2011年03月21日 (月) 掲載
震災後、東京のスーパーやコンビニで商品を買い占めているような人を見ると、やり過ぎではないかと思ってしまう。たしかに、白米、カップ麺、食パン、ミルク、ミネラルウォーター、そしてトイレットペーパーは、この数日間、入手困難だ。しかし、果物や野菜、鮮魚が必要なのであれば、心配することは無い。築地にあるからだ。
東日本大震災の発生から1週間後にあたる 3月18日(金)の11時、我々編集部は、築地市場に着いた。朝早く始まった取引で成立しなかった商品を忙しそうに箱詰めしている光景が見られる。売り上げは顕著に落ちているようだ。
魚市場のあるベテラン仲卸業者は「余震もあるから、外出を控えている人も多い。停電や電車の本数削減もあるので、市場に来るのも大変なんだろう」と語る。冷凍ものに関しては、寒い天気が続いていることもあり、保存する上での大きな問題はないようだ。しかし、鮮魚となると、簡単ではない。
「基本的には、鮮魚は売ってしまわないと駄目なんだ。値引きしてでも、売らなきゃならない」と、40年も市場で働くある仲卸業者の二代目は語った。市場へ来るお客さんが減っているのと同時に、得意先からのキャンセルも入っているという。入荷に関しても、東北地方からの魚介類を中心に2、3割減しているようだ。
青果を見てみよう。トマト、大根、キャベツ、柑橘類などの箱が高く積まれている。配送されるのを待っているようだ。場外市場では、本当に多くの食材が売られている。震災後の東京が酷い状況だと伝える海外タブロイド紙の内容とは、明らかに違う。もしこの状況が「不足」なのであるならば、何が「過剰」なのか、知りたいぐらいだ。
先ほどの仲買業者と、豊洲への築地市場移転を推進している東京都知事の話になり、彼はこう締めくくった。「石原さんは、震度5なんかの地震が来た時に築地は被害を受けるって言ってたみたいだけど、みてみなよ。大丈夫だろ。移転する理由なんてないんだ。築地は世界的なブランドだからね」
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