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大方の予想を裏切り好評を博してしまったタイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター、ジョン・ウィルクスと、音楽エディターのジェイムズ・ハッドフィールドによる『世界に伝えたい日本の名曲100』レビューの第2回目。
ジョン:タイムアウト東京のジョン(左)です。
ジェイムズ:ジェイムズ(右)です。
ジョン:昨日に引き続き、『世界に伝えたい日本の名曲100』を聴きたいと思うんだけど……ジェイムズ、今日は誰が選んでくれた5曲を聴くの?
ジェイムズ:今日は、YUIが選んだ5曲。
YUIは、まだ若いんだけど、ものすごく才能のあるシンガーソングライターで、ギターもうまい。映画にも出たことがあるんだよ。
ジョン:彼女はエクセレントだよね。
ジェイムズ:彼女がどんな曲を選んだのか、聴くのが楽しみだよ。
ジョン:最初の曲は、『アメアガリナ……』何?ジェイムズこれ、なんていう曲なの?
ジェイムズ:『雨上がりの夜空に』、RCサクセションの曲だよ。
ジョン:RCか、“Earthy”とは違うんだね。
ジェイムズ:RCだよ。“Right Charlie”って覚えれば(笑)?
この曲は、数年前に亡くなった忌野清志郎が歌ってるんだけど……ちょっとローリング・ストーンズっぽいね。しかも、彼は、どうやってパーティを始めば盛り上がるかを良く知っている!
ジョン:そうだね。デイビット・ボウイの、さっきジェイムズが言ってたアルバムは何だっけ?
ジェイムズ:あぁ、『ダイアモンド ドッグス』。
ジョン:『ダイアモンド ドッグス』時代のデイビット・ボウイの感じもするし、キース・リチャーズにも似てるよね。それから、僕はトータス松本が好きなんだけど、トータスとウルフルズは忌野清志郎の影響を受けていると思うんだ。
ジェイムズ:忌野清志郎の衣装やメイクアップも良いよね。メイクアップしてるけど、ビジュアル系とは一線を画している。素晴らしいと思う。
ジョン:YUI、僕らはこの曲、とっても好きだよ。エクセレントだ!
じゃ、次の曲にいきたいけど、ちょっとYUI、この『SUPER BUTTER DOG』っていうのは、一体どういう意味なの?
ジェイムズ:ちょっと汚い感じがするね(笑)。
ジョン:ぜひ、YUIにオフィスに来てもらって『SUPER BUTTER DOG』について教えて欲しいよ。もちろんその時はランチに、『SUPER BUTTER CHICKEN』をご馳走するよ(笑)!で、曲は『サヨナラCOLOR』だね。
ジェイムズ:どんな色なのかな?きっと、僕らが今日着ている服の色とは違うよね。
ジョン:この曲は、ライアン・アダムスを彷彿させる。ブライアン・アダムズじゃないよ。ライアン・アダムスの『ゴールド』っていうアルバムがあるんだけど、その中に入っていても不思議じゃないね。
ジェイムズ:いい声だね。
ジョン:『SUPER BUTTER DOG』と名のつく人の声とは思えないよ。(笑)
ジェイムズ:『SUPER BUTTER DOG』ってブーツィー・コリンズとか、そんな感じだよ(笑)。うんうん、この『サヨナラCOLOR』も好きだな。
ジョン:YUI、君がおすすめしてくれた2曲目も良い曲だ! だけど、次も、変わった名前のアーティストだね。『BO GUMBOS』だって。
ジェイムズ:曲名は、『夢の中』。
ジョン:イントロがすごくビートルズの『レット イット ビー』のコードと似ている。あれ!ちょっと今音をはずしたね。
ジェイムズ:ジョンからギターを習った方がいいよ。
ジョン:だけど、ゴーバンボス?あれ?ゴーバンブス?ボー ガンボスだね。BO GUMBOSは、1970年代のロックっぽくていいね。
ジェイムズ:だけどさ、彼の着てきるものは、何?カーペットか何かなの?
