災害情報をツイートし続けた6

地震発生直後から東京で、情報提供に貢献した外国人へのインタビュー

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災害情報をツイートし続けた6人

3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生した。東京も大きく揺れ、ほとんどの通信がすぐに使えなくなったが、維持されたものがひとつある。地震発生直後、ツイッターからは次々に情報が流れて来た。多くは憶測に過ぎないものばかりだったが、わずかながら事実に基づいたものもあった。日本に住みながらも日本語を話さない者にとっては、明確で信頼できる情報を見つけるのは不可能に近い状況だった。西側のメディアは、どこが衝撃的なヘッドラインをつけるか競うことだけに気を取られているようだった。

日を追うに従って、ひと握りの日本居住ユーザーが、冷静な情報源として際立ち始めた。想像でパニック一色の見出しを流すことに忙しいメディアを拒み、信頼されているデータを用いることを選んだ。

震災発生から1週間後、彼らはタイムアウト東京にそれぞれの体験を語ってくれた。

ブレット・ブル:@tokyoreporter


本名:ブレット・ブル
ユーザーネーム@tokyoreporter
所在地:東京
職業:日本の建設会社の土木技師であり、ジャパンタイムズ、バラエティ、メトロポリス、CNNトラベラーなどのフリーライター。

地震発生時は、どこにいましたか。
大塚の事務所で机に座っていました。

いつの時点でツイッターを使おうと思いましたか。ツイッターが相応しいと思ったのはなぜですか。
最初の揺れがはじまったとき、急いでメッセージを2つ投稿しました。揺れが続いたので、机の下に飛び込み(永遠のような一瞬の間)、揺れが収まるのを待ちました。その後、気象庁で地震データを確認して、それをツイートしました。

これまでにも、主にちょっと変わった内容のものから普通のニュースまで、ツイートしていたので、地震情報を流すのは自然なことでした。さらに、津波による破壊がはじまり、この状況が極度にひどいものだと気づきました。事務所のテレビでは、NHKが10メートル級を含む津波警報を発し、農地が冠水し始め、火の手が上がり、船が港に打ちつけられ、そして仙台空港が水に浸かる様子が映し出されました。海外では誰も、この映像を入手できず報道することもできないだろうと考えました。実際、そのとおりでした。反響は圧倒的で、だからその夜もその次の日も地震に関する情報をツイートし続けたのです。

その後、東京での生活はどうですか。普段は行かないような所へ行ってみましたか。何か印象的な光景に出会いましたか。
いつもは自転車で移動しています。その金曜の夜(最初の地震の後)は異様な世界でした。東京の道路や歩道は歩行者で溢れていました。公衆電話の前には長蛇の列ができ、渋谷駅の周りではタクシーやバスを待つ人達が大勢いて、コンビニの陳列棚はカラッポになりかけていました。

日曜日、仙台へ行きました。フィンランドのテレビ取材班の同行です。中心街に立つビルはそれほど損傷を受けてはいませんでしたが、街のいたるところが停電していて、ガソリンスタンドの列はとんでもなく長く、スーパーの前では人々が列をつくり、津波に破壊された海岸部の惨状は、テレビに映し出されたのと同じくらいぞっとするものでした。

ツイッターフォロワーへの情報更新のために、なくてはならない情報源は何でしたか。
事態の段階によって変わりました。最初はNHKの津波被害の中継で、その後は、NHKに加えてUstreamに組まれた主なネットワークらを利用しました。被災地へ到着したのは日本のメディアが最初だったので、被害の写真は産經新聞などで探しました(写真に言語は関係ありません)。今は、Ustream版 NHKワールドには英語通訳があるので、記者会見の引用ツイートは前ほどしていません。だから、東京の計画停電に関するニュースのように、英語では手に入りにくい情報に焦点をあてるようになりました。

正直に、土曜日より以前に“シーベルト”を聞いたことはありましたか。
はい。土木技師の仕事をしていますし、物理学を勉強しました。とは言うものの、日常会話で“シーベルト”が使われるのを聞いたことはありませんでした。

多くの人が東京の安全性を心配しています。首都から避難することを考えていますか。現時点での考えを教えて下さい。
それはいい質問ですね。今のところは、避難せざるを得ないような理由はないと思っています。しかし、それは避難しないと言っているわけではありません。日によって変化する非常に深刻な事態だと思います。

特に好意を寄せているチャリティ活動やNPO組織はありますか。
Second Harvest Japanに注目している人達からたくさんの呼びかけを受けたので、そのリンクを送信しました。

万事良い方へ向かったとして、近い将来、東京で一番楽しみにしていることは何ですか。
この出来事は、ほぼ間違いなく東京を変えます。私は何を楽しみにしてるのか、まだはっきりと言えません。おそらく、大地の震動が終わるとき、そこが大きなスタート地点になるでしょう。

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インタビュー ジョン・ウィルクス
翻訳 ウィルクス 恵美
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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