TOT Blogs: Music

ジョンとジェイムズはバラードがお好き?

タイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター、ジョン・ウィルクスと、音楽エディターのジェイムズ・ハッドフィールドが、『世界に伝えたい日本の名曲100』シリーズで紹介された日本の楽曲を、外国人エディターの目線でレビュー。

ジョン:タイムアウト東京のジョン(右)です。

ジェイムズ:ジェイムズ(左)です。

ジョン:東京の20組のセレブリティーが選んだ『世界に伝えたい日本の名曲100』を今日から、1日1選曲者、5曲ずつ聴いてレビューしていきます。
まずは誰から?

ジェイムズ:今日は、ミリヤ・カトウ。(加藤ミリヤの選んだ5曲
若いけど、良く知られたR&Bシンガーだって聞いてるよ。じゃぁまず、最初の曲から聴いてみようか。

ジョン:フミヤ・フジイの『ワラノイヌ』、、、犬に関係する曲みたいだね。

ジェイムズ:あれ?雨の音がしてきたよ。

ジョン:うん、雨が降ってるね。最初の印象は、とにかく雨の音がたくさん使われているってことだね。僕らは、雨が多いイギリス出身だけど、、、なんだかこの曲は、どの角度から見ても、日本を象徴しているようには思えないんだよね。日本も雨が多い国だけど、そういう国は他にもあるし。

ジョイムズ:島には雨が多く降るって言うよね。

ジョン:もちろん、日本の名曲が、太鼓と三味線ばかりじゃないのは知ってるけど……

ジェイムズ:太鼓と三味線っていいよね!

ジョン:(笑)太鼓と三味線は僕も好きだよ。
さっき、ジェイムズがいいこと言ったんだけど、この曲は、どこの国にも当てはまる“ちょっとやりすぎなバラード”みたいに聴こえる。

ジェイムズ:でも“ちょっとやりすぎなバラード”って、日本にたくさんあるから、日本的だと言えるかもしれないけどね。

ジョン:正直に言うと、ミリヤ・カトウはとても魅力的だけど……

ジェイムズ:すっごい魅力的だよ。

ジョン:この曲は、僕らにとっては魅力的じゃないな。

ジェイムズ:そうだね。

ジョン:ごめんね、ミリヤ。この曲は、ちょっとがっかり、かな。
じゃぁ、次の曲。

ジェイムズ:スターダストレビューの『木蘭の涙~acoustic~』。

ジョン:『モクレンノナミダ』って何?

ジェイムズ:木蘭は木の種類で、泣いているんだ。なんか、不思議だね。70年代の、幻覚剤常用者の世界みたいだ。

ジョン:聴かせて!
バリー・マニロウみたいだね。
それにしても、大げさな衣装だね。

ジェイムズ:ライブでサングラスかけてるし。

ジョン:それにしても、ミリヤはバラードが好きなんだね。

ジェイムズ:そうだね。だけどもし、僕がコンサートに入ってこの曲が始まったら、飲み物を買いに言っちゃうかも。(笑)

ジョン:なんか、ガッツが足りない感じがする。でも、スターダストレビューって、もっとガッツのある曲があるよね。こういう曲調ばかりのコンサートに行くのってちょっと想像したくないかも。
スターダストレビュー、ありがとう。でも、ちょっと僕らのテイストじゃないな。

ジェイムズ:次の曲に関しては、ちょっと言いにくいことがあるんだけど、僕のカラオケソングなんだ。(笑)

ジョン:宇多田ヒカルだよね。なんて曲?

ジェイムズ:『誰かの願いが叶うころ』

ジョン:宇多田ヒカルの印象って?彼女って、ずっと人気があるよね。

ジェイムズ:今はいない、もちろん地球上にはいるんだけど(笑)、音楽活動を休止しているんだよ。

ジョン:そうなの?

ジェイムズ:そう。去年末に、大きなライブをやったんだよ。

ジョン:ジェイムズは音楽に関して何でも知ってるよね。だからミュージック・エディターなんだけどね。

ジェイムズ:まぁ、85パーセントの日本人がすでに知っていることだけど。まぁ、いいか。僕のカラオケソングを聴いてみて。

ジョン:今まで聴いてきた3曲とも、僕らが"nodding dog chords"と呼んでるビートルズのピアノコードみたいなスタイルで始まるね。

ジェイムズ:リンゴのドラムが入ってくるといいね。
(ドラムをたたく真似をしばらくして……)

ジョン:そろそろ聴こうよ。うん、彼女の声っていいよね。だけどさ、ロンドンにいる時に、彼女のことがいいって言うのはちょっと恥ずかしいかもしれない。

ジェイムズ:彼女がインタビューで話している時の声が好きなんだ。なんか、ディープで、“アーシー”なんだよね。

ジョン:僕が最初に日本に来た時に、ちょうど『Automatic』がヒットしている時で、聴くたびに、22歳に戻る気分なんだ。

ジェイムズ:だけどさ、あんなに若くして、キャリアのピークになるってどういう気持ちなんだろうね。もちろん、今でもたくさんCDが売れてるけど。
とにかく、この曲は昔から知っていて、カラオケで歌ってたんだ。

ジョン:僕は、この曲よりももっと好きな宇多田ヒカルの曲があるけど、でも、この曲も好きだから、評価は、まぁまぁ、ってとこかな。ありがとう、宇多田!

ジェイムズ:それから、90年代にもうひとり出てきた素晴らしいシンガーが、リンゴ・シイナだよね、『ギブス』。

ジョン:ギブスって、ビージーズの名字だよね?リンゴって、ビージーズのファンなのかな?

ジェイムズ:そうかもしれないよ。じゃぁ、聴いてみよっか。

ジョン:また、ゆっくり始まるピアノだね。エレクトロビートも入ってくるけど。

ジェイムズ:僕らの日本人の同僚は、今、この曲聴きながらゆれてるから、好きみたいだね。だけど、ミリヤは本当にこういう感じの曲が好きなんだね。まぁでも、サビまで待とうか。
……あ、きたね。うん、今まで聴いてきた曲よりも、ガッツがあるね。
うん、この曲も、まぁまぁってとこかな。曲が好きというより、椎名林檎がいいよね。

ジェイムズ:だけどさ、僕は彼女が作ったバンドは苦手なんだよね。ちょっとここでは名前も言いたくないくらい。
さて、次は、アタル・ナカムラ『友達の詩』。

ジョン:ミリヤ・カトウは本当にピアノのバラードが好きだね。

ジェイムズ:うーん、もしこれが、日本を代表する最高の5曲だって言われたら、他の曲を聴くかもなぁ。

ジョン:そうだね。5曲とも似てるよね。あんまりエキサイティングな感じはなかったかも。

ジェイムズ:だけど、アタルは素晴らしいシンガーだから、何杯か焼酎を飲んだ後に聴いたら、何か心を動かされて、ふるさとを思いだして、ちょっと泣いたりしてしまうかも。それで、次の朝起きて、一体昨日は何をしていたんだ!?って思うかもしれない……

ジョン:(笑)20組分、全部聴き終わったら、僕とジェイムズでそれぞれ5曲ずつ、『世界に伝えたいと思う日本の名曲』というか、日本人として聴くべき日本の名曲を提案しようよ。
ということで、アタル・ナカムラに関しては、まぁまぁ、だね。
じゃぁ、また明日!

ジェイムズ:また明日!

ジョンとジェイムスのプロフィール

ジョン・ウィルクス
タイムアウトアブダビからやって来たタイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター。ロンドン出身。これまでオノ・ヨーコ、ブラー、エアロスミスなどのミュージシャンにインタビューしている。ギタリストとしても活動中。
ジェイムズ・ハッドフィールド
タイムアウト東京の音楽エディター。ロンドン出身。英語情報誌『メトロポリス』のエディターを経て、現職。

ジョンとジェイムスのプロフィール

ジョン・ウィルクス
タイムアウトアブダビからやって来たタイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター。ロンドン出身。これまでオノ・ヨーコ、ブラー、エアロスミスなどのミュージシャンにインタビューしている。ギタリストとしても活動中。
ジェイムズ・ハッドフィールド
タイムアウト東京の音楽エディター。ロンドン出身。英語情報誌『メトロポリス』のエディターを経て、現職。

Copyright © 2014 Time Out Tokyo