フレンチ・ダブステップの雄が来日

関東からの退去勧告が出ているフランスから来日、Helixirインタビュー

フレンチ・ダブステップの雄が来日

震災の影響で、さまざまな国のアーティストがイベントへの出演をキャンセルしている。フランスは自国民に首都圏からの退去を促したが、そんな中、フレンチ・ダブステップの雄が来日を果たす。

2011年頭の、ジェームス・ブレイクのメジャーフィールドでのブレイクなど、いまだ刺激的な動きを生み出し続けているダブステップシーン。原産国であるイギリスのみならず、いまやヨーロッパやアメリカなど、各地のアンダーグラウンドシーンにもダブステップは確実に根付き、アーティストたちがリリースを行っている。ドーバー海峡をはさんだイギリスの隣国、フランスももちろん例外ではなく、さまざまなアーティストが頭角を現している。そのフレンチシーンを代表するレーベルのひとつが『7even Recordings』だ。UKシーンの中心的な部分とは少しばかり違った、テクノやエレクトロニカなどの要素を多分に含んだミクスチャーサウンドで人気を集めている。またオーナーのGreg Gはたびたび東京とフランスを行き来し、東京のシーンとも太いパイプを持っている。

2010年に、この『7even Recordings』からアルバムをリリースしたばかりのフランスのダブステップアーティストがHelixirことケヴィン・マーティン(THE BUGなどの中心人物などで知られる同名のイギリス人アーティストとは違う)。そんな彼が、2011年3月26日(土)に、渋谷の『module』にて行われるパーティー『Basement Ltd. presents 7even Recordings Showcase』でライブを行う。ダブステップの中心的なアーティストたちからも高い評価を受ける彼のサウンドは、いまのヨーロッパにおけるダブステップシーンの勢いを裏付けている。まさに来日直前のHelixirに、メールインタビューを行った。

エクスペリメンタルなバンドで活躍していたあなたが、ダブステップの楽曲を作るようになったのはなぜでしょうか?

ケヴィン:2004年頃、僕は自分がやっている音楽のテンポを遅くしようとしていたんだ。それはダビーで、ソカの要素をもったテクノにドラムンベースのようなシンセを混ぜたような音だったんだ。『7even Recordings』からリリースした『Springs and Wires』みたいな感じで、もっと面白い表現をしようと混ぜ合わせたサウンドに近いね。その1年後にダブステップを発見したんだけど、僕の音楽を表現するのに完璧な場所に思えたんだよ。

フランスのダブステップシーン黎明期の一端を担いましたか?もし知っていたら当時のその状況を教えて下さい。

ケヴィン:地元のストラスブールで、僕は“Sens Invers”って名前のクルーで活動していて、僕らは2006年から2007年の間レーベルをやりながらシーンを作っていったよ。ここでは、いまではたくさんのアーティストがダブステップをプレイしたりプロデュースしたりしてるね。パリとか、他のフランスのことは分からないな。Greg G、Likhan、Synaptic、Subrider、DJ Absurdなんかはきっとシーンに加担してると思う。2006年かその数年前はパリ、ストラスブール、ナント、マルセイユ、リヨン、リール、ブレスト、レンヌ、ブザンソン、他にもあるけど忘れたな、そういった街はそれぞれダブステップの中心的存在が居た。

フランスのダブステップシーンはいまどんな感じでしょうか?

ケヴィン:間違いなく成長してるよ!ダブステップのアーティスト、レーベル、パーティーも増えているし、新しい世代のサウンドには違いを感じる。ハーフステップ、ウォブルスに影響を受けていたり、UKガラージやグライム、ベースラインハウスからの影響だったり、レゲエ、ダンスホールのバックグラウンドを持っているやつらもいる。テクノっぽいやつもそうだね。まだまだ色んなのがあるよ。でも規模や多様さにおいてはUKとは比べ物にならないな。

『7even Recordings』とはどんな経緯でリリースすることになったんでしょうか?

