Photography Yuhei Ohyama

#49

山本征治のような
神がかったシェフがいるから

BECAUSE OF FANTASTIC CHEFS LIKE SEIJI YAMAMOTO

生魚をスライスすれば刺身になるかといえばそうではない

日本料理 龍吟
東京都港区六本木7-17-24
03 3423 8006
18時00分〜25時00分(L.O 22時30分)
月曜日〜金曜日
不定休
www.nihonryori-ryugin.com

実験的な手法で日本料理を次のレベルに押し上げた、ミシェラン三ツ星レストラン日本料理 龍吟のシェフ、山本征治。海外にも意欲的にビジョンを広げており、2012年には香港店をオープン、さらには台北にも進出予定だ。多忙な合間をぬって10分のインタビューに応じ日本料理について語ってくれた。

「日本の料理を通じて感じてもらいたいのは、国の豊かさそのものです。単純に四季に恵まれているということではなく、四季のもつ意味合い、そしてその意味を確かな者にする豊かな自然です。

例えば、中華料理は相手かまわず、世界のどこで食べても、同じ味です。それはある種、確立された共通言語のような域に達しているからでしょう。残念ながら日本料理はまだそこまで到達できていない。なぜかというと、日本人独特の、目に見えない要素が料理に重要だからです。例えば、生魚をスライスすれば刺身になるかといえばそうではない。魚は数日間絶食させることで身を無理なく成熟させている。生ものには幾層もの下ごしらえがあって最高の状態になる。こうした日本料理の要素を、いかに伝えるかというのが課題だと思っています。アジア、スカンジナビア、他のヨーロッパ圏からも弟子をとり、龍吟で学んだことを世界に広げてほしいと思っています。日本料理全体の進化にもつなげられれば、とも。

我々の料理がグローバル化するかどうかはわからない。言うは易しだが実現は多難を極めるでしょうね(笑)。香港の天空龍吟では、地元の広東料理の慣れ親しんだ素材を、日本料理の精神でさらに昇華させることに挑戦しています。例えば香港には素晴らしい鶏肉があるのですが、これを伝統的なスッポン料理とあわせると、経験したことがない鶏肉の味に出会えるのです。

香港で成功することが出来れば、日本料理の精神を伝えることができたということでしょうね。日本でやってきたことをただ繰り返すだけでは、偽札をすって海外で使っているだけのようなもの(笑)。正念場がきていると思います。」

インタビュー 山田友理子