Photo by Loz Flowers
2011年06月21日 (火) 掲載
第9回は、古くからロンドンに伝わるさまざまな“怪獣”伝説に思いを馳せながら、ロンドンの街を散策しよう。
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スタート地点:ホルボーン陸橋
ゴール:セント・ポール大聖堂
所要時間:1時間
神秘的なサファリへの旅は、コンクリートジャングルの狭間を抜けつつ、翼を持つドラゴンやライオンが潜むホルボーン陸橋から始めよう。1222年以来、 “ドラゴンと見受けられる怪獣”はロンドンで度々目撃されている。1797年には“空飛ぶヘビ”がハマースミスで、1984年にはのちのブレントフォード・グリフィン(グリフィン:ライオンの胴体にワシの頭と翼などをもつ怪獣)として知られる生物がロンドン西部で観測されたという記録がある。ロンドンには古くから、光り輝くライオン、サリー・ピューマ、シドナムの野獣やエッジウェアのトラなど多くの“怪獣”伝説が残っているのだ。
まず、ホルボーン陸橋からファリングドン側への階段を下り、左手に見えるベアー通りへと進もう。ここは大昔、かつてイギリスの遊興であった“熊虐め”が執り行われた闘場が位置していた所でもある。ロンドン市内では、昔から多くの熊が目撃されており、その近辺には熊虐め用の闘場が置かれていた。
次は道を渡り、ポピンズ・コート通りへ。昔はフリート川がこの後ろを流れていた。この入江ではかつて、アザラシが捕獲され、1700年代には野生の豚が排水溝で鳴いていたと伝えられている。また、巨人やお化けネズミ、地下に潜む人食い住民の伝説も残されている。セント・ブリッジ小道へと下り、騎手の彫像があるドーセット・ライズへ向かおう。古くからロンドン、特にハンプステッドでは追いはぎ幽霊の伝説が多く残されている。ヘンドンでは、青光りするロバの幽霊の目撃も記録されている。
そして、ジョン・カーペンター通りを下り、右のヴィクトリア堤防へ進むと、街灯柱のヘビの飾りが目に入る。ヘビが多く目撃されていたとされる同時期もしくはその前後の時代に、ワニ、サメ、鯨に亀など、テムズ川ではそれら生物の多くの出没情報が寄せられている。“天使”に似た存在さえも昔はこの場で目撃されたという。近くの円柱に目を寄せると、ヘビと闘う男性の彫像が描かれているのに気がつく。1900年代初頭には多くの大蛇が、ゴーワー通りに出没していたのだそうだ。
さらにテムズ川を北へと進み続け、ミレミアム橋へ行こう。テムズ川のこの付近で一度ピラニアが捕獲されたことがあり、そしてタツノオトシゴ、ヴァンパイア・フィッシュ(ヤツメウナギ)も見つかっているという。今回のルートの最中地点を目指し、次は左のセント・ピーターズヒルへと体を向け、ナイトライダー裁判所とセント・ポール大聖堂へ。ワーウィック・レーンへと続くアーチをくぐり、今ではオールド・ベイリー(中央刑事裁判所)が建つニューゲート刑務所跡へ向かおう。いまや昔の1500年代、この刑務所には獰猛な黒犬が取り憑いており、その黒い陰影が古い壁の上を揺れ動いていたと伝え聞かされている。
この1時間の散策で、新たなファンタジーストーリーのアイディアも誕生しそうだ。
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