ケヴィン:2007年に初めてレーベルオーナーのGreg Gと会ったんだ。“フランスのダブステップ・ミーティング”をテーマに『ダブステーション』という名前のパーティーをストラスブールでやったときに彼をDJとしてブッキングしたんだ。他にもLikhanやSynapticみたいなフランスのダブステップのパイオニアも居たよ。それから彼は数ヶ月後に僕をブッキンクしてくれて、その間、ダブステップについての考えを話し合ううちに、ふたりともテクノダブステップにハマっていることに気付いたんだ。そして彼はダブステップのレーベルをはじめようとしているって教えてくれて、でパーティーの後、トラックを送ってくれって頼まれたんだよ。

ダブステップのどんなところに大きな魅力を感じましたか?

ケヴィン:いまだとUntold、2562、Shackletonみたいなアーティストだな。レーベルで言うと『Hemlock』『Hessle Audio』『Ghostleigh Dub』『If Symptoms Persists』『Berkane Sol』、たくさんのレーベルやアーティストの新曲を聴いて、そのアイデアにはいつも興奮してるね。言いだすとキリが無いよ。

あなたのサウンドはいわゆる典型的なダブステップと呼ばれるサウンドよりもエクスペリメンタルですよね。ダブステップ以外、テクノやその他の音楽でいま面白いと思うアーティストはだれでしょうか?

ケヴィン:Shed、彼の“Panamax Project”はヤバイね! あとはT++、ASC、それに『Hemlock』からTRGが最近出した『Tower Block / Beton Brut』は本当に大好きだよ。それにApparatの『King of Clubs』、たくさんいるね!テクノではJeff MillsやSpeedy Jとかクラシックも好きだよ。

これまで、あなたに最も大きな影響を与えたアーティストと、なぜそう思うかの理由を教えてください。

ケヴィン:ウィーンのStereotype。彼はダビーでシンコペーションの効いたベースのフューチャーラガ・ミュージックを長い間やってきた。僕がダブステップを発見し、彼の音楽を聞き出すずっと前からね。

ダブステップのシーンから飛び出したジェームス・ブレイク。いまメジャーなフィールドで注目されはじめています、彼のことはどう思いますか?

ケヴィン:ジェームス・ブレイクの『Atlas』を聴いたよ。すごくすっきりしていて、ハイレベルなプロダクション、すばらしく技術的で美的で申し分ないんだけど、正直なところ、僕の好みではないんだ。でもリスペクトしてる!彼は音楽をさらに押し進めているよ。

2010年、あなたはアルバム『Undivided』をリリースされましたが、そのタイトルのように、さまざまなサウンドとダブステップの不可分な領域を行き来するような音楽性でしたね。このアルバムのコンセプトを教えて下さい。

ケヴィン:ダブステップ、ベースミュージックの音楽的なアプローチをしたかったんだ。より広範な意味でのクロスオーバーをね。単なるトラックのコンパイルではなくて物語のようなものをやりたかった。

今後アーティストとして挑戦してみたいことはどこでしょうか?

ケヴィン:僕が?もっと音楽的で芸術的でパーソナルな質感をダブステップに加えたい。それは僕にとってはDJパフォーマンスのためのサウンドデザインと言えるね。

最後に東京という街の印象を(もし行ったことがなければ、テレビや音楽シーンなどからうける印象でもかまいません)。

ケヴィン:たくさんあるよ!世界で一番大きい街、規模においても、人口においても、ビジネス、文化、他にもかな?きっとハイレベルなテクノロジーの街で、でも建物は伝統的な一面を保っていて。あとマンガやアニメでお決まりのモノや絵もたくさんあると思う。日本で最近起こった悲劇には世界中が現状についてとても心配してる。すべての問題が早く解決して、これ以上、みんなが死んだり苦しんだりすることがないことを祈っているよ。


『Basement Ltd. presents 7even Recordings Showcase with Helixir & Ena』の詳しい情報はこちら

テキスト 河村祐介
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo