Courtesy of One Love Jamaica Festival
2010年05月03日 (月) 掲載
ジャマイカへの情熱が年々高まりを見せている。そんな情熱の後押しを受け始まったのが『ワンラブジャマイカフェスティバル』だ。6回目を迎える今年は、5月8日、9日の2日間にわたり代々木公園で開催、来場客は4万人を超える見通しだ。フェスティバルでは、ジャマイカ独自の料理を堪能できるほか、カリブで1番の人気を誇るこの国の文化にも触れられる。
「日本におけるジャマイカのブランディングは大成功しています」、フェスティバルの広報担当者で、ジャマイカをこよなく愛している菊池龍平は言う。レゲエやパトワ語を愛する日本人の若者にとって、ジャマイカはクールでファッショナブルな存在だ。そのためイベントにはジャマイカのルードボーイを真似た若い男性や、ダンシングクイーンに憧れる女性が多く来場する。しかし、彼らがフェスティバルを壊すことはない。銃声音が鳴り響く心配もなく、フェスティバルは大いに盛り上がる。
自身もジャマイカで2年間働いたことがある菊池だが、「日本の若者はジャマイカへのこうした愛はあるのだが、わざわざ本場ジャマイカを訪れ、最新のダンスやサウンドシステムを習得しても、結局は他の日本人向けにレゲエを作るだけで終わっている」と感じているという。日本では、商業的に成功しているレゲエアーティストの中に、ジャマイカ人を見かけることはことはあまりない。
しかし“ジャマイカ的なモノ”が、人気であることは間違いない。アフリカ出身の人たちまでもが、飲食店の展開の際に“ジャマイカ化”を施し、このようなイベントに来る日本人女性たちからの人気を獲得している。
フェスティバルを訪れる似非ジャマイカ人やジャマイカオタクはさておき、この大規模な人気イベントはジャマイカと日本の文化交流の場になっており、日本からジャマイカへの旅行客を増加させることを最終的な目的にしている。そしてこのイベントは、ホームシックのジャマイカ人を元気づけ、キングストンに響き渡るサウンドと興奮に恋い焦がれる日本人を満足させる。ここからは、ワンラブジャマイカフェスティバル2010で見逃せないイベント、食べるべきモノ、体験すべきコトを紹介する。
ワンラブジャマイカフェスティバルの開催月には、比較的気候が良く太陽が多い5月が選ばれた。加えて、5月はボブ・マーリーが死去した月でもあるため、彼を追悼する意味合いも込められている。日本人パフォーマーがボブ・マーリーを称え、人々の記憶に強く刻まれている彼の楽曲をカバーする。30代以上の年代の日本人の中には、平和、統一、愛などのメッセージを含むルーツレゲエを好むものが多い。ボブ・マーレーの曲に合わせ、フェスティバルが幕を開ける。
出演する日本人レゲエアーティストは、ラガマフィンスタイルでDJをするRankin’ Taxiや、ジャマイカのレゲエ専門ラジオ局IRIE FMで『Happy Birthday』や『Give Thanks』がヘヴィーローテーションされているMi-Iなどを予定している。
ジャマイカ人アーティストの公演はそう多くはないが、パワフルになることは間違いない。ジャマイカから来日するアーティストには、現代レゲエの伝説とも言えるガーネット・シルクの弟であるオマー・シルクがいる。オマーは、兄ガーネット・シルクが命を落とした自宅での火災から生き延びた過去を持つ。だがそんな過去が彼の音楽に悲しい一面をもたらしていると言われている。それでも彼の曲はバイタリティとスピリチュアルな思想にあふれている。
フェスティバルで一番のサウンドは、公園の奥から聞こえてくるはずだ。日本人ラスタと才能あふれるサウンドボーイズがルーツレゲエの魅力を紹介する。一流のチューンセレクションとポジティブなバイブは観客を最高潮に楽しませる。
より深くジャマイカ文化に触れたければ、無数に並ぶブースを細かくチェックしよう。熟練した腕を持つ職人が作った工芸品は、プレゼントや記念品にぴったりだ。とくにラスタファリ主義者を象徴する赤、緑、黄の色を使ったアクセサリーが目を引く。子供たちは、髪を編みこんだり、ユニークな玩具と遊んだりするのに心を奪われるはずだ。
東京にあるジャマイカ大使館もブースを出し、ジャマイカへの留学に関する情報や、旅行を計画している方への観光情報を提供する。ジャマイカ政府観光局は、島が誇る真っ青なビーチや息をのむほど美しい夕焼けなど、ジャマイカならではの魅力を教えてくれる。これらの一部は、人類最速の男として知られている陸上選手、ウサイン・ボルトが出演しているジャマイカ政府観光局のコマーシャルでも紹介されている。
太陽の下でジャマイカの心温まる料理と美味しい酒が堪能できる。ジャマイカ人により調理されたジャマイカの伝統料理と、日本人やアフリカ人が作ったジャマイカ料理を比較してみよう。好みは人それぞれだろうが、どれもが美味しいことは保証する。名物であるジャークチキンはどの店でも目にするので、確実に味わえる。また菜食主義者にはもってこいのアイタルシチューのような、マニアックな食べ物に挑戦してみるのもいい。レッドストライプビールは忘れずに。
ジャマイカのフォークダンスや、子供によるパフォーマンスが予定されている。パフォーマーの子供の中には、日本のルーツを持つ子供もいる。ジャマイカの歴史とジャマイカンダンスについて楽しく学べる絶好の場所だ。
クリエイティブなことが好きであれば、アートとライブ・ペインティングを楽しんでみよう。アートビレッジではギャラリーでの展示に劣らない、クオリティの高い、ジャマイカならではの写真、絵画、彫刻を見ることができる。家族連れに優しいアクティビティも用意されているので、子供の芸術的才能をジャマイカスタイルで引き出すことにチャレンジしてみるのも面白い。
日没後、パムパムショーツを履いた日本人ダンスクイーンたちが、ステージ上でエキゾチックな夜行性美女に扮し、パサパサダンスで男性客を魅了する。見逃せないショータイムだが、鳴り響く熱いリズムは“慣れた客”をも奮い立たせるため、内気な人には刺激が強すぎるかもしれない。
ワンラブジャマイカフェスティバルは、音楽を通じてジャマイカの文化を知るチャンスを与えてくれる。ジャマイカは“多くの部族からひとつの国民に”という標語を持ち、その文化はとても奥深い。ひとえにジャマイカ人と言ってもその先祖には、アフリカ、イギリス、スコットランド、ドイツ、インド、中国など様々な国からたどりついた人々がいる。国としてはひとつだが、それを支える人々は、多くの異なる民族から構成されている。フェスティバルに足を運んで、多くのジャマイカ人と話をしてみよう。ワンラブの背景にある真のジャマイカ精神が感じられるはずだ。
場所:代々木公園
日程:5月8日(土)、9日(日)
時間:10時00分から20時00分
入場:無料
ウェブ:www.onelove-jamaica-fes.org/
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