2010年01月08日 (金) 掲載
2010年1月9日(土)から、神奈川・葉山にある創作ギャラリー蓮RENにて、『うずるくらし展』が開催される。都市のコンサルタントを主な業務とする北山創造研究所が、“うずる”という暮らし方を提案。それをテーマに13人の作家たちが制作した作品が展示される。
北山創造研究所は、人が賑わい、楽しく過ごせる街と暮らしを提案し続け、これまでに、数多くの都市づくりをてがけてきた。たとえば、サンストリート亀戸では、1500億円かけた超高層ビル計画を中止し、広場と低層の 商業施設が並ぶ“街の居間”を実現した。350坪ある広場は、一年を通して市民に解放されており、年間500回以上のイベントが開催される人々の交流の場となっている。
今回の展示会のテーマ、“うずる”とは、いったい何なのか。北山創造研究所の代表をつとめる北山孝雄に話を聞いた。
今回の展示会のテーマである“うずる”とは、どんな意味ですか
北山:うずは“渦”でしょう?ハリケーンでも中心があって、渦が巻いているわけよね。明石海峡にも渦が巻いているじゃない、あれよ!
渦の中心は、どこにあるのが良いのでしょうか?
北山:渦の中心っていうのは、いろんな所にあると思うんだけど、『うずるくらし展』の場合は、『日本性の日本製』が中心になったら良いなぁって。ここ20年くらいで、ものすごくテクノロジーが進歩したから、地球がひとつみたいになってきたじゃない。そうすると、そこにしかないものに価値が出てくる。日本だったら、日本人の体質とか、自然とか、文化とか歴史はどんなんだったかなってところを掘り下げて考える、もしくはそれを表現 する、暮らしの中に取り入れる。そういうことをしないと、外国人が日本に来た時に、何も面白くない。 日本でないと体感できないことを少しでも多く作っとかないと、日本ってなんやねんってなるんちゃうかな。
東京で好きな場所はありますか?
北山:浅草とか。押上とか。向島とか、あのあたりが好き。自分が背伸びしないで、日常感のまま歩いていられるなぁって。
世界に日本が誇れる文化や風習は何でしょうか?
北山:日本人って、目的性があんまりないけど勤勉に働くよね。あと日本って、北海道とか、熊本とか行ったら、本当に今世界で欲しいと思っているきれいな空気とか、草原とかすごいあると思う。飛行機で北海道なんか降りると、やっぱりアラブの人が見たら、夢の国のようだと感じると思うけどなぁ。
十勝とか、阿蘇とか、自然が素晴らしいですからね。
北山:そうそう。アラブの人たちはね、じゃあ、北海道っていくらあれば買えるんだろう?って思うわけですよ。例えば今、ミッドタウンだったら、土地と建物で1兆円くらいで買えるわけ。北海道の土地全部だと、100兆円くらいで買えるんちゃうかな。そうしたら、ミッドタウン10個より、ずっと価値があるわな。だから、日本には良いものがいっぱいあるのよ。 あと、歴史的なものもいっぱい良いものあるやろ。特に京都なんかは山のようにある。だから、きれいな空気とか水とか、緑があって、なおかつ文化材があんねんで。それとやっぱり、非常に勤勉な体質。それから、ちょっと忘れられてるけど、見直せば礼儀正しい日本人、みたいな。
そういう本来、日本人の持っている資質を渦の中心に置き直してみる、ということでしょうか?
北山:質素な暮らしを始めて行けば良いって感じやな。全て仕切り直しなんやろな。
仕切り直しは良くなるチャンスですか?
北山:チャンスって思い込むしかないやん。ピンチなんやから、次はチャンスがあるって思うしかない。そのためにやっぱり元気がないとあかんねん。そういえばこないだ、矢沢永吉を見てびっくりした!
紅白歌合戦ですか?
北山:前から友達がファンで、ライブ行こうや、行こうやって言うのに、嫌やって断ってた。だけど、あの紅白見て、若いのに立ってるのがやっとみたいな歌手もおったけど、矢沢が出てきて、ありがとう!とか叫びながら、でも歌詞間違えたりして (笑)、とにかくすごいのよ。半端やないな。それから慌てて4時間のライブDVDを買いに行って、すぐに4時間観た。あんなんがな、例えば10人いたら、社会は変わる、みたいなとこあるよな。素晴らしいね。あんなんがおるんだから。
今、お仕事以上に夢中になっていることってありますか?
北山:何にもない。仕事が一番面白いやないの。 実戦やん。実戦球や!良く、野球選手なんかも言ってるやない、実戦の球を打たなきゃ駄目だって。やっぱり練習ボール打ってたら、なんぼ打っても違うのよ。仕事は練習ボールやない。そやから、面白いよ。
それで、死ぬまで生きるんですよね、実戦球を打ちながら(笑)。
北山:そうや、死ぬまで生きるんや。大丈夫や(大笑)。 死ぬまで生きるんやよ、ありがとう。
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