インタビュー:反原発ロックフェスデモ

デモを主催する『素人の乱』の松本哉に話を聞いた

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インタビュー:反原発ロックフェスデモ

撮影 ふかみちほ

原子力発電所にNO!をつきつけるため、高円寺で『超巨大反原発ロックフェスデモ in 高円寺』が計画されている。主催するのは、『素人の乱』の5号店店主・松本哉。なぜ高円寺でデモを開催することになったのか、松本に話を聞いた。

3月27日に銀座で行われたデモ(再処理とめたい!首都圏市民のつどい)には、例年の40倍もの人が参加しましたが、4月10日については、現実的にどのくらいの人たちが参加すると思いますか?

松本:全く不明ですが、数千人規模にはなると思っています。今回のデモは、継続的に反原発に取り組んでいるデモではないので、前例がありません。ちなみに、高円寺で起こる他のデモは通常2~500人規模で行われることが多いです。ただ、今回はtwitterはじめ、インターネットでの情報拡散が非常に多く行われているのに加え、女優の松田美由紀さん(松田優作の妻)がネットで参加を呼び掛けていたり(本人は予定が合わずこれないそうです……)、他の当日参加アーティストの影響力などを考えると、かなり人数は増えると思います。

英国人ライターの私は、ストリートで平和的なデモが行われるのは見慣れているのですが、大規模なデモは日本では珍しいと思います。日本の若者の目を本質的に、社会的、政治的な活動へと向けることは可能ですか?そうであれば、どのように?

松本:日本の若者の思考はすでに政治化していると思います。これまでは、日本の豊かさもあり、悪い政治や社会問題などに目をつぶることは出来ました。が、今回の震災と原発事故では実際に生活に影響が出てきており(特に東京や、それ以北で)、これまで政治的問題に関心の薄かった人ですら、いまは原発などに関して強い意見を持っています。また、今回のデモは、労働組合や政治団体が組織したデモではなく、しかも大規模デモなので、非常に稀な経験になると思います。今後も多発するであろうデモや行動を通して、若者の政治へのハードルは一気に下がっていくのではないかと思います。

2007年の杉並区議選の出馬から得たものはなんですか?既存の政治プロセスに参加することで、松本さんの活動の目的はどのように達成できると思いますか?

松本:既存の政治過程によって社会がよくなるとは思っていませんし、むしろ世の中を良くする上での弊害だと思っています。たとえ自分が選んだとしても、「政治家が世の中をよくしてくれる」という考え方自体が、社会参加を放棄していることだと思います。もちろん、選挙制度がなくなれとまでは思ってませんが……。

2007年の選挙も、もちろん政治家になるつもりで出たのではありません。日本では、街頭での行動は非常に制限されており、選挙に出た時のみ街に公然と出ることができます。既存のシステムを使って、こちらがやりたいことを実践したので、注目を集めることができました。街頭ライブやパフォーマンス、芝居なども行って主張したので、保守的な人々はとてもびっくりしていたし、若者たちは大喜びしていたし、非常に効果があったと思います。

4月10日のイベントは反原発ですが、原発に変わるエネルギーとしては、何を考えていますか?

松本:わかりません(笑)。無難な考えとしては、太陽光や地熱、風力。震動発電なんかもあると聞いてますが、エネルギーの専門家ではないので何とも言えません。ただ、こんなに危険な原子力発電があるぐらいだったら、電気が足りないほうがよっぽどましだと思っています。一刻も早く原発を止めることが先決です。また、今の日本社会の電気の無駄使いは異常です。街で見かける20台ぐらい並んでいる自動販売機一つ見てもそうですし、いくらでも対策はあると思います。

あと、強く提唱したいのは、人が集まることも環境にいい、ということです。それぞれの人が個別に電気を使うより、集まった方が楽しいし節電にもなります。花見自粛などは正反対の政策だと思います。むしろ節電のために一年中花見をするよう推奨すべきです(笑)。それと、どんどん個別化が進んでいる、これまでのライフスタイルの変化も改めた方がいいと思っています。

タイムアウト東京で、4月10日に行われるイベントの情報を掲載をしたところ、ツイッターなどで多くのリアクションがありました。多くの外国人からもリアクションがありました。外国人が興味をもっていることについて、どう思いますか?驚きましたか?

松本:日本の報道では「大丈夫です」「影響はない」ばかり言っていて、問題を過小評価しています。ところが海外の報道では「危険だ」「最悪の事故」と報じられています。外国人の方が反応が大きいのは当然だと思います。現に外国の友達からもたくさんの電話やメールがきて「なぜ日本人はみんな“大丈夫だ”と言ってるんだよ!」と言われます。

4月10日の会場が高円寺の公園になったのはなぜですか?東京電力の人たちに見てもらうような場所ではないのはなぜですか?

松本:いま、多くの若者たちが怒っています。若者の比率が非常に多い高円寺でデモが起こるのは自然な流れだと思います。もちろん東京電力や政府に対してのデモは必要だと思いますが、今回の企画は、高円寺に住み、働いている多くの人たちから声が上がって始まったこともあります。特に今回は生活に影響が出始めていることもあり、生活の場から声を上げることは重要だと思います。

イベントの(バンドなどの)ラインナップはどのようになりますか?政治家などは参加しますか?もし、可能であれば誰に出てほしいですか?例えばトリをつとめてほしいバンドなどいますか?

松本:ライブやDJは現時点で下記のとおりです。スピーカーとしてはまだ未定ですが、作家の雨宮処凛さんや区議会議員の須黒奈緒さんはじめ、多くの人が駆けつけてきます。また、なにより、出演アーティストたちが多く発言すると思いますので、楽しみです。本当に一番呼びたいのは忌野清志郎なんですが、残念ながら故人です。そうなると、次は泉谷しげるですね~。

MC
RANKIN TAXI
RUMI

Sound System
コバヤシステム(S.K.Y./WEEKEND)

LIVE
The Happening
パンクロッカー労働組合
フジロッ久(仮)
どついたるねん
PINPRICK PUNISHMENT
PPP
ジンタらムータ - 大熊ワタル(cl/シカラムータ)
- こぐれみわぞう(チンドン太鼓/シカラムータ)
- 河村博司(g/ex:ソウルフラワーユニオン)
- JIGEN(b/桃梨、ソウルフラワーユニオン、頭脳警察)
- ギデオン・ジュークス(tuba/シカラムータ、渋さ知らズ)
- 関根真理(per/渋さ知らズ)
- 多田葉子(sax/こまっちゃクレズマetc.) 

ほか

今後、松本さんの活動や反原発の活動に興味をもった人が持続的に参加する方法はありますか?メールマガジンなどはありますか?

松本:素人の乱でやっているメールマガジンはあります。加入はココです(www.shirouto.org/bfc/)。デモ情報だけではなく、ライブイベントや映画上映会、トークショーなどのイベント情報なども配信しています。あと、すいません、日本語のみです。ただ、私たちは反原発グループではなく、オルタナティブなスペースやコミュニティを作る活動をしているので、通常は原子力問題などを取り扱うことは少ないです。もし、原子力問題に興味のある人には反原発グループを紹介することはできるので、ぜひうちのお店までコンタクトを取ってください。また、できれば直接的なコミュニケーションを求めています。気が向いた方は、夜にビールでも飲みに来てくださいね。

お忙しいところありがとうございました。



『超巨大反原発ロックフェスデモ in 高円寺』の詳しい情報はこちら

インタビュー ジョン・ウィルクス
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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