2013年05月04日 (土) 掲載
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新しいレストランや話題のファッション、気になる芸能ニュースなどを素早くフォローし、トレンドに敏感だというイメージがあるLGBTQ層。前回のレポートで明らかになったように、ヘテロセクシャルとLGBTQとの距離が近づいていることを踏まえると、LGBTQ層の行動様式は、社会のマジョリティへの影響力、発信力を備えている注目するべき層と言える。では、LGBTQ層は実際にはどんな領域に関心があり、どんな消費行動をとっているのだろうか。東京LGBTQサーベイ第3回は、「消費スタイル」と「興味・こだわり領域」をテーマに設定し、LGBTQ層の消費に関する行動を紐解いていく。
最初に、LGBTQ層が、どのように意識で消費をしているか、消費をする時にどんな行動をとっているかを見てみよう。各層に消費に関する意識や行動で当てはまるものを挙げてもらい、それぞれベスト7までの回答をグラフにまとめた。
ゲイ層では、「商品の内容だけでなく、デザイン・センスを気にする」がトップにランクインした。この意識は、全層で3位までにランクインしていることから、ゲイを始めとするLGBTQの代表的な消費スタイルとして捉えることができる。次にゲイ層でランクインしたのは「店員・従業員の対応を、厳しく評価する」という意識。コメントを見ると「ショップスタッフが親切にしてくれて思わず買ってしまった」という経験をしているゲイ層もいるようだ。モノへこだわるのはもちろんだが、消費体験そのものにもこだわってると言える。また、「好きなブランド・嫌いなブランドの差がはげしい」がランクインしているように、好き嫌いのジャッジがはっきりしているという傾向もあるようだ。それが消費と結びつき、「同じものの種類違いを大量に買う」とコメントに見られたような、好きなものはとことん買う消費スタイルを生みだしているようだ。
ゲイ層自身の消費スタイルについてのコメント
・全体的に一つの物に対してこだわりがつよいと思います。
・品質と値段のバランスをとるのが上手だと思う。
・電車代を使ってでも、気に入った店で髪を切ってもらったり、服を買ったりする。
・同じものの種類違いを大量に持っている。
・交際費にお金をかける。
・あるショップで買おうか少し迷っていた所、若くてチョッと見た目は大丈夫かな?という感じでしたが、親切にしてくれて思わず買ってしまった。
レズビアン層でトップにランクインしたのは、「多少値段が高くても気に入れば買う」という意識。自分の生活を快適にすることに対して、お金・時間を惜しまない傾向にあるようだ。「店員・従業員の対応を、厳しく評価する」も上位にランクインしていることから、ゲイ層と同様に、体験を重視する手厳しい消費者であることもわかる。
レズビアン層自身の消費スタイルについてのコメント
・シングルが多いのでファッションには気を遣う、お金をかける人が多いと思う。
・ゲイは色々こだわりそうだけど、ビアンはこだわりないと思う。
・ある店で、若い店員が非常に馴れ馴れしい口調で話しかけてきた時、思わず買うのやめました。
ほとんどが、ゲイ層とレズビアン層と同じような意識だが、「インターネット情報を重視する」が唯一バイセクシャル層でランクインした。コメントに見られた「企業や店がゲイフレンドリーかどうかを重視する」という意識が反映されているようだ。
バイセクシャル層自身の消費スタイルについてのコメント
・その企業がゲイフレンドリーかどうかなど、企業理念に賛同できるかなどを気にする。
・自分らしさを第一においている。
・他人の意見などを一応気にしてよく聞くとは思うが、最終的には自分のテイストや主張を優先する。
下位に入ったのが「どこのメーカーかを意識する」「ブランド商品にはそれなりの良さがあると思う」という意識。他の層と同様にこだわりは持ちつつも、消費体験よりは、モノに重きを置いているのが伺える。
クエスチョニング層自身の消費スタイルについてのコメント
・自分ならではの基準というものが、比較的しっかりしているように思う。
・良いもの、品質等にこだわりがあると思う。
・一風変わった商品が好き。少々値段が高くてもデザインや個性のあるものなら買う。
・デザイン性の高いボールペンを大人買いしたことがある。
次に、ヘテロセクシャル層が、LGBTQ層の消費スタイルについてどんなイメージを持っているかを見てみよう。
ヘテロのイメージでは、「商品選びのセンスが良い」がトップになっているが、LGBTQ自身では各層ともに、必ずしもトップに挙がっていない。「商品選びのセンスが良い」というLGBTQ層の消費スタイルに対するイメージは、ヘテロセクシャルの過剰評価であることがわかる。LGBTQの各層で高かった「商品の内容だけでなく、デザイン・センスを気にする」は2位に入り、ヘテロのイメージとLGBTQの意識が合致している。これまで、LGBTQ層でランクインしていた「好きなブランド・嫌いなブランドの差がはげしい」や「店員・従業員の対応を、厳しく評価する」は、ヘテロのイメージでは、ランク外になっている。ヘテロセクシャルがイメージしにくいLGBTQ層ならではの消費スタイルがあることが浮き彫りになったと言えるだろう。
ヘテロがイメージするLGBTQ層の消費スタイルについてのコメント
・何に対してもオープンで、直感が冴えている。
・自分のポイントをしっかり押さえている商品を選ぶ。
・自分の意志に自信があっても、周りの誰かに確認をきちんとして買い物をする。
・物の考え方、見方が広いように思える。
・より、女らしさ男らしさを感じる服装をしているイメージがある。
・商品そのものだけでなく、その裏にある事も詳しく調べて知っている。
・彼(女)らは基本的に人や周囲を良く見ている。気にしてくれています。
・ひとつのことに興味を持って突き進む。その割に冷める時はさっと冷める。
・流行に敏感だと思う。よく新しい食に関する情報(レストラン、カフェ)や服について教えてくれる。
最後に、LGBTQ層は、どんな領域に興味・こだわりが強いか見てみよう。「音楽・映画」や「ファッション」、「環境問題」、スポーツなど10の領域について、こだわりの度合いを尋ねた。
ゲイ層は総じて他層よりも興味・こだわりが強く、LGBTQ層のなかでも「こだわりのリーダー」と言える。「旅行・レジャー・遊び」「健康」「ショッピング」「美容」「インテリア」「スポーツ」については、トップで、特にゲイ層のこだわりが強い領域になっている。
ゲイ層の興味・こだわり領域についてのコメント
・旅行は、パッケージやガイドに頼らずできるだけ自分で探す。
・インテリアは、自分の家を自分にとっていかに居心地良くできるかを追求する。
・興味のあるサッカーなどの観戦を積極的にしている。マラソンは参加するのが好きで走ることからボランティアまで幅広くやっている。
「料理・食・レストラン」「環境問題」に最も関心があり、「オーガニック、フェアトレード、動物実験をしていないものを買う」という意識の高いコメントも見られた。反面、「ファション」「美容」は低かった。
レズビアン層の興味・こだわり領域についてのコメント
・食品、服、化粧品は、オーガニック、フェアトレード、動物実験をしていないモノを選ぶ。
・LGBTの映画を観て勇気や元気をもらい、影響を受けたことが大きい。
バイセクシャル、クエスチョニング両層はテロセクシャルとほぼ同様の興味・関心・こだわり傾向を示すが、「健康」「スポーツ」は低い傾向にあるようだ。バイセクシャル層のみ「ファッション」は、高くなっている。
バイセクシャル、クエスチョニング層の興味・こだわり領域についてのコメント
・食べ物は栄養などにこだわって多少高くても身体によいものを選ぶ。(バイセクシャル)
・テレビなどのメディアをあまり信用できないし有用できないし、有用ではないのでインターネットで真実
で有用な情報を集めたい。(バイセクシャル)
・本は岩波文庫と新潮文庫の文芸、古典、学術書を読む。映画は、日経新聞の映画評、午前10時の映画祭を参考にしている。(クエスチョニング)
・環境問題だけでなく、労働問題など優良企業のものを買うようにしている。(クエスチョニング)
化粧もまったくしないし、美容に関しては無頓着。逆にパートナーは、プロ並みに美容の知識があり、キチンとお手入れしているので、私も最近やっと化粧水くらいは使うようになった。(飲食店マネージャー/35歳/レズビアン)
食事、旅行など、いまの生活をパートナーと一緒に楽しむことに関しては、お金を出す。(OL/30歳/レズビアン)
ダイエット、美容、ファッションに関する話題のときは、いつの間にかみんなを聞き役にしていることが多いかも。(アパレル/28歳/ゲイ)
オランダのファッション・カルチャー誌「Fantastic Man」「BUTT」は、ゲイの美意識の高さ、センスの良さを体現しているメディア。日本でも、そういったプラットフォームが生まれてほしい。(編集者/32歳/ヘテロセクシャル)
(1)カミングアウト
(2)ヘテロとの関係性
(3)興味・こだわり領域、消費スタイル
今後の更新予定
(4) LGBTQフレンドリー企業
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