2010年04月19日 (月) 掲載
2010年4月30日、この日に行われる閉場式で、約3年の休館に入る歌舞伎座。登録有形文化財に指定されている歴史ある建物だが、老朽化したため新築される。
そもそも歌舞伎座が東銀座に開場したのは1889年(明治22年)。その後、建物は何度か改築され、1925年(大正14年)に現在の原型が誕生した。しかし、その建物も東京大空襲で大部分が焼失し、その後に再建したが、骨組みは戦争で焼け残ったものを使っていることから、全面的に建て替えすることになった。
2013年完成予定の歌舞伎座は、愛着のある桃山風の外観はそのままに、高層ビルとなる予定で、バリアフリーとエコを意識した構造、東京メトロ日比谷線東銀座駅との直結、地下1階にショッピングスペースを設置、などが予定されているが、その詳細は未定だ。現在、歌舞伎座特選街に入っている名店の数々が、新しい歌舞伎座に出店するかも未定。すべては、出来上がってみなければわからない状況だ。そこで、ここでは、歌舞伎座が休館する前に購入したい歌舞伎座限定の商品や、休館中も入手可能なスポット、さらに、一幕見席のチケットを入手して歌舞伎を楽しみ、劇場外で土産を買う方法など、現在の歌舞伎座を楽しむための情報を紹介する。歌舞伎座120年の歴史を今こそ味わっておこう。
期間:2010年4月28日(水)まで
歌舞伎座(ヴェニューはこちら)
予約、前売りなしで、当日のみ購入することができる歌舞伎座唯一の自由席。一幕ごとにチケットが販売される。一幕見席とはいえ、同じ部内であれば、一度に全幕分の切符を購入することもできる。また、一幕観終わった時点で次も観たくなれば、4階の案内所で切符を入手できる。さよなら公演は当然のことながら、連日、一幕見席のチケットを購入するための行列ができている。幕によっては、長時間並んでも立ち見となる可能性も。覚悟して臨んでほしい。
第一部 『御名残木挽闇爭』『熊谷陣屋』一幕見席チケット発売開始時間:10時30分料金:1300円
第一部 『連獅子』一幕見席チケット発売開始時間:13時10分料金:1200円
第二部 『寺子屋』一幕見席チケット発売開始時間:14時35分料金:1400円
第二部 『三人吉三巴白浪』『藤娘』一幕見席チケット発売開始時間:16時05分
第三部 『実録先代萩』一幕見席チケット発売開始時間:17時50分料金:1000円
第三部 『助六由縁江戸桜』一幕見席チケット発売開始時間:19時30分料金:1500円
チケットを持っていない方、一幕見席の方は、歌舞伎座内にある特選街を利用することができないが、歌舞伎座からほど近い松坂屋銀座店では、歌舞伎座内でのみ購入可能なグッズや食品などを集めて販売する予定があるので、こちらを利用しよう。現在、販売が予定されているのは、蒸しきんつばや、歌舞伎揚げ、絵手ぬぐいなど定番商品に加え、歌舞伎座がデザインされたメモリアルプレートや、写真集。
『さよなら歌舞伎座グッズ展』
場所:松坂屋銀座店(ヴェニューはこちら)
期間:2010年4月21日(水)から2010年4月28日(水)まで
歌舞伎座の名物スイーツといえば、1階西側売店で実演販売もされている大黒堂の人形焼。約30年にわたり歌舞伎座で腕を揮って来た。有名な話だが、大黒堂の人形焼は、七福神をかたどっているにもかかわらず、大黒・恵比寿・毘沙門・布袋・福禄寿、そして弁天の6種類しかない。寿老人が不在なのだが、これは 7人目の神様は“お客様”ということからきている。人形焼は、土産用に袋詰めされているものを購入するのもいいが、頼めばアツアツの出来たてを買うこともできる。こしあん、あんなし、抹茶あん、ゆずあん、ごまあん、さくらあん、と種類も豊富。幕間に購入して昔ながらのスイーツを味わってほしい。ちなみに弁天と思われる神様の顔が“ねこ娘”に似て愛嬌がある。歌舞伎座の大黒堂は、本店が東京・大田区にあるので、休館中は本店を利用したい。
大黒堂(ヴェニューはこちら)
