世界のベストバー 33選 中東編

アブダビ、テルアビブ、ドーハ、ドバイ、各都市編集部のおすすめ

in association with エティハド航空
世界のベストバー 33選 中東編

アフメド・アブドゥル・ラヒーム(バーレーン)

現在世界39都市で展開中のタイムアウトだが、各都市の編集部がその街で自信をもってすすめるバーと、そこで飲みたい1杯について寄稿した『世界のベストバー33選』をヨーロッパ編、中東編、アジア/パシフィック編北米/南米編とシリーズで紹介する。 中東編では、6都市のおすすめを紹介しよう。湾岸諸国ならではの豪華絢爛な店から、昔ながらの情緒を感じさせる店まで、どこの店にもそこでしか飲むことのできない1杯(イスラム圏を含むため、アルコールを含んでいないのもご愛嬌)がある。旅する気分で読み進めていただきたい。

アブダビでハンフリー・ボガートを気取る







レイズ・バーの『ゼリー・マティーニ』

高級ホテルの代名詞ジュメイラが手がける、シックな『エティハド・タワーホテル』の62階から息をのむようなアブダビの景色を味わおう。そして膨大なメニューの中から『ゼリー・マティーニ』を飲んでほしい。キレがありフルーティーで、小さなゼリーの粒が浮いた素晴らしい1杯だ。豪華な装飾の『レイズ・バー』では、近未来的な店の雰囲気に白いタキシードを着たハンフリー・ボガートの格式が滲み出ている。この店のバーテンダーは、自信とセンスを持って酒を調合する豊かな才能の集まりだ。好みのカクテルや味について話せば、あなたを刺激するのにぴったりの1杯を作ろうとしているのが分かるだろう。 カクテルだけでなく、シャンパン、ワイン、スピリッツから、度数の弱いものまで、ドリンクメニューは幅広い。また、62階からはまるで雲の上にいるような気分を味わえる。アラビア湾と急速に進化する都市の景色が楽しめるのも魅力だ。抑えめの照明は客を個室へと誘い、週末にはベルベットのカーテンの後ろから流れるディープハウス系の音楽が雰囲気をぐっと盛り上げる。贅沢を重んじるアブダビの中でも、レイズ・バーは別格だ。 アナ・マコーマック(タイムアウト・アブダビ

レイズ・バー(Ray's Bar)
住所:Jumeirah at Etihad Towers, Ras Al Akhdar, Abu Dhabi, UAE
電話:+971 2 811 5555
ウェブ:www.jumeirah.com

バーレーンでおじいちゃんとお茶をする




アフメド・アブドゥル・ラヒームの『紅茶』

中東では何もかもが乾ききっているわけではない。世界中の酒やカクテルを揃えた多くのナイトクラブやバーがある。しかし、「本物」の古きバーレーンを味わいたいならスーク地区に向かうといい。ここには最も古い喫茶店がある。アフメド・アブドゥル・ラヒームの伝統的コーヒーショップ(コーヒーショップと呼んでいるが、あくまで我々のイメージだ)では、アツアツの甘い紅茶を飲んで時間を過ごす、伝統的な服を着たアラブの老人と少数の若者がいる。地元の料理――スパイシーなひよこ豆のプレート――を試すのもいい。外のテーブルが埋まり、店が活気づく夕方頃に訪れれば、バックギャモンに混ぜてもらえるかもしれない。その上この店は、24時間営業でいつも大忙しだ。古き良きバーレーンを味わいたいなら、ここが1番だろう。ただし、写真を撮りたいなら断わってからがいい。店員は大丈夫だが、中には嫌がる客もいる。電話番号を載せられなくて申し訳ないが、お店には電話がないのだ! リズ・オリリー(タイムアウト・バーレーン

アフメド・アブドゥル・ラヒーム(Ahmed Abdul Rahim's Traditional Coffee Shop)
住所: Government Avenue Souq, Manama, Bahrain

