パブリックアイ 第29

ザナック・リンジー(51) 恵比寿駅にて

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パブリックアイ 第29回

ザナック・リンジー ギタリスト

ザナック:すみません、この像は一体何ですか?

これは『えびす像』です。七福神のひとりで、商売繁盛のご利益があるとされているんですよ。恵比寿に来るのは初めてですか?

ザナック:乗り換えに良く使います。さっき、あなたに会う前に、ここでハワイの友人、カマサミ・コングにばったり会ったんですよ。iPhoneを使って、道ばたでラジオの収録をしました。東京は出会いの多い、おもしろい街ですね。

東京に住んでいるのですか?

ザナック:今は、EXILEのバックミュージシャンとして、ギターを弾いていて、ずっと彼らのツアーに同行しています。5月に東京に来たのですが、9月末にはハワイに帰ります。だんだん終わりが見えてきましたね。

素晴らしい仕事ですね。EXILEのメンバーとの笑えるエピソードはありますか?

ザナック:色々ありますよ!EXILEのバックミュージシャンをするのは2年目になるので、すっかり仲良しです。今回、メンバー全員に、ハワイからのお土産にパレオを買ってきたんです。ハワイの伝統的な腰巻き布で、それぞれ柄や色が違うものをプレゼントしました。それで、巻き方を教えてあげたんですよ。そしたらある日、全員で「ハワイアンデーだ」と、パレオを巻いて登場してくれました。だけど、しっかり結べていないメンバーもいて、脱げちゃったりして、皆で大笑いしました。

でも、彼らの人気は本当にすごいですね。若くして成功して、エネルギッシュで、一緒にツアーをまわるのが本当にとても楽しいです。

日本の音楽は好きですか?

ザナック:大好きですよ。演歌は、オリジナリティに溢れていて、心を打ちます。それから、沖縄の音楽も興味深いですね。三味線の独特の音色が素晴らしいです。去年日本に来た時に、三味線を買って帰りましたよ。だけど、音楽そのものもそうですが、私が何より感心するのは、ライブを観に来るお客さんたちが、ミュージシャンを心からリスペクトしていることです。日本の音楽は、そういう気持ちから盛り上がっていくのだと思います。アメリカ人は、カテゴライズするのがとても好きですが、こういう日本人の“心”や“リスペクト”は、なかなかカテゴライズできない、特殊な文化だと思います。もしくは、文化というより、“スピリチュアル”なものにも近いとも感じます。

EXILEと一緒にお仕事をする以外に、東京に来たことはありますか?

ザナック:最初に来たのは、1983年です。東京ディズニーランドで、2年間ミュージシャンとして勤めていました。ハワイアンショーの音楽ディレクターをやっていたのですが、私はロックやポップなど、さまざまなジャンルを演奏するので、最終的には、トゥモローランドなど、色々なエリアで演奏していましたよ。

日本とのつながりが深いんですね。

ザナック:そうですね。母親が日本人で、“フジワラ”と言うのですが、日本にとても親近感があります。第2の故郷だと思っています。

特に好きなものは何ですか?

ザナック:日本食が大好きです。フェイスブックに食事の写真をたくさん載せているのですが、ハワイの友人たちは、明太子がどうしても受け入れられないみたいですね。明太子クリームスパゲティの写真に、「一体この食べ物は何なんだ!?」とたくさんの人がコメントしていました(笑)。

ハワイの友人たちは、ザナックさんが東京にいる間に、遊びに来たりしていますか?

ザナック:遊びに来ましたよ。一緒に箱根でのんびりして、原宿や渋谷を歩きました。私自身も、ブルーノート東京にライブを観に行ったりして休日を楽しんでいます。去年は一生懸命、日本語を習いに行ったりもしていたのですが、今年は、色々体験したり、楽しむ方が優先です(笑)。9月に帰国するまでの間に、書道と茶道を体験して行きたいと思っています。

さらに“ザナックさん”から

「東京の冬がとっても寒くて苦手なのです。2ブロック歩いただけで、思いきり風邪をひいたことがありましたが、日本の人たちは、一体どうやってあの寒さを乗り越えているのですか!?」

「次は、11月に日本に来る予定です。KAPALAというハワイアンバンドをやっているので、KALAPAのメンバーで来日したいと思っています」

「ハワイの人と日本人が持つホスピタリティには、共通している部分がとても多いと思います。僕の母は、結婚するなら日本の女性にしなさい、ってずっと言っていましたよ(笑)」

テキスト 東谷彰子
撮影 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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