2010年03月31日 (水) 掲載
改札を出ることなく、駅構内で買い物や食事ができる商業スペース『エキナカ』。古くはキヨスクのような売店やそば店などが主流だったが、今ではユニクロなどの大型衣料店や書店などもあり、業種も広がっている。そんなエキナカ業界に、また新たなコンセプトを展開するスペースが登場した。
2010年3月28日、東京駅改札内サウスコートに開業した『エキュート東京』のコンセプトは“ニッポン Re-STANDARD”だ。世界に誇れる日本の“イイモノ”を、現代のライフスタイルに合わせて提案する31店が集結している。例えば、『東京あんぱん 豆一豆』は、日本で生まれたあんぱんの専門店。定番のあんぱんだけでなく、『あんバタースティック』や『ブリオッシュあんぱん』、『あずきコロン』など、“あん”と“パン”の新しいコラボレート商品を展開している。日本のファストフード“おむすび”の専門店『おむすび結庵』では、お米マイスターが厳選した米を、精米から洗米、炊飯に至るまで徹底的に追及し、究極のおむすびを提案している。その他、サンドイッチや弁当、洋菓子や和菓子など、場所柄、新幹線の中で食べられるものや、手土産に重宝する食品が大半を占めている。
そんなエキュート東京の中で、もっとも日本らしさを現代風にアレンジして異彩を放っているのは、雑貨を扱う『遊 中川 日本市』と『steteco.com TOKYO LABO』だ。『遊 中川』は1716年に創業された奈良晒の問屋『中川政七商店』が立ち上げたブランド。手織り手紡ぎの麻織物を使った、実用的で身近なオリジナル生活雑貨を扱うほか、『日本市』をコンセプトに、日本各地の製造元とコラボレートした商品を展開している。例えば、京都清水焼の『富士ちゃわん』。伏せて置かれているその姿は、富士山をモチーフにした陶器の置物のようだが、これが、230年以上続いている京都の窯元で作った、歴とした清水焼の飯茶碗なのだという。今の飯茶碗は丸みがあるのが一般的だが、あえてまっすぐなフォルムにし、手作業で色付けを行い、富士山らしさを引き立てているのだ。こうした遊び心は、清水焼に馴染みがなく、その技法などに興味がない人にも、感心を抱かせるきっかけになり、まさに“ニッポン Re-STANDARD”な商品と言える。
同じように『steteco.com TOKYO LABO』で扱う商品も“ニッポン Re-STANDARD”だ。明治時代に着物や袴の下にはく男性用下着として生まれた“ステテコ”は、高温多湿で蒸し暑い日本の夏にぴったりな下着として愛用されていたが、今ではすっかり過去の産物となっている。しかしsteteco.comでは、そのステテコに再びスポットライトを当て、カラフルなデザインで甦らせているのだ。ボーダーやチェック、花柄などのデザインからして、それは、一見するとアウター用のハーフパンツにしか見えない。しかしその生地には、日本の伝統素材“綿クレープ”が使用されていて、汗や湿気を素早く吸収、発散させ、さらっとした肌触りを持続させるというのだ。実際、触ってみると、その生地は薄く、風通しも良い。伸縮性も優れていて、これが独特の織り方が成せる自然なストレッチだというから驚きだ。これならパンツの下にはいても邪魔にならず、家にいる時は部屋着としても重宝する。この他にも、ニッポンの技術が生かされたモノが数多く発見できるエキュート東京。東京駅を利用するなら、ここでの時間を確保することを勧める。
エキュート東京
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東日本 東京駅構内1階 サウスコート
ウェブ:www.ecute.co.jp/
遊 中川
ウェブ:www.yu-nakagawa.co.jp/yu/index.html
steteco.com
ウェブ:www.steteco.com/
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