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2度あることは3度ある。本日も、タイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター、ジョン・ウィルクスと、音楽エディターのジェイムズ・ハッドフィールドによる『世界に伝えたい日本の名曲100』レビューをアップデート。第3回。
ジェイムズ:ハロー。タイムアウト東京のジェイムズ(左)とジョン(右)です。今日も、『世界に伝えたい日本の名曲100』を聴くんだけど、僕とジョンみたいな人と、今これを観てくれているアナタのような人に、ぜひ聴いてほしい音楽ばかりなんだ。
ジョン:今日は、野宮真貴の選んだ5曲。
最初の曲は、ダウンタウンブギウギバンド。あれ?これはバンドの名前だよね。うまく言えないけど(笑)
ジェイムズ:そうそう。バンドの名前。曲は、『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』!
ジョン:すごいね、よくそんなタイトルすらすら言えるね(笑)。
ジェイムズ:ヨーコ!ヨーーコってのばすんだ。それじゃ、聴こうよ。
ジョン:……うーん、この曲についてなんて言えばいいのかな……
ジェイムズ:彼は、日本のエルビスみたいだけど、埠頭での仕事を終えたばかり、って感じのルックスだね。漁師っていうか、スシ職人みたいな格好だよ。
ジョン:ステージがピカピカして、スシと『時計じかけのオレンジ』の融合って感じがするよ。
だけどさ、このボーカルの人は、歌うっていうより、犬が吠えているみたい。ダンスも踊るんだね。
ジェイムズ:パロディっぽくもあるけど、よくわからないね。
ジョン:うん、ちょっと混乱する。
ジェイムズ:だけどもし、僕が日本に来たばかりでこのライブを観に行ったら、「ワーオ!日本って本当に不思議だ!これが日本だよ!!」って感激すると思うよ。
ジョン:それはそうかもしれないね。多くの外国人が、日本はとても“不思議”で“未来的”な場所だと思っているもんね。この曲は、“未来的”ではないけど。こういうものが、“日本的”だと思う人もいるかもしれないね。
僕は、まぁまぁ好き、って感じかな。
ジェイムズ:すっごい不思議。本当に奇妙だよ(笑)。
次の曲は、沢田研二の『TOKIO』だけど、TOKIOっていう名前のバンドもいたから、難しいね。スペルも一緒だし。
ジョン:バンドのTOKIOは、沢田研二のこの曲から名前をとったのかな?
ジェイムズ:もしかしたらそうかもしれないね。バンドのTOKIOが活動を始めるより、ずっと前から歌っている人だしね。
ジョン:だけど、沢田研二って、パイロットみたいな格好で歌うんだね。
ジェイムズ:パイロットっていうより、ネルソンみたいだ。
ジョン:(笑)聴いてみようか。
あぁ、デヴィッド・ボウイみたいだ。
ジェイムズ:デヴィッド・ボウイとYMOが合わさった感じ。ルックスは、ジョゼフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコートみたいだし。おもしろいね。
ジョン:デヴィッド・ボウイって、YMOに会ったことがあると思う?
ジェイムズ:坂本龍一と一緒に映画に出たことがあったと思うけど。『メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス』で、ほっぺにキスをしたでしょう。
ジョン:いいね。この曲から、いろんなことを思い出すよね。
ジェイムズ:先週の金曜日に聴いたRCサクセションの方が、荒々しさがあって好きだけど、『TOKIO』はちょっとスムースすぎる感じかな。
ジョン:そうだね、2曲目はまぁまぁって感じかな。
ミス・ノミヤにはちょっと申し訳ない気もするけど……すごくリスペクトされているミュージシャンだって聞いてるし。この写真の彼女の髪型も素敵だよね。VOGUEの編集長をやっているアナ・ウィンターみたいだよ。
今、ジェイムズもアナ・ウィンターみないな髪型にしようとしているけどね(笑)。
ジェイムズ:だって、僕にはアナ・ウィンターのような価値があるから(笑)。
ジョン:(笑)じゃあ、次の曲!
ジェイムズ:次は、ディディーかな?デデかな?DE DE MOUSEの曲。
ジョン:『A Journey to Freedom』。
ジェイムズ:違う違う。『A Journey to Freedom』から、『My favourite Song』という曲。
ジョン:そうだった!
