2011年08月03日 (水) 掲載
日本では、同性愛者だということ自体、まだまだ社会的にカムアウトしづらい状況の中、同性愛を正しく理解して雇用待遇などを考慮してくれる企業がいくつあるだろうか?アメリカにおいて社員へ、さらにLGBTコミュニティーへもいち早く理解を示して異性愛者と同じようにフェアに対応している手本となるべくアメリカン航空からリアルにその実情をお伝えしたい。まず実際に働いているLGBT社員の一人、ケヴィン・マッカーシーにインタビューを試みた。
ケヴィン:私は現在45才、ゲイです。24年半にわたってアメリカン航空のフライトアテンダントとして働いています。
-- 仕事をしていて良かったなと思うことがあれば、具体的に教えて下さい。
ケヴィン:フライトアテンダントという仕事が好きなので、お客様の要求に応えることは私にとっては天職ですね。アメリカン航空は私に誇りを持たせてくれる会社なんです。
-- 福利厚生で特に気に入っている内容や、役に立っていることなどはありますか?
ケヴィン:社員の福利厚生の一部として、同性のパートナーにも、異性のパートナーとの結婚で付与されるものと同じ健康保険と旅行特典が与えられています。自分にとって人生で最も大切な人も他の社員のパートナーと同じようにアメリカン航空の提供してくれる保険で守られているという安心感がありますね。会社が私達のコミュニティーとニーズを理解してくれていることに感謝していますし、雇用主として、とても公正かつ責任ある判断をしていると思いますね。
その福利厚生についてアメリカン航空とアメリカンイーグルのLGBT従業員グループ『GLEM』代表のジェフ・タウンゼントに聞いてみた。
ジェフ:健康保険については、資格要件を満たしている全ての従業員に提供されます。法の範囲内で、同性のパートナーを持つ従業員も異性愛の夫婦と全く同じ扱いであることを保証できるよう努めています。
-- 雇用に関しては、採用する際に特別な対応があるのですか?
ジェフ:採用の際には、特別な偏見を持つこと無く彼らの資質だけを見て決めますね。私達はLGBTの従業員を含め、とても優秀な人材をスタッフとして抱えていることに誇りを持っています。
-- LGBT従業員の活躍について、具体的に何かありますか?
ジェフ:まず、優れた対人能力を持っている人が多いと思いますね。操縦室であったり客室であったり、地上であったりオフィス内であってもアメリカン航空内全てのエリアでLGBTスタッフが働いています。『人権キャンペーン』によれば、LGBTの人達にとって、アメリカで一番働きやすい会社のひとつとしてランクされ続けています。
さらに、LGBTコミュニティーへの取り組みについて聞いた。
-- アメリカン航空にとって最初のLGBTマーケティングは、いつ、どんな理由で起こったのでしょうか?
ジェフ:1994年にアメリカン航空はLGBTの旅行者や団体に対して専門のチームを編成しました。私達の認識では、アメリカン航空がフォーチュン100にリストされた会社の中で最初だと思いますね。LGBTの旅行者は、アメリカン航空を好んで頻繁にご利用くださるお客様であることを私たち自身が常々痛感しており、私たち自身も彼らを歓迎していることを伝えたかったんです。また、アメリカにおけるLGBTの団体旅行の促進や、LGBT団体によるプログラムへの協賛や広告掲出にあたっては、代表的なLGBTのNPOと密に連携することから始めました。社会への還元は、企業にとって社会に対する責任の一部分だと信じています。
-- そのLGBTコミュニティーへ向けた具体的な取り組み方とは?
ジェフ:主要なLGBT組織の大半との密接な関係があり、会社としても個人の従業員としてもこれらの組織に参加しています。私達のLGBT従業員グループ『GLEM』は、16年前にアメリカン航空の中に組織された最初の従業員グループです。現在では各々異なる背景を持つ従業員を代表として構成されている従業員グループは16ありますね。『GLEM』のメンバーは、アメリカン航空やアメリカンイーグルで様々なボランティア活動に積極的に参加しています。アメリカにおける公共の場やLGBTプライド・イベントで、会社を代表して活動ができることを誇りに思っています。
-- LGBT向けに特化したオンラインでの取り組みは、アメリカン航空へ、または利用者へ、それぞれにどんな効果をもたらしていますか?
ジェフ:アメリカン航空が、最初にLGBT旅行者向けの情報を発信するウェブサイトを作りました。イベントやキャンペーン情報、コミュニティー情報などを定期的に配信しているレインボーニュースレターを希望するAAdvantageメンバーへ配信する上でも役立っていますね。
-- 日本でのLGBTマーケットへ参入する考えなどありますか?
ジェフ:世界のLGBTコミュニティーが、日本を含める海外の多くのお客様と密接につながりを持つように進めていきたいと思っています。私達のミッションは、アメリカン航空をよくご利用くださるお客様(LGBT層)も含めた全てのお客様へ利便性や品質、そしてサービスを提供するための世界的なパートナーになることと考えています。
冒頭のフライトアテンダントのケヴィンへ再度質問を投げかけてみた。
-- その他にアメリカン航空で働いていることで良いと感じていることって何かありますか?
ケヴィン:これまでの私のキャリアはとても報われていると思いますね。フライトアテンダントは専門性のある特殊なグループで、家から離れているフライト中は、言い換えれば、他のフライトアテンダントや同僚は家族みたいなものです。アメリカン航空は他者からの差別や危害から私たち従業員を保護するため、職場では差別や危害に対して断固たる方針を持っています。その姿勢が明確にわかることで、日々安心して仕事ができますね。職場での不安感がなくゲイでありつづけることができる職場環境に感謝しています。私はアメリカン航空の一員であることをとても誇りに思っていますよ。
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