“廃校”を理解するための5

オフィスやミュージアム、イベントスペース化する校舎

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“廃校”を理解するための5選

IID 世田谷区ものづくり学校

教室、体育館、校庭、といった学校の原風景は、誰にでも共通のものだ。しかしそんな母校を失ってしまったという人も、少なからずいるだろう。東京には総人口の1割程度が集まっているが、少子化などの影響で公立の小・中学校は統廃合がすすみ、廃校が目立つようになってきたからだ。しかし国内はもとより、世界を見ても有数の地価をほこる東京では、そんな廃校も立派な“資源”だ。

近年、廃校を利用した施設が増加の兆しを見せている。オフィス、ミュージアム、イベントスペース、ワークショップなど、様々な形で利用されており、地域に密着した活動がその特徴だ。入場は基本的に無料の場合が多く、カフェが併設されている施設も多いので、ゆっくりと時間を過ごせる憩いの場としても機能している。ここでは廃校を利用した代表的な施設を5つ、紹介する。足を踏み入れた瞬間の郷愁は、廃校ならではのものだ。

IID 世田谷区ものづくり学校

IKEJIRI INSTITUTE OF DESIGN(IID)世田谷ものづくり学校は、統廃合により閉校となった旧池尻中学校の校舎を再生するプロジェクトとして、2004年10月にスタートした。施設内にはクリエーターのオフィス、ギャラリーやカフェ、試写室のほか、展示やイベントなどに使用できるマルチプルスペースなどが併設されている。プロのクリエーターらが講師を務めるワークショップや、大人から子供まで参加できるイベントなども注目を集めている。

ヴェニュー:IID 世田谷区ものづくり学校
ヴェニュー:GO SLOWゆっくりとカフェ

3331 Arts Chiyoda

2010年3月、秋葉原の一角に大型のアートスペースがオープンした。同施設は旧練成中学校の校舎を利用、かつての教室にはアートギャラリーなどが入居し、展示なども行われている。エントランスと隣接した公園は一般にも開放しており、このほか利用可能な屋上や体育館などでは、年間を通じてイベントやワークショップなどが予定されている。施設名に含まれている“3331”とは、「イヨーオ」の掛け声に続き、3度、3度、3度、1度と手を打つ日本の風習、『江戸一本締め』を数字表記したもの。

ヴェニュー:3331 Arts Chiyoda

東京おもちゃ美術館

旧新宿区立四谷第四小学校の校舎を利用した“おもちゃ”の美術館。「世界のおもちゃと友達になろう」というスローガンのもと、赤ちゃんからお年寄りまで楽しめるミュージアムを提案している。館内には、日本伝統のおもちゃを展示する部屋、ボードゲームを楽しむ部屋、ミュージアムショップ、お休み処など、教室を利用した様々な部屋がある。授乳コーナーやおむつ替えコーナーもあるので、まだ小さい子供を連れて行くことも可能だ。様々なイベントも開催されているので、ウェブサイトをチェックしてほしい。駐車場は近隣のものを利用することになるが、値段に差があるので、周囲を1周してみることをおすすめする。

ヴェニュー:東京おもちゃ美術館

芸能花伝舎

芸能に関する様々な調査研究、情報収集・発信などのため、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が元淀橋第三小学校を借り受け運用している。実演家団体のオフィスのほか、芸能及び芸術に関わる活動に利用できる稽古スペース、会議スペースなどを併設。芸能、芸術関連のイベントやワークショップも開催されている。

ヴェニュー:芸能花伝舎

にしすがも創造舎

廃校となった旧朝日中学校を利用し、文化芸術創造の拠点として2004年8月にオープンした。教室だった稽古場、音楽室などを貸し出し、様々なアートプログラムを展開している。1階にはカフェ『カモ・カフェ』が併設されている。

住所:東京都豊島区西巣鴨4-9-1
休館:第4水曜日
ウェブ:sozosha.anj.or.jp/

カモ・カフェ
ウェブ:camo-cafe.anj.or.jp/

テキスト Takeshi Tojo
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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