在になるだろう。
(1)カミングアウト
(2)ヘテロとの関係性
(3)興味・こだわり領域、消費スタイル
(4) LGBTQフレンドリー企業
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