東京、外国人から見た就職活動

「ルールは破られるためにある」のではない

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東京、外国人から見た就職活動

悪名高い日本の「就活」について、実際に東京で就職活動を経験した外国人ライターがレポートした。本人の失敗から学んだヒントや、日本の特殊な状況など、忌憚なく語る記事を以下に紹介する。

今年もこの時期がやってきた。真っ黒のリクルートスーツに身を包んだ学生たちが東京中に溢れ出す。駅のホームで慌ただしくメモをまとめたり、何時間もカフェに居座り「エントリーシート」を注意深く作成する。そんな学生たちを、それこそどこにでも見つけることができるだろう。就職活動、いわゆる「就活(shukatsu)」は、日本で生まれ育った人にとってさえ、途方もない時間がかかるものであり、困難さを極めるもの。ゆえに留学生にとって、日本人と同じように見なされるほどにその仕組みを飲み込むことが、いかに難しいかは容易に想像できるだろう。

一般的に、就活生すなわち大学3、4年生は、就活に1年を費やす。新学年の始まりである4月から出願をはじめ、数えきれない面接選考の繰り返しを経て、次の4月にようやく仕事を開始する。この就活シーズンに良い結果を得られなかった学生のなかには、なんと卒業を遅らせるものさえいる。留年生の方が、既卒生よりは職を勝ち取りやすいのだ。

筆者にとって、就活は精神を疲弊させ、自尊心を傷つけられるものであった。名の知られた大企業から内定を得られるかどうかだけが、とりわけ東京の学生にとって、自分が尊敬に値する人物であると信じさせることができる。筆者は、いくつもの不採用の事実を受け入れることができなかった。就活の落とし穴にはまることのないよう、筆者の得た秘訣をここに紹介する。

情報で武装する。

本屋には、エントリーシートの書き方やグループ面接での受け答えについて書かれた、おびただしい数の就職活動に関する書籍「就活本」がもっともらしく並んでいる。もし日本語が得意でなかったり、日本円を使いたくない場合は、インターネット上に英語で書かれた情報を活用することも可能だ。すべてのエントリーシートを手書きで作成し、履歴書にはプロによる写真を使い、髪型は決められたものに、そして自分がいかにこの企業にふさわしいかを、あらゆる会社に対してプレゼンテーションしなければいけない。

ルックスで目立とうとしない。

もし採用内定につながる評価を得たいのであれば、それらしく見える格好を、細部に至るまで気を使わなくてはならない。筆者の夫は日本人なのだが、採用担当者は一目見ただけでスーツを買った場所まで分かると言い張る。適切なリクルートスーツを買うのと同様に、靴や鞄、ベルト、ネクタイ、白シャツも正しいものを揃えなくてはいけない。「日本も変わってきているので、真っ黒なスーツはやめて個性を表すべき」と言う人もいるが、その企業がとてもカジュアルであるという確信がない限りは、いい考えだとは思えない。面白い人と無難な人とでは、ほとんどの日本企業が後者を採用するだろう。

好きなことをしゃべらない。

筆者の夫はとても個性的だ。彼は社交的で、独特のユーモアのセンスを持っている。そんな彼の就活は、最初の2、3ヶ月まったく上手くいっていなかった。結局、就活本が用意した受け答えを一字一句そのままになぞることに決めたその月に、彼は2つの内定を得た。「日本で首尾よく就職するためには」と、彼は話す。「自分のすべてを喜んで投げ出すと、その企業に思わせる必要がある。サービス残業や強制参加の飲み会、サラリーマンとしてのストレスフルなライフスタイルのために」。

悪い予感は信じる。

内定を受ける前に、インターネットで企業の評判をチェックすることを忘れてはならない。多くの学生を雇っては、恐ろしい労働条件や感情的なストレスに耐えられない人を容赦なく解雇する「ブラック企業(black companies)」が、待ち構えているのだ。「"企業名" ブラック企業」とグーグルに打ち込んで、何が出てくるか見てみよう。もし可能であれば現社員や元社員と話してみるといい。もし直感で上手くいかないと思ったら、違う道を選ぶべきだ。たしかに内定を辞退することは不安を誘うことだが、新卒者として就職するチャンスは東京においては一度きりだ。


同記事の原文はタイムアウト東京マガジン6号でも読むことが可能だ。就職活動に臨む留学生にも勧めてみてほしい。

Illustration Bunny Bissoux
By Grace Buchele Mineta
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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