歌舞伎座1階西側売店の奥で、威勢の良い声をはりあげて販売されているのが、『ひねもす』の『小槌』だ。約2センチと小さく、一見すると一般的なキーホルダーや携帯ストラップ用の飾りだが、この小槌の中には、開運に導く縁起物が10種類も入れられている。威勢の良い声は、この縁起物を小槌の中に入れる際の口上だ。縁起物とは、恵比寿様、大黒様、ひょうたん、蛙、サイコロ、小判、南天、破魔矢、狸、ダルマをかたどった米粒ほどのもので、それぞれを小槌に入れながら開運の理由を口上師が雄弁に語ってくれる。例えば、“サイコロ”。どこに落としても目が出ることから、何をやってもものになるように、という意味が込められている。こうした口上を聞いていると、この小槌さえ持っていれば開運するかのような暗示にかかり、小槌を振って聞こえてくる音さえ、開運の音に聞こえてくるから不思議だ。休館中は全国の百貨店の期間限定店舗や、ウェブサイト で購入することができる。
ひねもすウェブ:hinemosu.jp/
歌舞伎発祥の江戸時代から、変わらぬ味を伝え続けている『佃宝』。歌舞伎座1階東側に売店があり、佃煮としては初めて“東京都地域特産品”の認証を受けた佃煮を買うことができる。歌舞伎同様、伝統と技術が受け継がれている味は東京土産としても、歌舞伎座土産としても重宝する。また料理研究家の岸朝子が絶賛している『ふき豆』も人気だ。休館中は、本店、または巣鴨店で買うことができる。
佃宝本店(ヴェニューはこちら)
創業110年の老舗店が歌舞伎座1階東側で販売している、歌舞伎座限定の和菓子。上質な狭山の抹茶をふんだんに使った寒天で、表面にガリガリとした粗めの砂 糖がまぶされている。ほんのひとかけら口に含んだだけでも、抹茶の香りが広がり、贅沢な気分に浸れる。休館中は販売しない予定なので、今のうちだ。
菓匠 翁(ヴェニューはこちら)
東京オリンピックの年から約46年にわたり、歌舞伎座前で甘栗を販売してきた店は、歌舞伎座休館とともに閉店する。新しくなった歌舞伎座前に再び店を出すことはないという。『菓匠翁』は、正規のチケットがないと入れない歌舞伎座内だが、甘栗は場外のため誰でも購入できる。最後の歌舞伎座を眺めに行くなら、歌舞伎甘栗も要チェックだ。
歌舞伎甘栗
東京メトロ日比谷線東銀座駅3番出口そば
日本橋タカシマヤ地下1階にある『歌舞伎座厨房』では、『歌舞伎茶屋』などで販売されている折詰弁当の味を楽しめる。歌舞伎茶屋も歌舞伎座休館にともない閉店するため、休館中はここを利用したい。
日本橋タカシマヤ『歌舞伎座厨房』(ヴェニューはこちら)
2階のイベントスペースで、『ありがとう歌舞伎座フェア』が開催されている。入門書はもちろん、中村吉右衛門や市川猿之助など人物を特集した稀少本、絵本で読む歌舞伎の名作本、写真集など、約100種類が集められている。歌舞伎の面白さに目覚めた人に勧めたい。
本の教文館(ヴェニューはこちら)
期間:『ありがとう歌舞伎座フェア』は2010年4月30日(金)までの予定
2009年から始まった歌舞伎座さよなら公演の中から、『蜘蛛の拍子舞』と『身替座禅』の舞踊劇をシネマ歌舞伎として2本立てで上映する。5月1日(土)から先行公開されるのは東銀座の東劇。その後、5月15日から全国で公開される。
シネマ歌舞伎『蜘蛛の拍子舞/身替座禅』2010年5月15日から全国公開
ウェブ:
東劇(ヴェニューはこちら)
2010年5月1日(土)から先行公開
休館前の歌舞伎座を眺めに行ったら、歌舞伎座の斜め前にあるストックプラスをのぞいてほしい。歌舞伎の懸垂幕などに使われる文字は“勘亭流”といい、江戸中期から使われるようになった書体。その勘亭流で自分の名前の千社札シールを作ることができる。見本を見て、デザインやサイズを決め注文すれば、約2時間で出来上がる。見本は寄席文字が使われているが、勘亭流の注文も可能。サイズにもよるが27枚1セット、1050円からオーダーできる。外国の方の名前を漢字に置き換えて注文すれば、土産としても喜ばれる。
ストックプラス(ヴェニューはこちら)
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