ジョン:70年代の人たちは皆、カーペットみたいな服を着てたじゃないか。
ジェイムズ:ピンクの頭にカーペットを着て、これってファッショナブルなのかな?誰も教えてくれないからさ。
ジョン:自分だって大きな頭をしてるじゃないか(笑) それはさておき、『BO GUMBOS』は、ゴスペルっぽさもあり、70年代初期のロックテイストもあって、悪くないよね。僕のイメージしていたYUIちゃんが選んだとは思えない曲だよ。彼女はきっと、お父さんのレコードコレクションを聴いて育ったんだろうね。
ジェイムズ:じゃぁきっと、お父さんもこれを見て、ハッピーになってくれるね。この『夢の中』に関しては、まぁまぁ、って感じかな。
ジョン:僕は好きだよ。
それじゃ、次の曲。ユミ・アライの……
ジェイムズ:『やさしさに包まれたなら』。
ジョン:言えたね(笑)。さっきジェイムズは5回くらい練習したんだよ。この曲はね、僕の子どもたちが良く聴いてるから、前から知っているんだ。宮崎駿は世界的にも有名だしね。映画のタイトルは何だった?
ジェイムズ:『魔女の宅急便』。この曲は『ポニョ』の曲より、ずっといいね。
ジョン:『ポニョ』はちょっと、子どもがずっと騒いでいる時みたいなイライラ感があるからね。
ジェイムズ:『ポニョ』の歌が大好きだっていう知り合いがいたけど、あんまり仲良くなれないと思ったよ。でも、この『やさしさに包まれたなら』に対しては、音楽的なコメントをあまりできないな。とてもノスタルジックな曲だよね。色んな人が、子どもの頃に聴いて、思い出があったりするでしょ。
ジョン:それは面白い意見だね。だけど僕も、ジェイムズに賛成かな。それに、いい曲だと思うよ。
それじゃ、次は“力強い”スピッツ。スピッツって、音楽業界にいる歴が長いよね。僕が日本に来てから、ずっとスピッツのことを知っている気がする。今日聴くのは、『メモリーズ』。 PVを観ると、まずは、頭をふわっと盛り上げた人が出てくるね。とてもソフトに始まるけど、だんだんアンダーワールドみたいなエレクトロになる。
ジェイムズ:今度は、頭に三角形のものをかぶった人が出てきたよ。ピラミッド?
ジョン:スピッツって、コーラスがいいよね。ライブで皆で一緒に歌ったら、すごく気持ちが良さそうだ。
ジェイムズ:カラオケでも最高だよ。
ジョン:カラオケも良さそうだね。讃美歌みたいな響きもあるし、本当にいいよ。
ジェイムズ:でも、この『メモリーズ』を1曲ちゃんとカラオケで歌ったら、1週間は声が出なくなるかも。
ジョン:スピッツの曲、いいよ。
ジェイムズ:うん、悪いところが見つけられないね。あの三角形の意味はよくわからなかったけど……
ジョン:でも、この曲も、YUIが選んだとは思えないな。もしかしたら、僕はYUIのことをまだまだ知らないのかもしれないね。
ジェイムズ:僕も、彼女はスイートな歌が多いと思っていたけど……
ジョン:YUIが、こういうロックな曲を演奏しているのを聴いてみたい。ジェームス・ブラウンとか、RCサクセションみたいな感じの曲をね。
ジェイムズ:髪をピンクにして、カーペットみたいな衣装も着てほしい!
ジョン:YUI、このオフィスに、いつ練習しに来てくれてもいいよ!
じゃ、また来週。良い週末を過ごしてね。
グットナイト、トーキョー!
ジョンとジェイムスのプロフィール
ジョン・ウィルクス:
タイムアウトアブダビからやって来たタイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター。ロンドン出身。これまでオノ・ヨーコ、ブラー、エアロスミスなどのミュージシャンにインタビューしている。ギタリストとしても活動中。
ジェイムズ・ハッドフィールド:
タイムアウト東京の音楽エディター。ロンドン出身。英語情報誌『メトロポリス』のエディターを経て、現職。
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