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レッドブル・ミュージック・アカデミー Day.1

マドリードよりこんにちは!
レッドブルミュージックアカデミーに取材に来ている、さいとうしょうこです。

レッドブル・ミュージック・アカデミーは、その名の通り"レッドブル"が主催するミュージック・アカデミーです。過去10年以上にわたって、毎年世界の各都市で開催されてきたこのアカデミーが、今年も開催されます。数千通を越える世界中の応募から選ばれる才能豊かな参加者と、講師として招聘される著名なプロデューサーやミュージシャンたち。彼らは、このためだけに用意された会場で、レクチャー、ワークショップ、そしてスタジオ・セッションの毎日を繰り広げます。(レッドブル・ミュージック・アカデミーウェブサイトより)
震災の影響で残念ながら東京での開催は見送られ、マドリードで開催が決定した2011年レッドブル・ミュージック・アカデミー。世界各国から選ばれた30人の参加者の集うマドリード市内のマタデーロという文化施設で開催中のアカデミーに潜入取材で来ています。さすがヨーロッパ、全ての建物に歴史を感じます。このアカデミーの施設も今ではマドリード市内のメインの文化施設として知られていますが、元はなんと屠殺場として使われていたようです。その中を今回のアカデミーのためにたったの10週間で全てを設営したんですって!中庭のようなスペースに移動のできるスタジオが10程と小ステージ、機材という機材は何でも揃うという夢のような機材倉庫、レクチャーホールやカフェテリアが設置されているのです。スタジオの外や中の壁には世界各国のアーティストの作品がフィーチャーされ、これこそまさにクリエイティブな人のための空間といった感じです。全ての設備はアカデミー終了後もすぐに取り壊しはせずに数年はこのまま残しておくらしいです。


DAN WILTON/Red Bull Content Pool


DAN WILTON/Red Bull Content Pool

敷地内の案内をしていただいた後、すぐに一本目の電子音楽家のモートン・サボトニックによるレクチャーが始まりました。以前、カリフォルニア芸術大学で教鞭をとっていただけありますね、何だか教授っぽいです。本当に授業を受けているみたいで私も真剣にノートをとってしまいました。彼が作曲という行為を「彫刻」「かたちづくる」と表現していたのが印象的でした。レクチャー後の質疑応答では、ホラー映画で彼の音楽を耳にすることがあるが、意図的に人を不安にさせる不協和音を作り出しているのか?と聞かれ、「そういうつもりはないんだけどね」、と苦笑し、「でも、ハロウィーンで誰かの家の中から僕の音楽が聞こえてきたときにはまさか!って思ったけどね!」と全員の笑いを誘い、和やかなムードでレクチャーを終えました。


DAN WILTON/Red Bull Content Pool

次のレクチャーはニューオリーンズのヒップホップシーンの重鎮、マニー・フレッシュ。こんなビッグネームのトークを至近距離で見られるのもアカデミーのすばらしいところですね。盟友のミスティカルが出所したあと、e-mailが何だか分からず自宅の住所をマニーに教えたことや、セリーヌディオンがマニーの曲をお気に入りとして過去にあげていたこと、今やマーサスチュワートもキラキラを表現するのに使うbling blingは彼が言い出した言葉だからコピーライトを取ったほうがいいのではないかなど、軽快なテンポのトークで「生徒」の笑いを誘いつつも、ハリケーンカトリーナで全てを失ったこと、成功の裏に隠された親友との仲違い、金銭問題についてなど重たい話題も包み隠さず語っていました。その中でも、今後音楽業界で生きていく生徒に対し、「成功は一夜にしておさめることはできないから続けることが大事で、常に自分のやっていることに自信を持ち、情熱を注ぐことが成功につながるんだ」と熱く伝えていたのが、ミュージシャンではない私の心までもぐっとつかみましたね。


GIANFRANCO TRIPODO/Red Bull Content Pool

レクチャーも、見学も終わりアカデミーを後にし、始まりの遅いマドリードの夜を満喫しDay.1は無事に終わりました!

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