インタビュー:“本邦初”ラマダンマン

「一番前に行ってバカ騒ぎしてたのに、いまじゃそこでDJしてる」

インタビュー:“本邦初”ラマダンマン

現在でもシーンに新たなアーティストが加わることで、先鋭的なサウンドが生まれ、健全な輝きを放っているUKのダブステップシーン。そして、2000年中頃から活動を本格化させた第一世代のアーティストを聴きながら育った世代が、いまやアーティストとしてそこに加わり出している。そのサウンドには初期ダブステップのスタイルからはさらに進化した、ポスト・ダブステップとでも言えそうな先鋭的なサウンドもある。

まさにそんなポスト・ダブステップの旗手と言えそうなのが、今回紹介するラマダンマンである。エレクトロニックな質感を持った実験的なサウンドは、スクリームやコード9といったダブステップシーンの重鎮に加え、リカルド・ヴィラロボスやフランソワ・ケヴォーキアン、ジャイルス・ピーターソンのような他ジャンルの重鎮からも大きな評価を受けている。今回は2010年10月2日(土)に渋谷のクラブ『MODULE』で行われる『Basement Ltd.』にて来日プレイする彼に、メールでインタビューを行った。恐らく、本邦初のインタビュー。

まずはじめに名前についてなんですが、よく訊かれると思うんですが、なにかイスラム教と関係があるんでしょうか?

ラマダンマン:ノーコメント。

いまおいくつでしょうか?

ラマダンマン:22歳だよ。

DJなどをはじめたのはいつ頃からでしょうか?

ラマダンマン:2005年頃から本格的に音楽の世界に入ったよ。

クラブミュージックに出会ったのはどんなきっかけですか?例えば、のめり込んだきっかけになったような、あなたにとってのスターがいたのなら教えてください。

ラマダンマン:とくに尊敬するスーパースターみたいな存在はいないんだ。ジャッジ・ジュールス(Judge Jules:編集注:ハードハウス、プログレッシブハウスのメジャー系のDJ)はかつて僕と同じ通りに住んでいたから、確かに少し憧れてはいたかな!クラブミュージックにはポップミュージックを通じて自然に入っていった感じかな。90年代後半の多くの曲がダンス指向だったから。

あなたのサウンドはポスト・ダブステップと言えそうな不思議な質感を持っていますが、例えばデジタル・ミスティックスのマーラなど、初期のシーンから活動しているアーティストたちの作品を聴いて育った、いわば第2世代といった感じなのでしょうか?

ラマダンマン:ポスト・ダブステップという言葉はあまり好きではないんだけど、新興のダブステップシーンというような印象(趣旨)からすると、正確な言葉なのだとは思うよ。そして、僕はおそらく第3世代なんだと思う!だって本格的に音楽の世界に入ったのは2005年頃だから。かなりの数の仲間がFWDとかDMZのパーティーで一番前に行ってバカやって騒ぎまくってたのに、いまじゃそこでDJしてるんだから、それってクレイジーだよね!

あなたのサウンドは音色的にはテクノやエレクトロニカなどの影響も強いと思うのですが、いかがでしょうか?

ラマダンマン:実際には僕はハウスを聴くのが好きなんだ。ケリー・チャンドラーやデニス・フェラー、クエンティン・ハリス、オマー・S、フランク・ロジャー、リンクウッドとかがとくに好きかな。ハウスのレコードはたくさん持ってるんだけど、テクノのはあまり持ってないんだ。

またハウス/テクノ系のレーベル『AUS』からの作品など、テクノ的なトラックを作ることもありますが、あなたにとってダブステップ的なトラックを作ることもそういったトラックを作ることも、あまり差異がないようですが。

ラマダンマン:じつはダブステップものを作る以前は多くの異なったスタイルのものを作っていたんだ。でも誰も僕の古い作品をあまり聴いたことがないだろうから、僕がひとつの特定のジャンルに執着しないことが人々には驚きとなって現れるのかもしれないね。

サウンドなどのスタンス的な部分で、アントールド(Untold)やジェームス・ブレイクス(James Blake)らと非常に近しい気がするのですが、実際彼らと交流があったりするんでしょうか?

ラマダンマン:うん、思うに僕たちはお互いの考えを活気づけていると思うんだ。アントールドもジェイムス・ブレイクも、ふたりの作品は僕に影響を与えたんだ。どちらとも曲作りをはじめたんだけど、でもまだなにか完成形を作ったというわけでないんだ。

あなたの名前は、UKの老舗レーベル『ソウル・ジャズ』からのリリースで知るようになったというのが、世界レベルで見れば多いと思うんですが、ちなみにどんな経緯でリリースすることになったんですか?

ラマダンマン:セントラル・ロンドンにある『ソウル・ジャズ』のお店『Sounds of the Universe』に2006年頃よく行ってたんだけど、あるとき彼らが僕の曲である“Good Feeling”を聴いて、そのとき彼らが制作していた新しいCD『Box of Dub』(『ソウル・ジャズ』編纂のダブステップ・コンピ)に楽曲をいくつか提供してくれないかと訊かれたんだ。とても光栄なことだったよ!

現在、あたなの周辺のシーンで面白いと思えるパーティやクラブはどこでしょうか?

ラマダンマン:イギリスの北に位置するリーズで『Acetate』っていう新しいパーティーをはじめるところなんだ。フローティング・ポインツ(Floating Points)とベンUFO(Ben UFO)が最初のゲストで、10月5日に『WIRE』ていうクラブでね。100%ヴァイナルの夜なんだよ!

ちなみに音楽以外のあなたの趣味を教えてください。

ラマダンマン:写真、それから食べること。

では最後に東京という街の印象についてお聞かせください。

ラマダンマン:東京はまだ訪れたことがないんだけど、東京に行ったことのある友だちたちからはたくさんのポジティブな意見を聞いてるよ。行ってプレイすることにとても興奮しているよ!


ラマダンマンは10月2日(土)に渋谷『MODULE』で行われるBasement Ltd.にてプレイする。詳細はこちら


インタヴュー協力:MODULE

テキスト 河村祐介
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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