Quakebook “ツイ”ンタビュー

チャリティ電子ブックの紙版発売を前に、“アワマン”が語る

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Quakebook “ツイ”ンタビュー

もし、まだ『2:46 - Aftershocks: Stories from the Japan Earthquake』を知らないなら、きっとあなたはネットのない環境で、何かに頭を埋めて生活しているのだろう。クラウドの力で完成したこの電子ブックは『Quakebook』として良く知られており、発売翌週、Amazonのノンフィクションランキングで、第4位になった。この電子ブックの紙版が、6月に、ペーパーバックとして日本語と英語の2つの言語で出版されることになった。

同プロジェクトをまだ知らない人たちに共有するべく、タイムアウト東京は発案者であり、エディターである“our man in abiko”といち早くコンタクトをとり、“彼が忙しくなる前に”インタビューする機会を持った。そして、例のごとく、クラウドの力を借り、Quakebookのツイッターアカウントをフォロワーしている人達からの質問を採用することにした。

@loveartblues:Quakebookを出版するにあたり、何が一番大変な部分でしたか、もしくはなにが一番時間がかかりましたか。諦めかけた時期がありましたか。

期待が高かったということが一番大変でした。Quakebookにかなりの期待が寄せられていることはわかっていましたが、これは時に、辛くもありました。私は整理だてることがうまい人間ではないんです。なので、私が全ての人の投稿を採用できなかったのは申し訳ないと思うし、自分が無能力なせいで、幾つかの投稿が中途半端になり、結局ナシになったこともありました。自分では最善を尽くしたつもりですが、時に十分でないこともあります。これに関しては謝罪することしかできません。ですが、諦めることは選択肢にはありませんでした。諦めるということは、地震に“勝ち”を譲ることになるし、そんなことはできませんした。

@808Towns:物語や素材を、どのようにまとめていったのですか?

メール、ツイッターとNeoOffice(マイクロソフトオフィスのフリーウェア)で作業をしました。原稿の収集や翻訳者、コピーライターへの手配はメールで、ツイッターは、新しい書き手、新しい協力者を見つけるのに役立ちました。そして、最後に、ワープロ・プログラムに素材をカットアンドペーストして、完成です。

@zerosonico:オノ・ヨーコは本当に自分自身でQuakebookを探しだし、支援しようと決心したのですか。また、企画の思いつきから出版まで正確にどれくらいの時間がかかりましたか。

最初の質問にたいしては、分かりません。我々のフォロワーの誰かが、彼女から注目を得ようとして彼女宛にツイートしたことは知っています。そのおかげかわかりませんが、ある日オノ・ヨーコのPRチームから彼女が支援を希望しているという旨のメールを受け取りました。そして彼女は、ジョンそしてショーンの東京で地震体験についての素晴らしい作品を送ってきました。

正確な時間?私は几帳面でないんですよね。多分、原稿を仕上げるのに1週間と少し。そして、もう1、2週間くらいでAmazonで販売できるようにしました。素晴らしいことにAmazonは全ての手数料を放棄してくれたので、売り上げの全額が日本赤十字社に行くことになりました。

@ThatDanRyan:異なる地域から参加したというチームメンバーは何人くらい居たのですか。そしてQuakebookのチームメンバーの中で、ジャーナリズムのトレーニングを受けたことのある人はどれくらいいたのですか。

とても多くの地域から参加してくれていました。10から20くらいですかね。投稿は幾つかの国からあって、世界中の沢山の人が、コピーライター、翻訳者、校正者、PRアドバイザー、応援する人、批評する人、写植職人、デザイナー、そしてソーシャルメディアのエキスパートとして働いてくれていました。多分、200名位がこのプロジェクトに直接関係者し、働いていたと思います。Quakebookを始める前に会った人は一人でした。

ジャーナリズムのトレーニングについては、わかりません。私は誰にも履歴書を求めていないので。唯一尋ねたのは、「手伝ってもらえる?」くらいです。答えが「はい」であれば、それで十分でした。

@tokyofreelance:Quakebookは何言語、そして何カ国のメディアで紹介されたのですか。

うーん。私の記憶では、ブラジル、フランス、日本、ドイツ、アイルランド、オランダ、イギリスそしてアメリカのメディアで紹介されたと思います。最近紹介してくれた国を忘れているかもしれませんが……。

@dailyvemuri:PRが忙しすぎて、小回りの良さや、本来の目的が失われてしまうと、危機感を感じたことがありますか。

えー、それは私のメディア担当アドバイザー、ロバートデビードに話してもらう方がいいですね(笑)。でも真面目に言うと、Quakebookの成功は“正直さ”にあったのではないかと思っています。3月11日に何が起きたのか、世界にありのままを伝えようとするアプローチです。PRにばっかりに、翻弄されてしまうと、多くの人との直接的な関係性やありのままの姿を伝えるということも薄まってしまいます。それはQuakebookの方向性とは違ってしまいますね。

@eanjhair:プロジェクトがメディアで注目される中、どう自分の匿名性を守りましたか?

当然、メディアのライターたち、レポーター達を惑わせることはしています。自分のアバターのシルエットを左から右に変えたりということを自然にやっています。ただ、自分の素性を隠すために、特別な策を講じているわけではありません。私の名前を見つけだすことはとても簡単です。しかし、私は “Our Man in Abiko”として知られている方がいいのです。 Quakebookはツィッターから発展したプロジェクトですし、“Our Man”はその構成要素です。それがゆえに、私はインタビュアーに、多くの人との共同プロジェクトという本質を尊重して、私の本名、私の家族のプライバシーを明らかにしないように頼んだんです。そして、もし彼らがそうした場合には見つけだして叩きのめすだろうということもね。今までのところ、みんな応じてくれています。

@LnBen:将来、写真が買えるようになる予定がありますか。オフィスに幾つか飾りたいと思います。

素敵なアイデアですね。実際、チャリティー目的で、本の中の作品を国際的なオークションに出品する話が来ています。現時点ではまた、話の段階です。ただ、良いアイデアは一人歩きしますから、どうなるかはわかりませんよね。

立場を変え、@OurManInAbikoからの質問「Quakebookの何に驚きましたか」

@bigopinion_pro:オノ・ヨーコの作品を1週間そこらで手に入れたことには、すごく驚きました。すべての作品がとても、親しみが湧くものだったということにも、驚きでした。

@ritorumagaijin:私の地元の人が、作品を提供していたことです。私のほうが日本から遠くないと思っていた し、何かやろうと思ったら出来ない事もなかった訳ですから。世界はある意味小さいです。

@taotsu:Quakebookついてすごく驚いたのは、幅の広い国際的な関心と、他言語でも出版されるようになるということです。

@goodandbadjapan:同じ出来事に関して、多くの物語が、どれも完璧に心を掴んで離さないことです。

@Tomoshiga:Quakebook に作品を提供することは、素晴らしく、今まで自分がしたことで、“私欲”がなかった事でした。私の中では、“できないこと”という言葉は存在しません。

@onigiri:マスメディアが扱うような“ヒーロー像”とか“悲劇”がないことです。ただ“普通”の人々が、どうあの出来事を体験したのかが、載っている。そこがいいんだ!

@kristineiida:Quakebookを最初から最後まで読んで鳥肌が立ちました。そして、2,3回目も同じように鳥肌が立ちました。とても強いインパクトでした。


『2:46 - Aftershocks: Stories from the Japan Earthquake』は、電子ブックとしてamazonで販 売中。詳しくは、オフィシャルサイト(www.quakebook.org/ja)にて。

Interview by ジョン・ウィルクス
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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