Photo by escribileamauro
2011年05月12日 (木) 掲載
ロンドンサイクリングルート2では、カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスにゆかりの史跡をたどりながら、ロンドンで最もオープンエアを楽しめるといわれる広大な公園、ハムステッド・ヒースへと向かうルートを紹介する。知っていればさらにロンドンの街と歴史を堪能できる『ブルー・プラーク』についても紹介。
スタート地点:プリムローズ・ヒル
ゴール:ハムステッド・ヒース
所要時間:約60分
今回の出発点はプロムローズ・ヒルだ。スタートしてすぐに、リージェンツ・パーク・ロード122番地がある。ここは、カール・マルクスと共に、科学的社会主義といわれる世界観を築いたフリードリヒ・エンゲルスがかつて住んでいた場所。当時、日曜日になると彼の家のドアは開け放たれ、著名な共産主義者や社会主義者たちが訪れた。
近くにあった『社会民主党員』新聞の編集者たちも訪れ、ビール片手に白熱した議論を繰り広げたり、ドイツ総選挙のときなどは大騒ぎになったりと、そこはまさに国際的な社会主義運動の中心だった。道を挟んだところにあるパブ『ザ・クイーンズ』には常にスパイがいて、エンゲルスの家に誰が出入りしていたかをチェックしていたという。
カール・マルクスの死後、エンゲルスが『資本論』の第2部、第3部を編集し、また彼が『家族・私有財産・国家の起源』を記したのもこの場所である。
次はリージェンツ・パーク・ロードに沿ってチョーク・ファームへと向かう。エンゲルスは日常的にこのコースで散歩を楽しんでいただろう。彼はこの道を進み、線路を越え、1846年に建てられたラウンドハウスを通り過ぎ、そしてガラが悪いことで有名だったチョーク・ファームを経て、ケンティッシュ・タウンのマルクスに会いに行っていた。
そして続いては、ハーヴェスト・ヒルを上りマイトランド・パーク・ロードを上がろう。1875年、マルクスは、今は存在しないこの通りの41番地に引っ越した。1856年からそのときまでいた家は近所のグラフトン・テラス9番地(現在は46番地)だった。彼はいつもエンゲルスの近くに住んでいた。
ケンティッシュ・タウンで落ち合ったエンゲルスとマルクスはハムステッドまで歩き、広々とした昔の姿が残る公園を歩いたのではないだろうか。サウサンプトン・ロードからロデリック・ロード、そしてハムステッド・ヒースのコースは結構な距離がある。マルクスの家の周辺をぶらぶらすることもしばしばあったろうが、考えを議論するためには、ゲルマン的な、この長く健康的な距離を歩くことを彼らは好んだだろう。
彼らが髭をなでながらヒースの中をズカズカと歩き、深遠な議論を交わしている姿を想うと、とても心が奪われる。
今回のコースで通ったエンゲルスのかつての住まいのように、ロンドンでは、歴史的に著名な人物が住んでいた建物に、『ブルー・プラーク』と呼ばれる青いレリーフが設置されているのを多く見かける。ロンドン滞在中、町中でこの“青色”が見えたら、レリーフの記載内容をチェックしてみよう。意外な名所を発見できるかもしれない。
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