LGBTトロント特集4: クリス・ナイト インタビュー

カナダの自然とクィアな経験から着想を得る新進アーティスト

LGBTトロント特集4: クリス・ナイト インタビュー

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LGBTトロント特集3にて紹介した、ゲイプライド期間中にトロント在住のクィア・アーティストの作品を展示する『That’s So Gay』(『グラッドストーン ホテル』にて開催)。同イベントに参加していた若手画家、クリス・ナイトへのインタビューを、トロントにある彼のアトリエで行った。カナダの自然や、セクシュアル・アイデンティティをインスピレーション源にした作品について、また地元のアーティストやクィアが好んで集う隠れ家的なスポットなどを教えてもらった。まずは作品についてのインタビューをお届けする。

同国の田舎で育ったクリスは、10年前、20歳の時にトロントへと移り、2003年に名門デザイン大学『オンタリオ・カレッジ・オブ・アート&デザイン』を卒業した。クリスは肖像画が中心である自身の絵画について、「実在する周りの人物を、秘密を持っているキャラクターとして比喩的に描いているんです」と語る。その理由のひとつが、自身も経験している“カミングアウト”だ。

「トロントは本当にゲイフレンドリーですが、僕の育った村では、ゲイであることが分かれば“身の危険を感じるようなこと”も起きるので、オープンにするのは難しいんです」とクリスは語る。そんな背景もあってか、彼の描く人物からは、どこかミステリアスで孤独なオーラがひしひしと伝わってくる。

ラブリーとダークな側面を描いて

また、カナダの美しい自然からも強く影響を受けたが、ただラブリーな景観が描かれているのではなく、垣間見えるダークな側面が目を引く。「田舎は、昼間は可愛らしいんだけど、自然は偉大で誰にも支配されないから、夜は物騒な面も持っていると思うんです。だからその繊細な影も表現したいんですよ」と明かした。その独創的な彼ならではの“不安を醸し出す世界観”が、見るものを魅了し、作品へと引き込むのだろう。

常にバランスを追求している彼の作品は、アンドロジナスな被写体をメインに、可愛らしさと脅威、神話と現実、防衛と脆弱性、純潔とエロティシズムなど、対照的な要素をミックスしつつ、茶目っ気とユーモアで緩和している。カナダの風景とエッジィな若いジェネレーションから生まれたこの新進なアーティストの作品、ぜひウェブでチェックしてもらいたい。

ウェブ:krisknight.com/


取材協力:
トロント観光局(www.seetorontonow.com/ja.aspx
カナダ・オンタリオ州観光局(www.ontariostyle.com

TokyoWrestling.com共同取材

テキスト / 撮影 カイザー雪
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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