ベイルートでレバノンの霊薬に出会う




アニスの『アラック』

アラックは、レバノンでよく飲まれるアニスが香る食前酒だ。街で最もエキサイティングで新しいナイトスポットで、レバノンの伝統を味わおう。一時期はみすぼらしかったマー・ミカエル地区だが、ここ数年で多くのブティック、アートスペース、バーができ、ベイルートでは見逃せないエリアになっている。だが、このアルメニア系界隈の魅力は伝統にある。このあたりでは新顔の『アニス』のオーナーは、その伝統を頑に守ろうとしている。店の存在を知らしめるのはドアベルの上にある控えめな表札だけだが、この店には旧世界とその秘密が隠されているようだ。伝統的なタイル貼りの床と花柄の壁紙、親しみやすい雰囲気で、こざっぱりしたバーテンダー(ちなみに全員がいとこ同士だ)があたたかく迎えてくれる。もうお分かりだろうが、この店の特徴はアラック、つまりレバノンで長い間愛されてきた霊薬だ。これが水と少しの氷、新鮮なミントの入った伝統的なスタイルで提供される。産地の異なる7種を頼んで、ベイルートを体感しよう。よりエキゾチックな味を楽しみたいなら、レバノンの菜園でとれたピンク色の甘い桑のシロップが入ったアラック『シャラブ・エル・トゥート』を頼むといい。 ジョン・バーンズ(タイムアウト・ベイルート

アニス(Anise)
住所:Alexander Flemming Street, Mar Mikhael, Beirut, Lebanon

ドーハのハイ&ローを知る




チャパティ&カラクの『カラク』

国中で愛されている『カラク』は、インドのチャイとカルダモン風味の練乳が混ざったもので、アラブ諸国で広まっている。(控えめに見積もっても)人口の8割が外国人であるドーハのおすすめが、多国籍なルーツを持つ飲み物であることは、まったく不思議ではない。 おまけに真のカタール流に倣えば、エアコンの効いた車まで運んできてくれるのだ。カタールはカラカラに乾燥した国だが、その気候は別として、お茶とコーヒーを飲むアラブの伝統的なもてなしはしっかり息づいている。派手なパブやエキゾチックなカクテル(ダブル・ドーハ・ホテル&レジデンス内にある『ワーム』の『ピンク・グレープフルーツモヒート』はおすすめだ)も楽しめるのは事実だが、『チャパティ&カラク』には、どこか素敵で信頼できるところがある。昔のカタール居住地を現代的に模したカタラ・カルチュアル・ヴィレッジの一角にあるが、この店は本格的だ。外にはいくつかピクニックテーブルがあるが、本格的な楽しみ方をしたいなら車を停めてクラクションを鳴らすといい。すると紙の帽子をかぶったウエイターが現れ、ミネラルウォーターより少し高いくらいの値段で、チャパティとカラクを出してくれる。車を降りて飲みながら水辺を歩くことも出来るが、駐車場から離れない方がいい。カタール人が代わる代わる高級車に乗ってこの店に現れるからだ。 絞り立てのレモンジュースとフレッシュミントを合わせた『レモンミント』から、テキーラ、ジン、ラム、ウォッカ、ブルーキュラソー、レッドブルの入った強烈なカクテル『ブルフロッグ』(よく外国人が通過儀礼的にビーチパーティーで飲む、あのカクテルだ)まで、ほとんどの飲み物が楽しめる。カタールは、他の湾岸諸国と同じように贅沢な外食産業で有名だが、本当のドーハを味わいたいならシンプルにカラクを頼もう。優しい海風がアラビア湾を漂うすぐそばで、ド派手な車がエンジンをふかしている。 ジェシカ・ダヴィ-カンティック(タイムアウト・ドーハ

