‘Iseya Souhonten’ (c) Martine Cotton Photography
2010年03月22日 (月) 掲載
2つの路線が乗り入れている吉祥寺は、新宿や渋谷まで20分足らずで出ることができる好立地にある。加えて、季節を体感できる井の頭恩賜公園や、ファンキーなショップやカフェが散在するこの場所は、常に「東京で住みたい街」の上位にランクインしているのも不思議ではない。東京での生活にありがちなストレスを、この街のゆったりとリッラクスした雰囲気が取りはらってくれるからだろう。
一方でその人気がゆえに、吉祥寺にも他都市同様に再開発の影が忍び寄っている。2010年3月14日をもって閉店した伊勢丹吉祥寺店はH&Mへ変わることが発表されており、ユザワヤ(手芸品を多種多様に揃える専門店)吉祥寺店は2010年4月2日から丸井吉祥寺店の7階と8階に移転。ユザワヤが入居していた駅ビルは、ホテルに再建されると噂されている。一方、吉祥寺ロンロンは、駅の改装に合わせて2010年にアトレ吉祥寺としてリニューアルオープンすることが決まっているため、再開発によって良い流れが生まれることも期待される。
吉祥寺における賃料の値上げや再開発はさておき、この街の魅力は数多い。たまには電車で少し西へ向かい、この郊外のオアシスに足を運んでみてほしい。以下に吉祥寺でのお勧めスポットを挙げる。
井の頭恩賜公園こそが吉祥寺のハート&ソウルと言っても過言ではない。この公園は、単なる人気花見スポットに留まらない。夏場の木々や秋の紅葉など、四季を通して、家族、カップル、ジョガー、ペット愛好家などが楽しむ姿が見られる。公園内の弁財天を参拝したり、池でのスワンボート(30分700円)、または手漕ぎボート(30分600円)を体験したり、ストリートミュージシャンの歌に耳を傾けたりしてもよい。どのような理由であれ、公園を訪れたら、ブルースカイコーヒーでゆっくりとシアトル系コーヒーを味わうか、七井橋通り口近くにある『Mizuki』のフレーバーソフトクリームを楽しんでみることをお勧めする。
井の頭恩賜公園(ヴェニューはこちら)
1928年創業したいせや総本店は、吉祥寺を代表する飲食店だ。店内は昭和初期を彷彿させる雰囲気と値段の安さでたくさんの客を集めている。店の雰囲気が1本80円の焼き鳥の味をさらに美味しく感じさせるようで、貧乏学生、好奇心旺盛な旅行者やサラリーマンたちが、古くなった店の床をきしませながらたびたび来店する。330円の自家製シューマイや、480円の揚げ餃子が人気だが、同様の値段で食べられる他のメニューも是非オーダーしてみてほしい。
いせや総本店 公園店(ヴェニューはこちら)
店はハンモックを販売する『Hammock2000』のショールームを兼ねているため、店内には椅子がひとつもない。客は好きなハンモックを選び、そこに座るというのがこの店のスタイルだ(時間制限あり)。ギャラリーやイベントスペースとしても機能しているため、子供の利用は断られている。フードメニューは栄養バランスの整ったものが多く、ひとつひとつのメニューにはそれぞれ栄養面の効果が書かれている。ドリンクは、ビール専門店のビール、オリジナルハーブカクテル、コーヒー、紅茶などがある。家でも自分の“基地”を楽しめるよう、ハンモックの販売もしている。
ハンモックカフェ マヒカノ(ヴェニューはこちら)
最近オープンしたこのカフェは、昔から形に捉われない演劇が楽しめることで名高い、吉祥寺ならではのカフェといえる。日中は簡単なフードとドリンクのメニューが500円から用意されている『絵本カフェ』。夜は、空中ショー、キャバレー、ダンスなど、あらゆるジャンルのショーで客をもてなす『ショー&カフェバー』に変貌する。ショーチャージは2,000円だが、軽食と飲み放題がついたコースも用意されている。営業時間やショータイムのスケジュールはウェブサイトでチェックしよう。
サーカスカフェ(ヴェニューはこちら)
舞踏家であり演出家の麿赤兒が監修を務める大駱駝艦は、日本で最も伝統のある舞踏集団だ。吉祥寺がホームグラウンドのこの集団は、吉祥寺駅中央口からほど近く、居心地の良い雰囲気の壺中天でリハーサルと本番を行っている。若手のメンバーには積極的にオリジナルの表現に挑戦させており、それらの多くは定期的にステージで披露される。もう少し舞踏に足を踏み入れてみたい方には、大駱駝艦による舞踏レッスンを受けてみることを勧める。スケジュールと詳細はウェブサイトをチェックしよう。
大駱駝艦『壺中天』(ヴェニューはこちら)
「あのバーに行ったことがある。それも飲んだことがある」と、新しい場所を探しているバー愛好家は、今すぐにここに足を運んだほうがよい。どこか懐かしい雰囲気を持つこの路地に立ち並ぶ立ち飲み屋と飲食店は、様々な人を魅了しており、昔ながらの日本の酒文化を垣間見ることができる。もちろんこのエリアにも少なからず新たな風が吹いている。ハモニカ横町で1番新しいテナントはネイルサロンだ。しかし、古くからの焼き鳥てっちゃんは不動の人気を誇り、気軽に酒を楽しめるエイヒレは最近オープンした新店舗だ。晴れた日にはMoskowの天井に広がる景色を楽しむのもいいだろう。ハモニカ横町の醍醐味は夜だけではない。夜の騒々しさとはかけ離れ、日中には魚から漬物まで幅広い食べ物が売られている。また、みんみんの餃子、天音のタイ焼きや葛餅なども楽しめる。ステーキハウスサトウにできる長蛇の列に並んでみるのもいいかもしれない。
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1−1
ラーメン業界で近年注目を高めているのが女性向けのラーメンだ。イタリアンシェフの石塚和夫がプロデュースした黄金の塩らぁ麺Ayumiがその流れを築き上げた。かつて、国境を越えた麺の楽しみ方はマルコ・ポーロによって伝えられたが、石塚はその手で、地中海のスタイルと中国の食材を掛け合わせた新しい味を導き出した。1杯980円の白いらぁ麺は、アルデンテの麺をプロシュートとホワイトソースのスープで楽しむ1杯だ。店内のモダンな家具がファッショナブルな雰囲気を演出しているため、彼女をデートに誘ったり、気になる彼に好印象を与えたりする場としても使える。
黄金の塩らぁ麺Ayumi (ヴェニューはこちら)
近年、東京で美味しいパンを見つけることはさほど難しいことではない。しかし、フランスパンは普及しても、その他の欧州を代表するパンは未だ取り扱っている店が少ない。店のオーナーである藤本賢二は、サンロードにあるこの店に、プレッツェル、黒パン、ライ麦パンなどあらゆるドイツパンを揃えた。全体的に価格は高めだが、伝統的なドイツのサンドウィッチや、見ているだけで楽しい菓子パンは、比較的リーズナブルな価格で用意されている。店内で食べることもできるが、テイクアウトして井の頭恩賜公園で食べるのもいいだろう。吉祥寺までは足を運べない方のためにオンラインストアもある。
ベーカライカフェ・リンデ(ヴェニューはこちら)
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