2010年12月30日 (木) 掲載
今回は、パブリックアイ 第37回に登場した鳥居清人が店主をつとめる『雑煮屋 鳥居』の人気のお品を紹介する。正月しか主役になれなかった雑煮が、どんな季節でも酒と一緒に楽しめる店。コンセプトがぶれる、という理由から、ご飯類や麺類などは扱っておらず、酒は進むが、お腹がいっぱいにふくれるメニューはほぼないため、食事をした後、2軒目に寄る客も多い。ここはぜひ、〆のラーメンを、雑煮に変えてみてほしい。雑煮は、月替わりで、必ず“東の椀”と“西の椀”の2種類が用意されている。
年末年始は、2011年1月1日(土)まで。2日、3日と休みをとり、4日から営業を開始する。
だしは、利尻昆布と鹿児島産の鰹節。こんがり焼かれた、越前産のこがねもち米100パーセントの角餅が2個と、海老、鶏肉、蒲鉾、京人参、大根に三つ菜が入った、とても豪華な雑煮だ。「もとは家庭で食べるものだからこそ、外で食べてもらうには、見た目、ボリューム、味、値段、すべてにおいて満足させないといけない」と鳥居は語る。確かに、このボリュームで888円は、かなりコストパフォーマンスが良い。そして、豪華なだけでなく、野菜はすべて角をとり、丁寧に下処理がされている繊細さに感動する。
だしは、利尻昆布でとり、京都『山利』の白味噌で味付け。柔らかく煮た京都美土里屋の丸餅が2個と、牡蠣、海老芋、京人参、大根、花麩が入り、ぱりぱりと新鮮な水菜が素晴らしいアクセントになっている。ふわっと香るゆずも品が良い。粕汁のような丸い甘さがあり、すぐに体がぽかぽかと温まってくる。実際に、京都で食べる白味噌の雑煮は、もっと濃厚なものだそうだが、初めて白味噌の雑煮を食べる人にも食べやすいようにと、雑煮屋鳥居ではあっさり目に作ってある。
ホウレン草をソテーして卵液に入れたものをバットに流し、そこに蓬生麩と豆腐を交互に並べてオーブンへ。焼き色がついたものを形良く切って、酒と醤油とみりんで作った甘しょっぱいたれをかけていただく。弾力ある蓬生麩と、やわらかい豆腐のコントラストがとても良い。女性に人気のメニューだが、“蓬”という感じが読めず、「豆腐のオーブン焼きください」とオーダーする人が多いという。蓬生麩がポイントなのに……と鳥居がさみしがっている。読み方は「よもぎなまふ」だ。
黒い色を出すために、たまり醤油と黒糖を使ってきつねを煮ている。しっかりと味が染み込んでいるので、大根おろしをたっぷりのせて食べるのがオススメ。七味唐辛子でぴりっとさせても美味しい。とにかく、酒が進むメニューだ。
『京の無農薬有機栽培ウーロン茶使用のウーロンハイ』と『狭山緑茶ハイ』。鳥居が、「渋谷で1番美味しい」と豪語する酎ハイは、氷をそれぞれのお茶で作っている。時間が経ってしまっても、決して水で薄まって味気のない飲み物になることがないのだ。
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