チャパティ&カラク(Chapati & Karak)
住所:West Bay, Doha, Qatar
電話:+974 4408 1408

ドバイで目の眩む1杯をひっかける




ネオスの『タイタン・マティーニ』

ドバイは煌びやかで格調高く、世界一高い建物を有する街として知られるが、『ネオス』にはその全てがある。63階にある高級なカクテルラウンジで、世界の建造物における本物の巨人、ブルジュ・ハリファが街で一番よく見える。ドバイで5番目に高いホテル(世界では6番目)『アドレス・ダウンタウン・ドバイ』の目もくらむような頂に君臨する、格調高いバー『ネオス』にたどり着くには、エレベーターが3つ必要だ。きらびやかな街の地平線を見るならここ以上の場所はない。ブルジュ・ハリファの向かいに鎮座し、遥か下ではドバイ・ファウンテン(これも世界一大きい)が音を立てている。摩天楼を眺めているだけで何時間も過ごせるだろう(壁を飾るのはアイン・ランド作の『水源』だ)。ここには、決して色あせない風景が広がる。 しかし、ネオスにはこの上を行くものがある。それはカクテルだ。ここには街で一番ホットなバーテンダーがいるし、リストには斬新なカクテルが載っている。景色と同じぐらい野心を感じたい人には、ケテル・ワン・ウォッカとローレン・ペリエ・ブリュットNV、ミント、ライムとリュウゼツランのシロップが入った強烈なカクテル『タイタン・マティーニ』がおすすめだ。 見えるもの全てをスワロフスキーで覆ったり、どこかの国のGDPより高い領収書を切るといった豪遊で知られる街では、この店は控えめに見えるかもしれない。だが、手触りのいい家具と巧みな接客、円熟したピアニストを備えているネオスは、観光客にも地元の人にも欠かせない。 ロバート・ギャラット(タイムアウト・ドバイ

ネオス(Neos)
住所:Level 63, The Address Downtown Dubai, Dubai
電話:+971 (0)4 436 7700
ウェブ:www.theaddress.com/en/dining/neos-1

テルアビブの堕天使にハマる




ルシファーの『マンハッタン』

テルアビブの飲んべえは真の飲んべえだ。そしてルシファーと呼ばれるバー以上に、それを体感できる店はないだろう。店の雰囲気は地獄の楽しみそのものだが、ここの酒は天国のようだ。特に悪魔の笑顔を浮かべて出される、改良版の『マンハッタン』は……。この店に足を踏み入れる度に、あなたはファウストのように悪魔と契約をしてしまった気になるだろう。一見すると普通の店だが、どこか悪さをしたくなるところがあるのだ。それはもしかしたら音楽(例えばブラック・グレープ、テレヴィジョンからLCDサウンドシステムまで多岐に渡る)のせいかもしれないし、 ジャーナリスト、芸術家、ミュージシャンが入り交じった客層のせいかもしれない。また、ビリビリ辛いおつまみのせいかもしれないし、何か注文するたびにショットを奢ってきて、客を千鳥足にさせてしまう熱いバーテンダーか、通りの様子が映し出されてついつい見ずにはいられない監視カメラのせいかもしれない。ではここで何を飲めばいいのか? それは『マンハッタン』でなければならない。赤いベルモットとビターズは伝統的だが、ウィスキーとバーボン、基本的にはジムビームの黒ラベルが入ることで厚みが増す。しばしば倍の量で出されるのも悪くない(それは次の日を迎えるまでの話だが)。翌日の仕事中に何か超自然的な闇の力を感じるとすれば、それは裏を返せばルシファーでの記憶が断片的で、まるで現実に起きた気がしないからかもしれない。あなたに分かるのは、またそれを味わいたくなっているということだけだ。 ニヴ・ハダス(タイムアウト・テルアビブ

ルシファー(Lucifer)
住所:97 Allenby Street, Tel Aviv, Israel
電話:+972 (0)3 685 1666

翻訳 林バウツキ泰人
各都市タイムアウトのライター
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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