パブリックアイ 第23

シャノン・ウォーカー(32) 浜松町にて

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パブリックアイ 第23回

シャノン・ウォーカー ニュージーランド政府観光局局員

ポロシャツに『100%PURE』って書かれていますね

シャノン:僕のことじゃなくて(笑)、ニュージーランドのコピーです。

ニュージーランドの方なんですか

シャノン:はい、キゥイーです。ニュージーランドでは、ニュージーランド人のことをキゥイーと言います。僕はニュージーランド政府観光局に勤めていて、日本に住み始めて8年くらい経ちます。ニュージーランド人として自分の国をプロモートできて、本当に楽しい仕事です。

8年前、何をきっかけにして日本に来たのですか

シャノン:もともとは高校生の頃、東京に留学をしていて、ホームステイ先に1年くらいいました。学ランを着て、男子校で、厳しくて大変でした。軍に入ったかな、というくらいビシバシ鍛えられました(笑)。留学生として、たったひとりの外国人学生だったのも大変でしたね。だけど、一旦ニュージーランドに戻って大学に行って、卒業してからまた日本に戻ってきました。

それはなぜ?

シャノン:大学でも日本語を勉強したのですが、あまり上手くならなくて。今ももちろんまだ勉強中だけど(笑)。でもやっぱり、日本語がもっと上手くなりたかったし、日本がとにかく好きというか。ニュージーランドから見ると、日本は“非日常”なのです。

何が一番違いますか

シャノン:根本的なところはあまり違いがなくて、人は人で同じだけど。日本に来てもう8年経つけど、もう、東京は知っているぞ、詳しいぞ、っていう気持ちには絶対にならない。毎日がともて新鮮です。刺激や驚きがたくさんあります。何年経っても発見があることが素晴らしいと思います。

では最近の発見といえば?

シャノン:今まで、吉祥寺や荻窪、渋谷、目黒に住んでいたので、西東京はわりと詳しいのですが、北東京はあまり行ったことがありません。本当に別世界ですよね。最近行くようになったのですが、この間、上野から根津まで歩いていたら、ニュージーランドバーを見つけました。『NZバー』というのですが、意外なところにニュージーランドの空間が広がっていて、びっくりしました。日本の方がやっていらっしゃるのですが、ニュージーランドのワインにとても詳しくて、嬉しかったですよ。ニュージーランドはたくさんのワイナリーがあるのですが、どこも大量生産ではなく、質にこだわったものばかりなんです。

東京に暮らしていて、のどかな風景が恋しくなったりしませんか

シャノン:東京の魅力は、この大都会の生活です。確かに、世界の他の大都市に比べて、表面的な見た目があまりきれいじゃない。建物の構造とか、正直とても不細工なものがたくさんある。道も細いし。でも、だからこそとてもおもしろい。電信柱のワイヤーとかがどこにでもあって、オーセンティックな景色はないけど、その中に、神社とか、落ち着いた空間がぽっかり現れたりする。コンクリートジャングルからふと抜け出る瞬間が素晴らしい。小さいかもしれないけど、公園があって、意外と緑も多い気がします。

ニュージーランドの魅力も教えてください。

シャノン:大自然はきれいだけど、見るだけじゃなくて、体験型なのが特徴的です。ニュージーランド人は、心臓がドキドキ、ワクワクするようなアクティビティが大好きなのです。バンジージャンプを開発したのもニュージーランド人ですね。もともとバンジージャンプは、パプアニューギニアで行われている“成人の儀式”だったらしいのですが、それをニュージーランド人が見て、アクティビティになるな!って思って始めたそうです。

それから、空港に降り立っただけで、本当に空気が美味しいのがわかります。食べ物もとても美味しいです。もともとイギリスの料理が中心で、ミートパイしかないような印象だったけど、今は世界から色々な文化が入ってきます。ニュージーランドは地理的に世界の端にあるから、いつも世界を見ている。皆、たくさん旅をします。フランスで修行したり、イタリアで修行したり、いろんな国で勉強した人がニュージーランドに戻って来ているから、たくさんの国の料理を食べられるようになりました。もともと伊勢エビとか、ハーブとか新鮮な材料は豊富ですから、それを上手にアレンジできるようになったんですよ。

さらに、“シャノンさん”から

「僕が生まれ育った街は、人口が1000人くらいのサーフタウン。海辺にあって、道は砂利のまま整備されていないし、郵便局も週に2日しかやってなくて、自分で取りに行きます。そういう場所から日本に来ているから、とても極端です。あまりにも極端で、真逆だから、気に入っています」

「日本人の妻と暮らしていて、大変なことはいっぱいありますよ!でも、たくさん乗り越えました(笑)。だけどね、キゥイーハズバンドって言葉があって、ニュージーランド人は、世界で一番の夫なんだそうです。家庭のことを良く手伝うと言われているんですよ!」

「実は僕もアクティビティが大好きで、日本でもアドベンチャーレースに出たりしています。都会生活もできるけど、週末になれば、車や電車で都会の中心からすぐに出られて、海に行ったり、バーベキューをしたり、簡単に自然と触れ合えるのも東京の魅力です」

テキスト 東谷彰子
撮影 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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