オートチューンだね。
正直言うと、僕でも作れそうな感じだよ。
ジェイムズ:こういうタイプの曲って、今すごく多いよね。スナネズミが宇宙でパーティをしているみたいな音だよね(笑)。みみゅみにゅみにゅ……って。いいと思うけど、使い捨てされちゃう音楽な感じもする。
ジョン:そうなんだよ。マックがあって、ちょっとした音楽の知識があったら、こういう曲ってすぐに作れちゃうから、あんまり面白みを感じない。
ジェイムズ:それって、僕らの父親世代が良く言ってたことだよね。マックはなかったけど、セックス・ピストルズの曲なら僕でも作れるね、って。
ジョン:いや、だけどさ、どういう風にすれば作れるかがわかっちゃうから、あんまり興味を惹かないんだ。
ジェイムズ:その意見は理解できるね。
ジョン:僕の7歳の息子でもできると思うよ。
ジェイムズ:それは聴いてみたいね(笑)!
ジョン:僕は、親指を下げるな。
ジェイムズ:僕はそこまでじゃないな。まぁまぁ、ってところかな。
じゃぁ次は、万里れい子の『サイケの……、あ、“の”じゃなくて、『サイケな街』。
ジョン:サイケデリック タウンって意味でしょ?ジェイムズにぴったりなんじゃない?
ジェイムズ:サイケデリックなものは好きだよ。
すごくヒッピーなニオイのする曲だね。
それとも、それって僕のニオイ(笑)?
ジョン:(笑)この画像を観る限りでは、レイコ・マリってかわいいね。音はサイケデリックな感じはないかな。サンディー・ショウに近いと思うよ。
ジェイムズ:同じ時期の曲かもしれないね。
日本には、すごくクレイジーでサイケデリックな曲があるからなぁ。
ジョン:例えば誰の曲?
ジェイムズ:『マジカル・パワー・マコ』とか、『裸のラリーズ』とかもすごくヘビーなサイケデリックバンドだし、『ジャックス』とかも。もっとたくさんいるけど、今聴いている『サイケな街』は、60年代のふわふわしたポップスだと思う。
ジョン:イージーリスニングだよね。
ジェイムズ:だけど、カラオケのレパートリーに加えてもいいかも。
ジョン:いつも、カラオケのための新曲を探しているよね(笑)。
ジェイムズ:そうだよ。いつも探しているんだ。何かオススメがあったら教えてね。
ジョン:最後の曲は、子どもの曲だね、『オハナシユビサン』。僕は聴いたことがあるかも。
ジェイムズ:子どもが聴いてたら、かわいい曲だね。
指遊びがしたくなったよ。
ジョン:童謡って、すごくそれぞれの国の文化を象徴するよね。イギリスの子どもが歌っている曲って、死についてや、ペストに気をつけようってことを歌っているものが多いんだ。例えば、『Ring-a-Ring o'Roses』も、ペストについての曲なんだよ。
だけど、『おはなしゆびさん』は、指について歌っているから、そこまで危ない感じはしないよね。
ジェイムズ:もしかしたら、忍者の親指なのかもしれないよ(笑)。2本の親指で、殺せるんだ(笑)。
ジョン:日本人は皆、忍者の指を持ってるのかも。僕らの同僚は、この曲は家族のコミュニケーションの歌だって、言ってるよ。それは素敵なメッセ―ジだね。ペストよりずっといいね。
ジェイムズ:ペストより、ずっとずっといいよ(笑)!
子どもがいないと、ありがたみがわかりにくい曲ではあるけど、ポニョよりはずっとマシだね。だから、まぁまぁ、って評価かな。
ジョン:僕も一緒。まぁまぁだね。
じゃぁ、また明日。楽しい夜を過ごして、ゆっくり眠って。
ジェイムズ:ペストにかからないでね(笑)。
ジョン:そうそう、ペストには気をつけて(笑)
ジョンとジェイムスのプロフィール
ジョン・ウィルクス:
タイムアウトアブダビからやって来たタイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター。ロンドン出身。これまでオノ・ヨーコ、ブラー、エアロスミスなどのミュージシャンにインタビューしている。ギタリストとしても活動中。
ジェイムズ・ハッドフィールド:
タイムアウト東京の音楽エディター。ロンドン出身。英語情報誌『メトロポリス』のエディターを経て、現職。
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