iRun”開発者、東京を走る

東京マラソンを自身で実況中継するランナー、ジョセフ・テイムに突撃

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“iRun”開発者、東京を走る

2011年2月27日(日)に開催される東京マラソンで、ぜひ注目して欲しいのが、33歳のイギリス人ランナー、ジョセフ・テイム。彼は、とてつもない変わり者だ。2010年に続き、2011年も東京マラソンに参加するジョセフだが(前回は70歳代の人に負けてしまったそうだ)、何故注目なのかは一目瞭然。彼は、着ぐるみの熊などの“かわいらしい仮装”をするでもなく、彼自身の考えだした奇妙な“仕掛け”を体にくくりつけて走るのだ。ジョセフ曰く、“iRun”と呼ばれるその仕掛けには、4台のiPhoneと、2台のアンドロイド搭載携帯、iPad、2台のお天気センサー、心拍計、太陽電池、それに、風力発電をイメージさせる(実際は発電しないが、すると信じる人もいるそうだ)数個の風車がついている。そして、全てのデータは、彼のウェブサイトを通じて共有される。そんな変わり者のジョセフや、“iRun”が、どんな形であれ、歴史に残ることを期待したい。

以前にも東京マラソンを走ったことがあるんですよね?

ジョセフ:2009年に、10キロランに参加して、2010年にはフルマラソンを走りました。それ以前は、ランナーでもなければ、他のスポーツをやったこともなかったので、新しい経験でした。

参加してみて、どうでしたか?

ジョセフ:悪夢のようでした。お台場に着く前、35キロ地点にある橋があるんですが、いつもは気づきもしないくらいの上り坂なんです。僕の左側におじいさんがいたんだけど、彼が歩くよりも遅いスピードで自分が走っていることに気づいて、愕然としましたね。あれは本当にショックでした。

“iRun”の重さはどれくらいですか?

ジョセフ:3.7キロくらいかな。

走る邪魔になりませんか?

ジョセフ:(笑)邪魔ですよ!最初はあまり重さを感じないんだけど、距離を進むにつれて、どんどん重くなってくる。最後には、15キロくらいに感じていましたね。

走っている途中に、他のランナーにインタビューしたりもするんですよね?

ジョセフ:そうです。去年も、外国人や日本人、たくさんのランナーをインタビューしました。ひとり、ギターでフォークを歌っている日本人もいましたよ。

走りながら歌っていたんですか?

ジョセフ:そう。走りながら歌っていました。しかも、止まらずに。ボビー・オロゴンとか、テレビに出ているタレントさんにもインタビューしたけど、僕と同じように辛そうだったのが、面白かったですね。

どうやったら、走りながらインタビューできるのですか?だって、瀕死状態で走っているんですよね?

ジョセフ:(笑)レースの間はずっとしゃべって、中継し続けているんですが、しゃべるのが可能なペースで走っています。だから、いつも走っているペースよりは遅いのですが、それは仕方がないですね。

しゃべれるペースで走っていると、完走するのにどれくらいかかりますか?

ジョセフ:去年は、5時間7分かかりました。いつものペースだったら、4時間で走れると思います。中継機材を装着していることで25パーセントくらい時間がプラスされていますね。

“iRun”ですが、変な格好なので、練習中も注目されますよね?

ジョセフ:東京では、“変な人”にはあまり干渉しないみたいですよ。視界に入らないようにしているみたいです。だけど、“iRun”はあまりに日常からかけ離れた変なものなので、興味を持ってくれる人もいます。いつだったか電車の中で、おばあちゃんに質問されたので、「これは放送用の装備ですよ」と答えると、あたかもそれが当然なことのように「あぁ、そうよね」って(笑)。

ほとんどの機材は東急ハンズで買ったもので、数時間かけて店内をうろうろして、色々ためしています。前回、買い物に出かけた時は、30人くらいの人が集まってしまって、質問攻めに合い、あちこち触られました。その時から、iPadを装着することにしたんですよ。“iRun”がどういうことかを説明する解説文をずっと流しておくことにしたんです。

チャリティーにも関わっているんですか?

ジョセフ:もし、僕のスポンサーになってくれる人がいるなら、僕のウェブサイトに、小児がんの子どもたちをサポートするタイラー基金へのリンクがはってありますので、ぜひお願いします。

“iRun”をサポートしてくれている人はいるんですか?

ジョセフ:もちろんいますよ!僕だけじゃありません。15人から20人のボランティアがいて、観客の視点から楽しめる放送を手伝ってくれています。

最後に、どうして“iRun”をやろうと思ったんですか?アイデアはどこからうまれたんですか?

ジョセフ:それは、神様だけが知っています。とにかく、iPhoneとかiPad、アップルの製品は大好きだし、こういうものを、どれくらい利用できるかやってみたかった。テレビでマラソンを観ていても、自分が深く関わっているようにはなかなか思えないし、それはつまらないですよね。オススメなのは、テレビでマラソン中継を観て、パソコンで僕らを追いかけてもらうこと。そうすると、自分自身もランナーになった気分が味わえると思います。マラソン当日は、2台のビデオをまわし、1台は僕の顔を撮り、もう1台は進行方向の様子を撮ります。心拍計のデータも見られるので、突然フラットになったら、救急車を呼んでくださいね。皆さんがデータを注意深く見張ってくれているのを信じて、頑張ります!

ザ・マラソン・プロジェクト:tm2011.com/ja/


Interview by ジョン・ウィルクス
翻訳 東谷彰子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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