『あなたが知らない……』シリーズの第2弾は、来週コットンクラブで『ライヴ・アット・イリディウム〜レス・ポール・トリビュート〜』プレミアム上映会が開催されるジェフ・ベックです。

ある時はヤードバーズの1人、そしていつの時も最高のギタリストの1人である彼が『エモーション・アンド・コモーション』を引っさげて、イングランドでライブを行った2010年4月のインタビューを見つけました。マガジンの最初にある紹介文には、「スティーヴィー・ワンダーは元々『Superstition（迷信）』を彼のために書いたって信じられる？」とも書いてあります。さて参りましょう。

1　彼の指は、彼の最大の資産だ
「先日、大量のニンジンの束の前に立って、それらを縦に切ろうとしていたんだ。バカだった。だって、9インチのナイフで指先を切り落とすところだったんだから。俺は「一体なにやってんだ！」って感じだったね。俺の指にいくら保険がかかってるか知りたい？指1本につき100万ドル。前は片手に100万ドルだったんだけど、今は指1本にだ。アップグレードしたんだ」

2　これ（『エモーション・アンド・コモーション』）は7年ぶりのアルバムだ。だが、私たちが彼をナイトクラブで観る（聴く）ことはほとんどなさそうだ
「ドラムンベースをやりそうになったよ。前に取り組んでいたクラブミュージックも大好きだった。だけど、唯一恋しかったのは、ああいうファンタジックでパワフルでドキドキするリズムにかぶせるギターだったんだ。そういう試みを施したアルバムを作ったけど、満足はできなかった」

3　彼の最大の趣味はホットロッドである
「カスタマイズが好きで、16台持ってるんだけど、そのうち12台を30年以上かけて自分で組み立てたんだ。1963年式のコルベットから1932年式のギャングスタータイプまでいろんなホットロッドをね。最近の車のデザインは嫌いだよ。魅力がない。まるで日本人の学生6人が口論して、結局全部の要素を詰め込んでしまったみたいに見えるよ」

4　彼は過去を保存するファンだ
「持っているエリザベス様式の家を修繕したんだ。本来あるべき姿とは違うと気づくまで、18年間住んでいたんだけどね。年月をかけて、人間が台無しにしてきたんだ。間違った窓を付けてしまってさ。木のフレームに鉛枠の窓がついた元々の姿がどんなに素晴らしかったかも発見した。それで全部元に戻したんだよ。ものすごくお金を使った。1951年には最高の姿をしてたのに、至る箇所の価値が下がっていたんだ」

5　こっぴどく捨てられたのは一度だけ
「そのアメリカ人の女の子とはうまくやってたよ。18ヶ月間一緒にいて、イギリスにも来てくれた。隣に住んでたその子は厄介な子で、彼女の両親に締め出されてしまったから、俺の家に住ませてあげた。イノセントだったね。なのに、彼女はある電話に出てしまって、それで全部終わったよ。あれは見事な捨てられ具合だったし、本当に悲しかった。俺は21歳で、本当に傷ついたよ。次にアメリカに行った時、彼女が笑ってステージ袖に現れたんだけど、それまでに俺はセリア・ハモンドと出会っていたからさ」

6　彼は思われているほど、気難しい人間ではない
「もし信じるもののために戦うことを気難しいと呼ぶなら（自分は気難しい人間だ）ね。人間はラベルを貼ろうとするものなんだ。もし激しい気性をもっていれば、自動的に狂人ということになる。ロッド・スチュワートと一緒に、ウッドストックを2日前にキャンセルしたのは、ただプレイすることが不可能だったからなんだ。俺が「このバンドは終わった」と思っていた時の悲しい時間が永遠に映画に残るはずだったんだ。俺の本能が反対したし、それと“小鳥”が耳元で囁いた。「出演しちゃいけない」。それで、その“小鳥”は俺のベストフレンドになったんだ」

7　彼はママの言うことを聞くべきだった
「彼女は俺に外に出ないようにと懇願したんだ。“車にひかれるだろうから”ってね。そしたら15分後には、車の下敷きになっていた。まだ子供で、後頭部を4インチ骨折したんだよ。膝も折れて、鼻と背中も怪我をした。気づいたら病院にいて、ナースのキスで目が覚めた。あれはよかったよ」

8　彼は、上げ底靴に対する以前の好みについては敏感だ
「デヴィッド・ボウイと映画を撮影をしたんだけど、その中で使われる場面を減らしたんだ。ただ上げ底靴のためだけにね。ボウイは言ったよ。「（ベックの気持ちは）よくわかる。でも俺がその靴を履かないことには賛成してくれるだろう？」。だから、俺はこう言ったんだ。「いいや。だってお前が履かないって言ったのを知ってて映画を観たら、そこにあるのは俺の脚だ」

9　彼の飛行機が関係した最もロックンロールな経験はもちろん
「バカが双発飛行機を俺たちに売ろうとしてたんだ。地上走行中に右エンジンがストップしたのに、オーナーが加速させ始めたんだよ。俺たちにプロペラが回らないのを見せたくなかったんだけど、炎上してしまった。彼は飛行機から飛び降りようとして後ろにジャンプしてきて、さらに先に出ようと俺の頭の上に立ったんだ。だから俺は彼の顎を殴りつけて、ノックアウトしたんだよ。“エクスキューズ・ミー。俺たちの方がドアに近いんだ。君は燃え始めてるね。俺たちは外に出るよ”ってね」

（インタビュー：Kim Taylor Bennett 'TIme Out London (Apr 1-14 2010)'より）

筋金入りのファン、ミーハーさん、名前だけは知っているという方、発見はありましたか？ジェフさんは1944年生まれの66歳とのことですが、まず装いが素敵です。袖なし！個人的には、ミュージシャンによくいる表現のしようのないあの髪型が好きです。どうやってオーダーするのかを知りたくてたまりません。そんなジェフさんはハードな姿とは反対に、普段の話し方はすごく穏やかなようです。