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2011年3月6日(日)に開催された『ASIA GIRLS EXPLOSION』で、圧倒的なパフォーマンスを魅せたX JAPANが2010年、シカゴで開催された『ロラパルーザ』に出演した際のタイムアウトシカゴによるライブレポートをご紹介。
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拝啓、ペリー・ファレルさま。待ち時間の少ないトイレの設置をありがとう。コロンバス街をフェスの為に歩けるようにしてくれてありがとう。そして、クマズコーナーのヘビーなジューダス・プリーストバーガーの味も忘れられない。しかし、いちばん礼を言いたいのは、X JAPANの登場だ。
日本の、貫禄あるメタルモンスターのロラパルーザへの参加は、このフェスが今年仕掛けてくれた最大の手柄だ。そして、期待通りに、みんながロックされた。
ファイナルファンタジーのサントラに入っていてもおかしくない荘厳な賛美歌を思わせる音楽に合わせて、YoshikiとToshiが登場。合図とともに、大きな炎があがり、『Rusty Nail』がスタートした。多くの観客の熱気が、もの凄い勢いのギターの音、そして首にコルセットを巻きベルベットのガウンをまとったYoshikiが叩くドラムの音とぶつかり合う。数千を優に超えた観客たちが、両腕をクロスさせて、おなじみのエックスのポーズを作った。「シカーゴーーー。ロックする準備はいいか?」と、革のジャケットとパンツを着たToshiが叫ぶ。オーディエンスとのやりとりは、その後、何度も続いた。
先月のインタビューでYoshikiが語ったように、この日はドラマチックなバラードが演奏される場面はなく、ハードな楽曲が選ばれた。そして、『Jade』という曲が続く。スピードメタルと心情の入った素晴らしい歌詞が共存しているのが、X JAPANに見られるとても日本的な部分と言えるかもしれない。短いフレーズの歌詞と、ギタリストのSugizoが鳴らす脳に突き刺さるようなソロが入り混じる。
X JAPANのコアなファンは、間奏部分で、HIDEの映像がスローモーションで映し出されていたのに気づいただろう。HIDEは、1998年に他界。多くのファンが彼の死を受け入れられない中、彼は2008年に行われた東京ドームでのコンサートで、15万人のファンの前にホログラム映像で登場、不滅の存在であるかのように“復活”した。メンバーを失って12年が過ぎた今でも、彼の存在を大事に思っているというのは、実に感動的だ。
ライブは、まだ続く。多くのアメリカ人にとっては、映画『Saw IV』のサントラが、初めてX JAPANを知るきっかけになった。Toshiは、ロラパルーザの新しいファンに向けて、その主題歌『I.V.』の歌詞を、一緒に歌うことを呼びかけた。X JAPANは、日本では、レーシングチームやコンドーム、ファッションにいたるまで様々なカルチャーシーンに進出しているが、アメリカでは、さすがにフェスに来てる誰もが歌詞を理解しているというほどに浸透している存在ではない。しかし、彼らは激しくドラムを叩き続け、脳を刺激するギターの音を奏で、オーディエンスの心を掴んでいた。そして次は、最後を締めくくるのに相応しい曲『X』だ。両腕をクロスするやりとりが、絶え間なく続く。凄まじい。
これ以上、クレイジーなことといえば、ヘリが飛んできて、彼らを高いところに吊り上げることぐらいしか残ってない。だがそれはなかったので、次の機会のお楽しみにとっておこう。
ということで、ペリー。ネオンツリーズがなぜかフェスのラインアップに入ってたことや、地元のグーズアイランドビールじゃなくて、バドワイザーが幅を利かせていたことなど、話したいことは色々あるけれども、ここは敬意を表して、とても素晴らしかった轟音のハローキティ、いや、X JAPANをロラパルーザに出演させてくれたことに感謝するよ。
[原文へ](Time Out Chicago / The TOC Blog / Aug 9, 2010 掲載)
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