ロンドンサイクリングルート 10

ソーホー キングリー通り~ソーホー『フレンチ ハウス』

ロンドンサイクリングルート 10

Photo by fieldus

第10回は、ソーホーのナイトウォークを楽しもう。

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スタート地点:ソーホー キングリー通り
ゴール:セント・ソーホー『フレンチ ハウス』
所要時間:40分

ソーホーは2世紀以上に渡り、ロンドンの繁華街として賑わいをみせてきた。この地ではどんなに澄まし顔で歩く気どり屋や皮肉家であっても、そして詐欺師や酔っ払い、ボヘミアンたちに至るまで、様々な人々が散財してきたことだろう。今回は、ロンドンのめくるめく夜を散歩するのはいかがだろうか。

出発はソーホーの西端、カーナビー通りへと続く、急で曲がりくねった道が特徴的なキングリー通りから。このあたりNo.7には売春宿があり、 1950年代に摘発されるまでの間、メッシーニ兄弟と1930年代からソーホーにおいて売春斡旋を行っていた5人のマルタ人らによって経営されていた。また、すぐそばのNo.9には、以前Bag O Nailsというナイトクラブがあり、ポールとリンダが出会った場として知られている。また、ジミー・ヘンドリックスも1966年に、ここで初の公式記者会見を開いている。

キングリー通りの裏小路に入ると、未だTwo Floorsや、ボヘミアン酒を楽しめるTatty Boglesのような洒落たバーが店を連ねている。

それから、左のビーク通りを下る。カーナビー通りとぶつかる道の角には、1956年に服飾店を開いたことによって突如、その後10年以上に渡ってこの通りをファッションのメッカとして知らしめた創設者、ジョン・ステファンの記念額が飾られている。

ビーク通りをまっすぐ行き、レキシントン通りを抜けて右のブロードウィック通りをベーウィック通りに突き当たるまで進む。右手に見える市場を通り抜け、パブやレストラン、モデルの目立つ広告や、いつも安売りを実施しているアウトレット店を横目に見つつ、歩みを進めることによって古き良き時代のソーホーの雰囲気を味わうことが出来るだろう。

ネオンで煌くウォルカー・コート(裏小路)は1958年、ロンドンではいささか有名になったストリップ・クラブのRaymond Revue Barが開店した場所だ。この付近は衰退の一途をたどりつつも、ロンドンでは依然として売春が一番多く見受けられる場でもある。

現在、Raymond Revue BarはSoho Revue Barと名を変え、バーレスクなどのポップな作品(まるで隣のブレワー通りにあるMadam JoJo’sのような)を上演している。左手のブレワー通りをオールド・コンプトン通りに突き当たるまで歩くと、そこはロンドンのゲイの溜まり場だ。以前2i’sという、若かりし頃のクリフ・リチャードが1950年代に出演して話題になったバーがある。さらに時を遡ると、フリフ通りの角では1955年8月、今や伝説と化したソーホーの2人の頭、ジャック・スポットとアルバート・ギャング抗争が執り行われた場でもある。

No.20には昔、Polloという手頃なイタリアンがあった。ピンク・フロイドのシド・バレットもよくここで時間を潰していたという。その当時、安い食事を味わえる店といえば、No.18のHardy Stockpotだった。

左手のグリーク通りを上り、Coach & Horsesを越えると、ソーホーの遊歩者、ジェフェリー・バーナードが何十年にも渡り大邸宅を保持してきた場所に着く。

No.49はかつてLes Cousinsという多くのフォーク音楽好きが集う場所だった。No.46は以前、頻繁にカサノバが演奏されるライブハウスだった。

今度も左手に曲がり、ベートマン通りを渡りフリフ通りへ。ライターと酔っ払いが多く集うクラブ街、ディーン通りへと突き当たる。 No.45にはライターと酔っ払いが好むだろうGroucho、役者と酔っ払いにはNo.52のGerry’s、そしてアーティストと酔っ払いには60年続くNo.41のColony Roomがお勧めだが、残念ながら2008年に強制閉店となってしまった。

Gerry’sは1950年から1960年に渡り、ビリー・バンターの声優役をつとめたゲリー・カンピオンにより所有されていた。 1963年にはトニー・ハンコック、ガルトン&シンプソン、グラハム・ヒル、スタンレー・ベーカーとウィルフリッド・ブランベルもメンバーとして加わった。メンバーでないものはNo.49のFrench Houseに向かってみるといいだろう。

ここでは良質な値段のワインを飲みながら、飲み会へと肩を並べながら楽しそうに歩く人々や、ソーホーの移ろいゆく景色を楽しむことが出来るだろう。

テキスト タイムアウトロンドン編集部
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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