東京近郊、電車で行くあじさい見物

秋川、鎌倉、房総、あじさいの名所を周る

Read this in English
東京近郊、電車で行くあじさい見物

Photo by kanegen

梅雨のシーズンを代表する花、あじさい。その学名、ハイドランジアには“水を入れるもの”という意味がある。原産地は日本だが、海外へと渡り品種改良が行われ、今では様々な形のものが逆輸入されるようになった。日本原産のガクアジサイから、セイヨウアジサイなどの改良した品種まで、国内には無数の名所がある。関東を代表する古くからの名所には、鎌倉の明月院(あじさい寺)などがあるが、それだけではない。あじさいとカタツムリ、日本ならではの梅雨の風景を、傘を差しながら探してみたい。

2011年6月20日更新

埼玉県幸手市『権現堂桜堤』

その名が示す通り、春は桜並木となり、堤の両側に広がる菜の花畑との明るいコントラストが楽しめる。だが梅雨シーズンともなれば、桜の木の間に植えられたあじさいの出番となる。その数100種類1万2000株。“定番”の青やピンクだけでなく、様々な色、形のあじさいが出迎えてくれる。2011年6月4日(土)~7月3日(日)までは『あじさいまつり』が開催されている。

見頃:6月中旬~下旬
アクセス:東武日光線『幸手』駅から徒歩30分

イベントの詳しい情報はこちら


埼玉県越生町『あじさい街道・あじさい山』

こちらは両肩でしっかりと背負えるリュックタイプのバッグを用意し、ちょっとしたハイキング気分で楽しんでほしい。目的地は関東でも名だたる梅林の町・越生(おごせ)。東武越生線、JR八高線の越生駅で降りたら、あじさい街道までは徒歩1時間ほど。歩くのに抵抗があるという人は『黒山』行きのバスに乗り『麦原』で下車。梅林の中をすすんでいくと、あじさい街道・あじさい山の案内が出てくる。

街道の両側には、5000株のあじさいが、およそ3キロにわたって植えられている。そのほとんどは青色。火山性の土が多い関東ならではのあじさいといえる。一般の住宅もところどころに見られるが、小川が道に沿うよう流れており、ハイキングには適したコースだ。街道を歩くこと30分。終点には、あじさい山が待っている。山肌には1万株のあじさいが咲き、その隙間を縫うよう鑑賞路が設けられているので、花に埋もれるような感覚を味わえる。

ミニハイクに疲れた体には、あじさい山からほど近くの山中にあるギャラリーカフェ、その名も『山猫軒』がおすすめだ。赤さびたブリキの巨大なカマドウマが迎えてくれる。2階のテラスからは山里の風景が一望できるので、忘れずに。帰り道は梅林で取れた梅をリュックに詰めて帰ろう。1キロ500円から1000円程度で、香り高い梅を手に入れられる。あじさいの思い出がよみがえる梅酒になるはずだ。

見頃:6月中旬~下旬
アクセス:東武越生線・JR八高線『越生』駅から徒歩1時間、もしくはバス『黒山』行きに乗り『麦原』で下車

イベントの詳しい情報はこちら


千葉県鋸南町『鋸山 日本寺』

東京湾に面した内房の特徴ある山で、全体が日本寺というお寺の境内になっている。名前が示す通り、のこぎりの歯のようにギザギザした稜線が連なる。あじさいが多く咲くのは、岩場に掘られた、高さ31メートルの大仏が見下ろす大仏広場。山全体では山あじさいなど20万株が咲く。江戸時代には建築資材用の石を切り出していた場所だけに、ゴツゴツと荒々しい景色が続くが、岩の合間に咲くあじさいの群落が心を安らかにしてくれる。頂上付近には高さ100メートルの断崖に張り出した『地獄のぞき』などの名所もあるので、ぜひ訪れたい。夕暮れ時の東京湾のきらめきや、大きく伸びる富士山の風景も一緒に楽しめるあじさいスポット。体力が心配という人には、ロープウェイもある。

見頃:6月上旬~下旬
アクセス:JR内房線『浜金谷』駅(ロープウェイ利用の場合)、『保田』駅(徒歩で登る場合)

『鋸山 日本寺』の詳しい情報はこちら


東京都あきる野市『東京サマーランド あじさい園』

プールで有名なサマーランドだが、自然を楽しめる施設も多い。そのひとつがあじさい園だ。緩やかな傾斜地には60種1万5000株が植えられている。球状のものが多いあじさいだが、ここには『八重カシワバ』という円筒状の珍しい種類もある。7月になると『アナベル』という真っ白い品種が花を咲かせ、まるで雪山のような見事な風景となる。他にもチョウが集まっているかのように咲く、その名も『蝶のたわむれ』や、星が散りばめられたような『ハイエススターバースト』といった、普段、なかなかお目にかかれない品種に会えるのが魅力だ。あじさい観賞の期間中は、苗木の無料配布や名産・特産市と足湯など、イベントも行われている。

見頃:6月11日(土)~7月10日(日)
アクセス:JR五日市線『秋川』駅から無料送迎バスあり

イベントの詳しい情報はこちら


神奈川県箱根町『あじさい電車』

動くことなくあじさいを見たい、という方への決定版。すっかり名物になった箱根登山鉄道のあじさい電車。温泉街の箱根湯本から強羅まで、およそ36分の登山鉄道の旅。スウィッチバックという経路で行ったりきたりしながら、急勾配を登っていく。線路際にはおよそ1万株のあじさいが植えられている。登っていくにつれ、だんだんと花の咲き具合が変わってくるのが楽しい。2010年6月19日(土)から7月11日(日)の間は、夜間のライトアップも行われる。定期列車でも見られるが、特別に運行される『夜のあじさい号』も楽しみたい。1日2往復、片道大人600円で座席指定。途中にあるあじさいの名所・宮ノ下駅での写真撮影など、あじさい鑑賞を思う存分楽しめる列車だ。

見頃:6月中旬から7月下旬(標高によって異なる)
アクセス:箱根登山鉄道『箱根湯本』駅より
箱根登山電車:www.hakone-tozan.co.jp/ajisai/


テキスト 西澤史朗
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo